代官山駅近くにあるシアターサイバードで開かれている写真展を見てきた。
開催最終日で日曜と言う事もあってか、無茶な混み様。
列の最後尾を探して建物の裏へ廻り並ぶこと三十分余、漸く入場。
入口で木戸銭を払う。 この土日に代々木で行われるコンサートの半券を提示すれば500円、一般入場は700円。 冷やかしで来られると収拾のつかなくなる規模なので、妥当な線の値付けだと思うし、払った代価以上の質の写真でもあった。
あまり広くは無い会場ながら展示には工夫が凝らされており、最低限の間隔は空けられているので写真を見る際には一枚に没入出来る。 照明が一寸煩いが、これはまぁ仕方がない。
リハーサル風景だったり、楽屋だったり、コンサート本番であったり、状況ごとカメラマンごとに小部屋に分けられており、特に順路が設けられていないので、行きつ戻りつ何度も見直す。
三十分程であろうか、人混みに気分が悪くなるまでじっくりと。
舞山秀一と松田忠雄とでは時間と空間を写真に封じ込めるやり方に違いがあり、光を切り取るような舞山に対して、闇もあわせて掬い取るような松田。
一瞬を捉える舞山と、その前後も含めてふわりと掴む松田の対比の妙。
コンサートそのものの写真も勿論良かったのだけれど、楽屋であったりリハーサルであったり、観客の視線を意識していない写真に唸らされた。
舞山の撮った、楽屋での衣装合わせなのか光の中に浮かび上がるような姿を捉えたもの。
松田の撮った、暗がりの中で舞い踊る様や、照明の落ちたステージで談笑する姿。
落ち着いてじっくり見たかったが、行った時間帯が悪かった。
後悔先に立たず。
「ぼちぼち書いて下さい」との伝書鳩が来たので、少しずつ書いてみようと思います。
筧美和子
8ページ13カット、撮影は阿部ちづる。
表紙が一番扇情的であると言う良くあるパターンだが、扇情的ではないカットの方が良く撮れている。
被写体の表情の諧調に乏しいのを切り取る角度を変えて何とかしようとしつつ、どうにもなっていないもどかしさ。
滝口ひかり
巻末グラビア5ページ14カット、撮影は古谷完。
被写体に罪は無いが衣装や道具立て以外工夫が見られず、表情が単調。 AF任せで撮っているのでピントの置き所を考えておらず、深度のバランスも悪い。
どうにもならない写真を数打ちで並べて成り立たせた5ページ。
本田翼
7ページ22カット、撮影は阿部ちづる。
時間はあまり掛けられないが予算はある感じのスタジオ撮影。 カメラと正対しない、視野の端にカメラを入れたようなカットが良い。
綺麗に見える角度が左右方向に広い顔立ちを生かしたやり方。
内田真礼
巻末グラビア8ページ9カット、撮影は中山雅文。
中山雅文にしては湿度低目の取り方、しっとりしているがじめじめはしていない。
2ページ目などは悪くない。
バイトAKB
6ページ33カット、一人当たり1/6ページで1カットずつ。撮影は桑島智輝と門嶋淳矢。 贅沢な流れ作業、どう分担したのかはよく判らない。
流れ作業で撮って箸にも棒にも掛からないカットが無いと言うのは褒めて良いと思う。
小瀬田麻由
巻中グラビア4ページ8カット、撮影はTakeo Dec.。
笑顔を作っておかないと間が持たせられない隔意を感じる。
写真そのものは可もなく不可もなく。
飯豊まりえ
巻末グラビア5ページ17カット、撮影は大江麻貴。
脚の長さをそれとなく且つ綺麗に見せる事にはとりあへず成功している。 これがなかなかに難しい。
モデルの意識が着ているものを見せる方に傾きがちなところを、寄ったり引いたりしてどうにかしようとしている。
篠田麻里子
表紙、巻頭、巻中、巻末のぶち抜きで篠田麻里子、撮影はTakeo Dec. オマケカレンダーまで付く大盤振る舞い。
屋内と屋外で撮り方を変えており、撮影手法のお手本としては面白いが、篠田は例によって商売用の自分しかカメラの前には出さないので、そう言った点での面白味は無い。
大島優子
7ページ14カット、撮影はTakeo Dec.。
瘧が落ちたと言うか、役者の貌をした大島。 役柄ではない自分でカメラの前に立ち、多少サービスはしつつ遣り過ぎず、素でカメラの前に立てている。
4~5ページ目が良い。
乃木坂46(西野・深川・若月・桜井)
巻末7ページ12カット、撮影はTakeo Dec.
