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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


ペトリあんてな
二面楚歌 断章
二面楚歌 グラビアレビュー備忘録
寒空文庫(仮)
写真日記二面楚歌 隠居所
petri's fotolife
酒田へ行きたい
ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2014-08-24 自習イベントさまさまで宿題消化週間 [長年日記]

_ フォトテクニックデジタル 2014 6月号

久保ユリカ
表紙と巻頭グラビア14ページ26カット、撮影は魚住誠一。
魚住らしい自然光と人口光取り混ぜた写真。
破綻は無いし良く撮れてはいるのだけれど、感興は催さない。

オキナワタイムスリップ 1986-2014
6ページ9カット。 撮影は小林幹幸、モデルとしてSERINA。
光の強い海辺で撮ったカットも眩しさに必然性のある写真になっている。温黒調に仕上げたモノクロも流石の仕上がり。

高須力のライブ a GOGO!
4ページ21カット。 今回は恵比寿のリキッドルームで撮った THE ポッシボー。
ホールコンサートではなく、広めではあるがライブハウスなので位置取りの自由は或る程度あったようで、これまでよりは幾分マシな出来。
それでも矢張り視野が狭く、足で稼いで構図を切っていないし、かぶり付きで撮れるのに24mmまでしか持って行っていない。
編集も悪い。 割り付けが冗長で、細かい写真を並べただけでお仕舞い。 写真になっているカットもこれだけ小さいと良さは伝わらない。
結局スポーツ写真のやり方をそのまま持ち込んだものの、勝手が違ってまごまごしているうちに連載が終わってしまった。

梨里杏
6ページ9カット、撮影は長野博文。
長野の白ずくめスタジオと屋外の二本立て。
新鮮な驚きは無いが、よく撮れてはいる。

6月号はヌード特集に力点を置いた所為か、それ以外のグラビアは薄味。

_ フォトテクニックデジタル 2014 7月号

上坂すみれ
14ページ24カット、見開き1箇所。 撮影は根元好伸。
声優グラビアとしては珍しく、ニコパチではない。 共産趣味テイストは東欧の民族衣装っぽいもの程度に抑えているのは事務所の意向だろうか。
キャリアの取っ掛かりがモデルだったこともあってか、カメラと向き合えているし表情にも幅がある。
声の芝居しかしない声優と声の芝居もする声優ではできる事の幅に開きが有るのだけれど、この14ページを見る限りに於いては後者であると見て良いかもしれない。
海辺のカットは声優グラビアにありがちな「見せたい自分の押し売り」に近いが、それ以外はカメラマンに委ねている。

浜辺美波
6ページ10カット、撮影は長野博文。
制服と部屋着と半々。 メイクはごく薄く、光も当てすぎず頃合。
動かして思考を停止させて撮ったカットも悪くないが、向き合って撮ったカットの表情が良い。

宮沢佐江×緒方一貴
4ページ3カット。 ブツ撮りで且つ塗り絵。 論外。

田代ひかり
6ページ6カット、撮影は関純一。
古びた畳の部屋で撮っても湿っぽくならないのは良い。
AF任せで撮る人特有の焦点の置き所の隔靴掻痒感はあるが、特に貶す程ではない。

_ フォトテクニックデジタル 2014 8月号

モーニング娘。'14(譜久村、生田、鞘師、鈴木、石田、小田)
表紙と巻頭グラビア14ページ19カット、見開きとそれに準ずるものが4箇所。 撮影は小林幹幸。
色味は揃えてデザインは微妙に異なる白い長袖のワンピース、クロシェやキャノチェなど形も様々なストローハット、色違いの編み上げショートブーツ、折り返した履き口にレースのあしらわれたソックス、摘んだハルジオンやシロツメクサで作った花冠etc...、サイズもデザインもそれぞれに合わせて誂えてある衣装や小道具。
リップグロスが強すぎる恨みはあるが、メイクや髪のあしらいも良い。

これが出来るのが小林幹幸であるだけに、松井玲奈の巻頭グラビアでの剣道着と防具の道具立ての雑さ加減が今でも解せない。

閑話休題、群像劇のような道具立てとロケーションは映画から寓意を得たものであるようだが、そうした背景抜きにしても良く出来た14ページ。
割り付けも練られていて、写真の扱いにも恣意が無く、メンバーは写っていない空の写真や山を登って行く後姿の写真などをブリッジとして絵を繋いで行く。

撮られる技術(才能と努力によって得られたもの)に於いては鞘師が矢張り頭抜けており、何処にどう置いても絵になるし、その時求められている表情や仕草を厭味なく出せている。 そして鈴木が思いのほか良かった。 衒いが無い。

