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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


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投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2002-10-15 性懲りも無く [長年日記]

_ 今日も

昨日に引き続き月蝕歌劇団の「メトロポリス -遣欧使節団篇- 」を見てきた。 久しぶりにちゃんとレポを書いたのだけれど、こう言う日に限ってftpが上手くいかない。 仕方が無いのでこちらに仮アップしておく。

_ 02 10/15 月蝕歌劇団第43回公演「メトロポリス -遣欧使節団篇- 」千秋楽(番外編)

中野のカメラ屋に顔を出して、都内某所の家賃を2つ入れて、神田で本を買ってから大塚へ。 18時少し前にスタジオ萬の前に着いたら、もう既に整理券待ちの列が出来ている。 受付に「未だ受付は始まってませんよね?」と 訪ねると、忙しく立ち働いていた小さい人がこちらを見るなり「うわぁ!!」。 こちらも思わず「うわぁ!!」。 木塚くんで あった(苦笑)。

暫らくして整理券配布が始まった。 受付は男性スタッフと5月の公演の後、寿退団した宇井千佳さん。 昨日は A席(後ろの方の椅子席)で見たけれどいささか遠かったので、今日はケツが痛くなるわ足は痺れるで大変なのは覚悟の上で前のほうのB席で見ることにした。 整理番号はB席の3番目、早く行った甲斐はあった。 時間が空いた ので駅前のホープ軒で早めの晩飯。 戻って並んでいると月蝕おみくじの販売がやって来た。 給料が入ったので一枚引いてみる、宝井さんであった。

入場して前から2番目の列に座ってみる。 椅子(・・・と言うより「腰掛け」)が予想以上に低く体勢としてはかなりつらいがまぁ仕方が無い。 中でもおみくじを売ってい他のだけれど、売り子が木塚くんであったので、仕方なく(苦笑) もう一枚買う。 スギウラさんの書いた高取氏のイラストであった。

おみくじ販売も終わり、注意事項(携帯・PHS・ポケベルなど、音の出る物の電源を切るようにとの御願い)があった後、長崎萌の歌う「長崎の鐘」が流れ、フェードアウトと共に暗転。


「長崎の鐘」
サトウハチロー作詞・古関裕而作曲

こよなく晴れた 青空を 悲しと思う せつなさよ うねりの波の 人の世に はかなく生きる 野の花よ なぐさめ はげまし 長崎の ああ 長崎の鐘が鳴る
召されて妻は 天国へ 別れてひとり 旅立ちぬ かたみに残る ロザリオの 鎖に白き わが涙 なぐさめ はげまし 長崎の ああ 長崎の鐘が鳴る
こころの罪を うちあけて 更け行く夜の 月すみぬ 貧しき家の 柱にも 気高く白き マリア様 なぐさめ はげまし 長崎の ああ 長崎の鐘が鳴る


今回は「メトロポリス -遣欧使節団篇- 」とあるように、天正少年使節の流転の人生と、キリスト教世界の内 訌、日本国内の切支丹禁教から島原の乱に至る流れを絡めつつ、「メトロポリス」に出てくるようなロボット"も"出てくる。 ただこれはフリッツ・ラング→手塚治虫の流れにある機械としてのロボットではなく、「フランケンシュタイン」 や「砂男」、「未来のイヴ」、「黒死館殺人事件」に登場するような「自動人形」に類するものであるように思われる。 科白にも「木や土から」とあったように、機械ではなく傀儡と言うか金属的でない無機物的で硬質な感じのする生き た人形。 生きた人形となる役に野口員代、宮本リエ、木塚咲、と無機質的な美しさを持つ女優を当てた所にもそ の辺りの意図が感じられる。

悪役としてスギウラユカ、松宮芙多葉、小林あさみの3人が当てられていたが、これも良かった。 特にスギウラ の良く通る低い声と豪快な笑い声、濃い顔(失礼)は妖僧の役にピタリ嵌まっていた。 松宮、小林も脇を固めてスギウラの怪しさをよく引き立てていた。

今回感心したのはこう言った「配役の妙」。 主役としての少年使節も保鳴美凛を中心に据え、脇に一の瀬めぐみを配して月蝕色の強い芝居をさせることによって、華のある長崎萌、圧倒的に美しい宮本リエ、可憐な木塚咲を生 かし、逆に周りに華のある役者を配する事によって保鳴美凛の芝居の上手さも引き立たせていた。

キレた演技とクラウンそのものの動きの三坂知絵子の道化役も凄かった。 この人の引き出しの多さにはいつもながら感心させられる。

あと興味深かったのは、ここのところ少年役と言えば事務所の関係だか何だかで当分出演できないらしい森永理 科であったのだけれど、今回は森永と背格好も面影も似ている細淵仁奈が当てられていた事。 高橋和枝の死去 に伴ってサザエさんのカツオ役が富永み〜なに変わった時の様に、はじめは前任者のイメージを重ねて見られると 思うのだけれど、じきにピタリと嵌まってくると思う。

月蝕は初演の宮本リエと完全に初舞台の木塚咲の2人は短期間の稽古で良く月蝕の芝居に順応していた。 当たり前のようにある殺陣とか、血糊飛ばしとか、アングラ的な発声とか、訳の判らない動きの踊りとか、止ったまま 動かない演技とか、科白を憶える以外にもやらなければならない事が沢山あってさぞかし大変だったろうと思うの だけれど、良くやっていたと思う。 パンフレットにある高取氏の言に「宮本リエの加入で<華の女優陣>がそろっ たと言ってよいと考える。」とあるが、木塚が継続的に出られればその中に入っていけると思う。 初舞台とは思えない堂々とした演技であった。 2人に言える特質は目の強さと「華」。 宮本リエは圧倒的に美しく、木塚咲は際立って可憐だった。

脇を支える男優陣もしっかりしていた。 ダンディな松井、老け役の山口、コメディーリリーフの小西に加えて、和 田・中井と言った辺りも存在感が出てきたように思う。
今回は私が見た中ではこれまでで一番面白かったのだけれど、敢えてケチをつけるとすると、笑いを取ろうとした 部分がことごとく滑っていたところか(苦笑)。 あとは珍しくストーリーも最後までちゃんと繋がっていたし、音響・照明にも目立ったミスは無かったし、払った代価に見合った芝居であった。
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# echo (2002-10-15 19:02)

一昨日は、お誘いいただきありがとうございました。
おかげでいいものを見ることができました。
確かに、あの配役は素晴らしかったと思います。
また、御一緒させてください。



「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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