集合で2ページ2カット、コラージュ的に1ページ、あとはそれぞれ1ページ1カット。
顔見世グラビアの定石。 良く出来ている。
私立恵比寿中学
8ページ15カット、撮影は桑島智輝。
ももいろクローバーにしてもこの私立恵比寿中学にしても、スターダスト所属のアイドルは事務所の縛りと言うか介入と言うか、そうしたものが色濃く感じられるグラビアが多く、凝った割に詰まらないものが多い。
写真の仕事では、新津保健秀のモデルを個人でしていた早見あかり以外「これ」と言う物が無い。
そんな中でも今回のグラビアは悪くない出来。 制約が多く自由度の低い仕事での桑島智輝の強さ。
4ページから7ページ迄の二人組にして撮った4カットには唸らされる。
高嶋菜七・櫻井紗季(TPD)
巻末5ページ10カット、撮影は関純一。
作り込んだ割にライティングが雑だったりしつつも、顔見世グラビアとしては及第点。
1ページ目は脚の長いのを見せようとしたのだと思うが、あおり過ぎていてあざとさが鼻に付く。
武田紗季・石田佳蓮・沢井里奈
撮影は桑島智輝。
短時間で何とかした感じの錬金術的8ページ。
馬場ふみか
巻末5ページ10カット、撮影は中山雅文。
バストアップとウエストアップ多めで、小さく使われているもの以外全身の入ったカットが無い。
粗があったとしても、何とかならなかったものか。
表情は概ね良い。
最上もが
7ページ25カット、見開き1か所。 撮影は桑島智輝。
カラーコンタクトで全編死んだ魚の目。
ブツ撮りとしては良い出来だが、それ以上でもそれ以下でもない。
モデルの頑なさが出てしまうと、カメラマンに出来る事は限られてしまう。
不幸な出会い。
藤澤季美歌
5ページ11カット、撮影は細居幸次郎。
日が傾いてから撮ったと思われる後半が良い。
屋外でもこうした光線状態なら上手い。
お披露目から一年(その時の事は こちら に。)、紆余曲折ありつつも一年持った。
客層の固定化から来る厭な予兆が感じられるようになりつつある。
それは客が集まり始める時間がなし崩し的に早くなってきたり、歩道を塞いで屯したり、人込みを憚らず煙草を吹かしたり、スクーターで乗り付けて路上に放置したり、客としての横のつながりや纏まりが群集心理としての悪い面に働きつつあるように感じられた。
こうなる現場はアイドルに限らず民度が低めに安定して客層に拡がりが無くなって行く傾向にあり、客の自律性に依拠した濱野の遣り方が客の側に裏切られつつある。
この傾向が顕著に見られるということは、「そう言う客層」にしか届いていない訳であり、広く売れる為にはその外側に届ける工夫も必要だと思うのだけれど、今のところ出演するライブやイベントも旧来型のごった煮イベントに偏っていて、ブロック経済的枠組みの中での客の取り合いから先に進めていない。
プロ野球負けられない宣言
開演に先立ち、例によって空井と石橋(カオポイント)による野球談義。
例年は調子が上向く交流戦で躓いて低迷を続けるロッテには空井もボヤくほかなく、悪いなりに何とかなっている西武の相対的優位が変わらない石橋は上機嫌。
ロッテには勝って欲しいがボヤく空井も見たい。
PIPEACE
森崎恵プロデュースの派生ユニットから ゆたんぽ% が参加。 四月以来消息不明の北川萌絵は今回も告知なしで欠席。
これ迄のところ辞める連中はきっちり送り出して来た訳で、それすら出来ないと言う事はまぁ色々あるのだろう。
押上WALLOP放送局でのPIPの番組は6月一杯ですべて終了という突然の発表から「名場面集」と言う形での振り返り企画。
CMに入ると流石にどんよりするが、配信される時間は気丈に振舞っていた。
ガヤ入れ・オチ要員としての森崎が良い仕事。 上げたり下げたりする猛獣使いが居て光るタイプなので、身内だけで廻す時にはその役回りが出来るメンバーが必要になるが、今のところ石川だろうか。
最後の最後でVTRが流され、7月から新たに番組が始まると言う種明かしをされてメデタシメデタシ。