価格改訂以来安かろう悪かろうに堕した印象の有ったフォトテクニックデジタルであったが、久し振りに写真に対する審美眼の確かさと編集の力を見せてもらった。

2014 FIFA World Cup Brazil
6ページ12カット、見開き1箇所。 撮影は件の高須力。
アイドルのライブを撮る連載では味噌を付けた高須力であったが、本業では見応えのある写真を撮っていた。
寄っても引いても絵が作れるし、状況判断も良い。 どうしてこの技術とセンスがライブを撮る際に援用出来なかったのか。

飯田祐真
6ページ7カット、見開き1箇所。 撮影は長野博文。
見開きの、斜交いに撮ったアップのカットが良い。
吸い込まれるような瞳の中に撮っている長野が写り込む入れ子構造。
ページ数が少ないと小さいのを無理に押し込むような割り付けになりがちだが、選びに撰んだカットを適切な大きさで配置。
大きく使ってこそ映える写真も、小さく使えば粗の目立たない写真もある。 その辺りの見極めがきちんと出来ている。

宮澤佐江×山岸伸
大病以来すっかり枯れた写真になった山岸伸。OM-D E-M1 で撮影する企画なのだけれど、ファインダーを覗かずに液晶モニターを見ながら撮っているとのこと。
その所為かフィールドカメラで撮ったような構図の切り方になっている。 覗き穴から見た世界ではなく、広い視野から切り出した構図。
構図の細部に集中力を切らしたような雑さの見えるカットもあるが、表情は良い。

宮澤は相変わらず宮澤らしくあり、器用ではないが誠実で丁寧。 頬に当てた手で意味ありげな何かを仄めかすことは出来ないが、嘘くさい表情を作ることなくカメラと向き合えている。
ただ、向き合うカメラの前に一枚何かあるような硬さはあり、それは流転に任せざるを得ない境遇の中で身に付いてしまった物であるような、そんな気がした。

齋藤明里
6ページ6カット、見開き1箇所。 撮影は松田忠雄。
ソニーのα7で撮影。 Mマウントのツァイスとライツのレンズを併用。
レンジファインダーのカメラでは撮り難かった、中央にピントを合わせたいものが来ない構図での近接撮影でも博打を打たずに済んでおり、ここぞと言う所に合ったピントと適切な深度、厳しい構図。 AFに頼らないからこそ出せる精度と言うものもある。
ライツとツァイスの描写の違いはありつつ、全体としての統一感は出すレタッチも憎い。
名代の銘玉を使いつつ、レンズに撮らされていない。

_ UTB+ 2014 9月増刊

山本彩
表紙と巻頭グラビア12ページ10カット、見開き2箇所。 撮影は山口勝巳。
判型の大きさを生かした贅沢な構成。
「求められる山本彩」を完璧に演じつつ、そこからはみ出す部分を出せなくなっているような息苦しさは有るが、それ故の美しさと言うものもまた有る。
人をブツ撮りにするような山口勝巳の作風が、どんな変わった水着でも誂えたかのように収まってしまい、どう撮っても正体を現さない山本彩には良く合っている。
体調や精神状態がどうでもシャッターを切られる段になれば撮られる人の貌に戻ってボロを出さないところは大島優子にも通ずるが、大島との違いは悪戯をしないこと。
決して逸脱をしない隷書の芸。
色々思う所は有ったが、山本彩はこれでこれで良いような気がしてきた。 詰まらないのもここ迄突き抜ければ却って面白い。

宮脇咲良
8ページ9カット、見開き1箇所。 撮影は西田幸樹。
スタジオと屋外、雨天が災いしてか外で撮ったものは傘を差した1カットのみ。 曇りなら良かったのであるが。

一時期は判で押したような困り顔しかしなかった宮脇咲良も一と皮剥けたようで多彩な表情。
柔らかく微笑むことも、素でカメラと向き合うことも、意識だけをカメラに向けることも出来ている。
歯見せ笑顔が画一的なのは瑕だが元々素材は良いので、これだけ出来るようになれば仕事の幅も拡がる。
素でカメラと向き合ってアップに耐え得る顔と言うのも、そうは無い。

高柳明音
7ページ9カット、撮影は佐藤裕之。
カメラマンとの相性もあると思うが、実に良く撮り・撮られている。
額を顕わにしない髪型への拘りは相変わらず有るようだが、海苔で固めたような頑なさは無くなり、隙を見せるようになった。 その髪のあしらいは変えずに衣装のみ3パターン。 じっくり撮っている。
矢張り「在るべき自分」に囚われ過ぎなくなったのが良かったのだと思う。 チームKIIを背負って立つ気概は時として重苦しく感じることすらあったが、それも無くなった。
撮られ慣れてきたからか、口角の上げ下げで表情の諧調を豊かにしており、様々な角度から撮り分ける佐藤裕之も上手いし、編集者もよくそれを拾っている。

