クリエイションギャラリー箱崎で開催されている写真展へ。
休日は混む(落ち着いて見られない)と踏んで成人の日だった初日は外して二日目に行ってみたのだけれど、中々の盛況。
基本的に一人3点(ゲスト枠的な上野勇と常盤響は多め)。
技術とセンスが有って洒落の解る大人が本気で遊ぶとこうなる。
伊達と酔狂。
惹かれたものから幾つか。
Koujiro KANAZAWA
ピントとかブレとか、そう言ったことがどうでも良くなる写真。
ピントは来ていない乍ら立体感はあり、寄ったり離れたりしながら見ると、眩暈がするような揺らぎも感じる。
こうでなければならない必然を感じるブレボケ。
有末剛
縛る人の縛らない写真。
上気した桜色の肌の湿り気と温もり。
Micchii
寒々とした枯野の真ん中であったり、シャワーを浴びながらであったり、絡み合う男女の熱が伝わる。
生々しくありつつも、さらりとした質感。
錦織智
さっと撮ったようでいて、よくよく見ると厳しい構図。
ピントの置きどころ、深度、露出。 じっくり見ると腑に落ちる、噛むほどに味の出る写真。
ちゃちゃ@佐々木薫
レタッチ過多ではないかと思いつつ、なにか惹かれるものがあり、寄ったり引いたりして眺めているうちに、塗り篭め方の執拗さから描き出されたものが見えて来る。
鏝絵のような、生気の無い美しさ。
末光美幸
常盤響にむしゃぶりつくような体のセルフポートレート。
慌てているようでいて、まんざらでもなさそうであり、躰は冷静。
常盤響の色悪っぷりが愉しい。
ムーニーカネトシ
車の助手席に女性を乗せて、それを運転席から撮った連作をコラージュ的にまとめたもの。
助手席で靴と靴下だけを脱ぐことでエロティックな何かを暗示してしまう発想力にはシャッポを脱ぐ。
Eros は遍在するが、見つけたものの目にのみ映る。
Jelly
特別な人にしか見せない特別な表情。
特別であるからこその抑制。 撮る側も、撮られる側も。
甘く切なく、ほろ苦いもどかしさ。
常盤響
満ち足りているからか、ガツガツしない、枝葉を追わずざっくりと撮った女体。
質感は伝わるけれどカラリとした湿り気の無い写真。
上野勇
キャンバス調の紙に、油彩のようなこってりと濃厚な色乗りのプリント。
「同棲」がテーマになっていて、最終的に目指すところは一つでありつつ、焦らし焦らされる仄めかしとはぐらかし。
殆ど脱いでいないのに匂い立つ色気。
眼福。
R18指定ではあるが、見ていて嫌になる様な表現は(少なくとも私には)無かった。
神保町試聴室で年に何回か開催される関美彦主催のライブ。
関美彦セレクトのガールポップ祭りと言った趣。 誰が出るのか気にしなくても外れないので、安心して指名買い出来る。
演者が十分に持ち時間を与えられてたっぷり歌う。
客が熱心な演者が何組か居た所為か、出足は早め。 一寸早めに出てみたが5番目くらい。
受け付けで出演者の誰で予約したか訊かれたが記憶になく、帳面を見たら店舗予約になっていた。 実質的には関美彦予約である。
しずくだうみ
「闇ポップシンガーソングライター」を自称し、「暗い歌ばかり」と語っていたが、暗いと言うより静かと言った方がより適切ではないかと思う。 静かで意志の強さを感じさせる歌声。
DSC_6582 posted by (C)2petri2
曲の合間に譜面を捲りつつ、間繋ぎに訥々と喋るのだけれど、話にしっかり起承転結がある。
撮影した写真の手元を見ると、この人だけ「キーボード的な弾き方」なのが分かる。 ピアノの鍵を押すように弾くので音に角が無い。
DSC_6590 posted by (C)2petri2
歌と喧嘩しないので、私はこう言うのも好きだ。
Chelip
療養中の中村綾に代わっての出演。 喉が本調子では無いこともあってか、緊張の面持ち。
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暖房が石油ストーブだったこともあってか、空気が乾燥して少々埃っぽくもあったので、その辺りも影響していたかもしれない。
何時ものように藤井美音が曲間に喋りに喋って客席を温める。 或る程度お膳立てが出来た頃には井次麻友の表情も柔らかくなり、茶々を入れ始めるとほぼ本調子。
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少々歌い難そうではあったが、本領に近いところは出せていたのではないかと思う。
井次麻友が楽し気に歌い踊れている現場のChelipは、見ている側も実に愉しい。
姫野たま
客を手なずけて巻き込むのが上手い。 前の方に座る自分以外を目当てにしている客を上げたり下げたり。
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地下アイドルを自称し、実際の活動もそこから大きく外れてはいないのだけれど、曲の質が高く、オケもしっかり作り込まれている。
しっかりし過ぎていて、オケに耳が持って行かれる。
ユメトコスメ
華やかで聴く者の気分まで明るくする長谷泰宏のピアノと、ユミの柔らかく優しい歌声。 ちょうどこんな曲が聴きたかったことに、聴きながら思い至る。
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サポートで入ったヴァイオリンも利いていた。
杏奈(ANNA☆S)
姉妹ユニットで出る予定が、色々有ってソロでの出演となったこともあってか、ピリッとした空気で撮りにくい。
撮るのが難しいのではなく、撮るのが憚られる雰囲気。
ソロアルバムのボーナストラックに入っていると言う「ひこうき雲」に息を呑む。
抑えた歌い出し。 ブレスまで含め、発する音全てでの表現。
ギターの東田亮との息もあっており、練りに練って臨んだライブだった事が窺い知れる。
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小林清美 with 山口サララ
Peach sugar snow 新体制準備中の山口サララとK&Mミュージックスクール代表の小林清美。
オケが流れるや、客にライブアイドル的な盛り上がりを要求する小林先生。
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その流れで緊張もほぐれたのか、終始笑顔の山口サララ。
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肩の力が抜けて来ていた。 上手くないのを糊塗しない歌い方も良かった。
小林清美はピアノで一曲弾き語り。 この人の弾き方は指をしっかり立てて、打楽器的と言うか、きっぱりした音。
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アイドルとして活動する人、アイドルではないけれどアイドルと共演することもある人、アイドルに楽曲を提供する人、アイドルをプロデュースする人。
様々な出演者が「音楽」で緩やかに繋がっている。 客も自律的で、夫々の流儀で楽しみつつ、聴くべきは聴く。
非常に居心地の良いライブだった。
その他の写真は下記に。
しずくだうみ
Chelip
姫野たま
ユメトコスメ
杏奈(ANNA☆S)
小林清美 with 山口サララ
宮脇咲良
表紙と巻頭8ページ14カット、撮影はTakeo Dec.