石橋哲也は仄めかしと巧妙な言い回しで言質を取られるような物言いを避けており、それが伏線となっていた。 一と月前からメンバーに終了の告知をしておいて、最後の数分間徹底して居直ることでそれ迄のお通夜モードの展開を笑いに転化。
悪くない後味で〆るところは流石。
PIPデビュー一周年記念公演
一周年と言う事で、全員初期の衣装である紺のポロシャツで登場し、お披露目で演った三曲を皮切りに新富町時代の演目で押す構成でみっちりと。
グループ総体としての力量が上がっている為、借り物の曲も自家薬籠中の物としつつあり、きっちり見世物にはなっていた。
のっけから最大戦速の柚木の横で、空井も永瀬も付いて行けてはいる。
暫く演らなかった(出来なかった)ユニット曲も、抜けたメンバーのパートを別のメンバーで埋めて久しぶりに。
橋田 唯
出ずっぱりでも乱れない。 肩で息することも無く、顔色も変わらず、表情にも出ない。 背負ったものを背負い切る矜持。
Mädchen から Weib になりかけている過渡期の可憐さ。
永瀬 綾香
知己と話をしていて出たのが「失敗しないことに重きを置いているのではないか」。 言われてみるとソツは無いが守りに入ってしまっているような気はする。
言われてみればそう思えなくも無いくらいの話で、質的には悪くない。
福田 蘭奈
普段はあまり感情の昂りを表に出さないのであるが、一周年と言うこともあってか髪に花冠を付けたり頬にスパンコールを貼ったり、珍しく晴れがましさを目に見える形で。
それを指摘されると照れるところまで含めての福田らしさ。
小室 志織
動きの切れはそのままに、止め撥ね払いに情緒が出てきた。 怪しかった音程も揺らぎやすかった感情も安定。
安心して観ていられる。
瑞野 由佳
一と皮剥けたと言うか弾けたと言うか、怪我で休演する前より遥かに良くなっていて驚く。
必要とされることは不足なく出来ていて、そこに一寸ずつ上乗せしてサーヴィス。
アキレス腱が断裂しかかったと言う怪我の程度からすると本復には到っていないのではないかと思われるが、それを感じさせない動き。
表情にも翳りを見せない。
小林の担っていた絶対的な安定感にプラスして客席を大掴みに捉えた目配り手配り。
工藤 千里
求道者的な重さが無くなり、楽しんで歌い踊れている。 蕾のままでも美しくはあったが、頑なな何かから解き放たれたことによる華やかさ。
澤村 まどか
可愛らしさに分かりやすさが付与されてきつつある。 次の動きに気をとられて素になる瞬間が無くなったので、魔法が解けなくなった。
柚木 萌花
振り付けに関しては相変わらず隙が無い。 完璧といっても良い出来ながら盛り込むより精度を上げるほうに神経が行っているので胸焼けするようなこってり感はなく、よくよく見ると凄みを感じるけれど全て事も無げに演っているように感じられる。
激しく動きながらだと揺らぐこともあるが、音程も安定してきたし声も出ている。
豊栄 真紀
終演後の記念撮影で舞台上に呼び込まれ、在京中であった事を知る。
紺の前ボタンのワンピースにライトグリーンのカーディガンを羽織り、光沢のある黒皮のストラップパンプス。 髪は少し伸びただろうか、アイドルとしての衣装ではなく大学生としての私服と言うこともあってか大人びて見える。
物販の出口のところで自主握手会を開催。 合理的なようなそうでもないような、計りかねる振る舞いが豊栄らしくあった。
空井 美友
音程を外さなくなって、緩急強弱も付けられるようになり、「歌」になってきた。
最初期は器械体操めいていた振り付けも演武を経て「振り付け」に。
濱野 舞衣香
緩めのポニーテールが愛らしい。
ユニットの相方が軒並み辞めてしまったのと持ち歌の難易度が高いのとで思いの外出番は少なかったが、全体曲で歌い上げる部分はこの人が歌うと矢張り締まる。 難しいとこを割り振られているが、とっ散らからなくなった。