白石麻衣
7ページ6カット、見開きはコラージュ的に1箇所。 撮影は桑島智輝。
水着はやらない(やらせない)乃木坂だけに、色々考えて試行錯誤して撮っている。
衣装や髪型のみならず、背中越しに振り向いた横顔など、どう撮れば映えるかについての工夫が詰まった7ページ。

高橋朱里
6ページ8カット、撮影はTakeo Dec.
諧調に乏しい表情だが、妙に作ったようなところは無く、カメラと向き合えているのは良い。
水着になって特に表情が硬くなるという事は無いが、水着以外の方が表情に幅が出る。
雨上がりの屋上に赤いワンピースで立つカットが良い。

太田夢莉
幻想から現実へ、成長と共に移ろう太田夢莉の今を捉えた6ページ8カット、撮影は細居幸次郎。
制服と水着っぽいチューブトップと魔法使いサリー的なワンピースの3本立て。
絞りを開けて撮ったカットにピントの置きどころのズレを感じるようなものも有るが、構図と表情は良い。
幼さからくる可愛らしさで売れてしまうと、後から来た成長期に迷走してしまう事がまま有るが、このグラビアはそんな時期の太田をどう撮るかについて探りながら撮って答えを導き出している。

アップアップガールズ(仮)(関根、仙石、佐藤)
7ページ8カット、撮影は西田幸樹。
仙石みなみは口を開けっ放しにする悪癖が矯正され、それをコントロールすることで表情に変化を付けている。
佐藤と関根はカメラから視線を外す際に「外すこと」に囚われてしまっていて国策ポスターのような堅苦しさが出てしまっている。
写真に限った事ではなく、アップアップガールズ(仮)は「斯く在るべし」が強すぎるのではないか。 その暑苦しさを美点と捉える人も居り、勘弁して欲しいと思う者も居る。 私は後者である。

つりビット(聞間、安藤)
2ページ4カット、撮影は國方大。
スタジオに閉じ込められてしまうと味が出ない。 それが國方大が今ひとつ売れ切れない原因なのではないか。 一寸光も強すぎる。
聞間彩は真ん中に立つには一寸弱いと言う人も居るが、置かれた状況に左右されず、常に一定水準の仕事は出来ている点は評価されて然るべきだと思う。

駒田京伽・指原莉乃
6ページ10カット、指原と一緒のカットのみ見開き。 撮影はHIROKAZU。
全般的に表情が硬く、水着になると顕著。 それでもカメラと向き合おうとしているのは見て取れる。
指原曰く、駒田の魅力は「ご近所感」。 今回のテーマは"隣の大学生"とのことであるが、意図しない微妙な色香を漂わせていると言う指摘は頷ける。
指原莉乃を面白がる層と指原莉乃が求める異性はおそらく一生重ならないので、私生活に於ける幸せには縁遠いのでは無いかと思われるが、仕事で利害や興味が一致する大人に支えられて、仕事面での充実は暫く続くのではないかと私は考えている。

松岡茉優
5ページ5カット、撮影は佐藤裕之。
佐藤裕之らしい屋内での光の廻し方。 芝居畑の人は役ではない自分ではカメラの前に立ちたがらない事が多いが、立たせ方や仕草についての指示が良いのかきっちり絵になっている。 これは「真正面からは撮らない」と言うのも奏功しているように思う。

ハロプロ研修生
事務所が現場に口を挟みたがる所為か、同じ佐藤裕之でもこうも違うかと一驚を喫する退屈なカットの数々。
何故この事務所は並べて撮らせたがるのか。 腐った社会主義リアリズムのような配置やポーズは、アップフロントの官僚的体質を示しているように思う。

萩原舞・工藤遥
6ページ14カット、撮影は鈴木さゆり。
生きた表情を捉えようとしているのは感じられるが、兎に角構図が凡庸。 臆面の無い日の丸構図には苦笑するほか無い。
モデルではなく服を撮る習慣が抜けないらしく、服を生かしてモデルを殺したカットも多い。
ファッション誌の仕事からの切り替えが出来ていない。

道重さゆみ
7ページ9カット、撮影は鮫島亜希子
ハロープロジェクトでありがちな、節目の写真集に力を入れすぎておかしくなるパターン。 
2ページ目などはモデルに助けられて写真になっている。


「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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