2012年の暮から、年末発売の号はTakeo Dec.の撮った篠田麻里子か続いていたが、今年はTakeo Dec.で宮脇咲良。
大人びたところを見せたいのだと思うが、目元のメイクが強すぎて些か凶相。
解釈に幅を持たせられる表情、仕草、ポーズ。 この場で求められる宮脇咲良にはなれていて、且つ押しつけがましくないのは良い。
えなこ
巻末5ページ10カット、撮影は桑島智輝。
コスプレの人は「見られたい自分」しかカメラの前で晒さない傾向にあり、その偏狭さに辟易すること暫しであつたりするが、やはりその傾向。
桑島智輝が物撮り的に造形美を切り取って間を持たせている。
PINK! PINK!! PINK!!!
ファッション誌レギュラーモデル10人による巻頭巻末ぶち抜きグラビア。巻頭9ページ、巻末6ページ、撮影はkisimari。
備忘録的に記しておくと、撮られているのは以下の通り。
斎藤みらい(LARME)
日向カリーナ(S Cawaii!)
平尾優美花(Popteen)
遠山茜子(JELLY)
加藤雛V(S Cawaii!)
山崎あみ(with)
杉本美穂(S Cawaii!)
レイニー(LARME)
阿部菜渚美(Cancam)
松元英里花(Ray)
媒体によって求められる写真が異なることが分からないか、撮り分ける事が出来ないか、青年誌のグラビアを見下しているか、その何れか若しくは全てであると思うが、一貫して着ている物を見せる写真。 写真と言うか、塗り絵とコラージュ。
人物が撮れないカメラマンを巻頭グラビアに使う意味が解らない。
体制が変わったのだか何だか分からないが、ヤングジャンプ編集部の迷走ぶりには頭が痛い。
オリンパスプラザ東京に併設されているオリンパスギャラリーへ。
パリで撮った、モノクロームの写真展。
街の風景や建物の一部、市井の人々の肖像。 これまで様々な写真家が撮ってきたものの延長線上にあるパリなのだけれど、距離感とか切り取り方は中藤流。 礼節のある距離の詰め方。
遠くにエッフェル塔を望んでパリ市街を俯瞰した写真が象徴的。
地平線は斜めなのだけれど視覚的な揺らぎは感じない。
他の写真でも水平垂直に関してはざっくりしているのだけけど、見ていて平衡感覚がおかしくなる写真は無かった。
画面の中の水平垂直に囚われていないのが、却って良いのだと思う。 そう見えているであろう角度から切られた構図。
プリントが実に美しい。 デジタルでのモノクロームなのだけれど、銀塩でも此処迄の物には中々お目に掛かれない。
粒感は適度にあり、諧調も豊か。 「黒」と「黒と灰色の間の色」にある暗部に幅と深みがあり、黒もきっちり締まった「黒より黒い黒」。
自らも暗室に入って、試行錯誤しつつプリントをしているからこそ辿り着けた高みだと私は思う。
写真展の概要や写っている人物の説明で貼られた紙の書体が活字調のもので、これも写真に良く合っていた。
入り口に近いものから順に見ていくと、最後の最後でひっくり返る。 夢のようなノスタルジーの中のパリから、現在の現実のパリへ。 生まれ育った人々のパリから、やってきた人々のパリへ。
行きつ戻りつして見返す。 それもパリであり、これもパリである。
以下は展示内容ではなく、ギャラリーそのものに係る部分の話。
オリンパスプラザが入っているビルの構造上仕方がないのであるが天井が低く、低い天井から更に吊り下げられたライトを直接当てているので眩しい。
一寸離れて見ると気にならなくなる位置を見つけられるのであるが、寄って細部を見ようとすると一寸煩い。
直接は当てないとか、もっと高い位置から当てるとか、やりようはあると思うのだけれど、照明機材の選定にあたって「どう見えるか」について検討したとは思えない。
念の為書いておくと、機材選定に当たっての誤りであり、そこに在る機材での最善を目指してはいたと思う。
床や壁の色調や部屋の明るさ、空調の設定などは良かっただけに、画竜点睛を欠いた感があった。
ともあれ、写真展としては非常に見応えの有るもの。 会期中にもう一度見に行きたい。