石川 野乃花
石川も「斯くあるべし」から解き放たれつつあるように思う。
用意してきたそのままではなく、状況や感情に合わせて紡ぐ言葉は纏まらないこともあるが、それ故に心に響く。
山下 緑
一部の全体曲にしか出た事の無かった山下が、限られた曲数ではあったがこれまで出られなかった全体曲やユニット曲にも参加。
覚束なくはありつつも絶望的な表情は見せず、インチキ日舞の即興当て振りめいてはいたが石を投げたくなるような酷さは無く、出来ても出来なくても表情には出さずにモナリザの微笑を浮かべつつ何食わぬ顔で舞台に立てているのは良かった。
森崎 恵
序盤から感極まる森崎。 振り付けに篭もる情念も二割増し。
喜怒哀楽が激しく出るので表情は崩れがちだが、その突き抜けた可愛く無さ加減が微笑ましい。
安斉 由華(PIP-KYOTO)
合わせる時間もあまり無かったと見えて緊張した表情である時間が長いのだけれど、ふとした瞬間にそれが解れてフニャリとした笑顔になる。
LasRabbi(工藤、ゆたんぽ%、森崎)
オケの音が薄く、音程は掴めてもリズムが取り難い。 更にはリズム感の無い(あるいは乱したいだけの)客の破調のハンドクラップが邪魔をする。 それでもオケとのずれは最小限に止めており、三人で合わせる営為の積み重ねは感じられた。
不自然な間繋ぎが挟まり、何事かと思ったら森崎が選抜衣装で登場。 嬉しそうでありつつ恥ずかしそうでもあり、また申し訳無さそうでもある複雑怪奇な表情。
感極まりっぱなしだったのも頷ける。
選抜メンバーに帯同して出ずっぱりではありつつ、選抜にはなれない期間が長かったので感慨もひとしおであったのだと思う。感極まりっぱなしだったのも頷ける。
今後の告知の為に第一子が誕生したばかりの濱野智史が登場すると客席からは「おめでとう」の声。
メンバーから涎掛けのプレゼントなどありつつ、CD発売のお知らせなど。
毎月のようにメンバーが抜けたり音信が途切れたりする中でも纏まりは保ち、一周年に際して練り上げた公演を見られたので先ずは一と安心。
試練の季節を越え、笑顔で春から夏へ。
春山淡治而如笑 夏山蒼翠而如滴
「はじめてのチーム8公演」と銘打たれている通り、チーム8公演未見の客を対象にしており、当選確率が高そうなので久しぶりに申し込んでみた。
キャンセル待ちの厳しい番号ながら辛うじて当選。 行ってみたら木更津でのイベントが重なって客が割れた事もあってか抽選枠内で買えた上に入場時の籤運も良く、割と早いうちに呼ばれて中へ。
(ちなみに劇場公演を見るのは2009年7月のチームB以来となる。)
次にいつ観られるか分からないので距離と視野率を天秤に掛けて距離を採ってみた。
舞台中央から半分は見えないが、近くないと見えない物もある。
影アナは鹿児島代表の下青木。 注意事項が原稿の大半を占めるだけに努めて標準語で読んでいるのが微笑ましい。
各都道府県から一人ずつと言うのも面白い。 トヨタがお旦と言うこともあってか、都市対抗をアイドルでやっているような印象。
Over ture から「PARTYが始まるよ」「Dear my teacher」「毒リンゴを食べさせて」
このあたりはチーム8のメンバーについて予習して行かなかったこともあり、歌い踊る目の前の連中より「ああ、ここは数少ない宇佐美のパート」「パーティー砲発射」「ここで成田に合わせて成田の客も前のめり」「『でっきなぁーい』で回る平嶋」など、死んだ子の歳を数えるように過去の幻影を見て涙に暮れる。
チームKでもチームBでもさんざっぱら観た筈なのに、思い出すのは何故かチームAですら無かった、篠田も居なかった頃の立ち上げメンバーの姿。
3曲終わって自己紹介と相成ったが、声はすれども姿は見えずで誰が誰やらのままユニットコーナーへ。
(「お色気担当」は不吉なので止めておくが吉)
ユニットの曲になって漸く人となりが見えてくる。
「スカート、ひらり」
低く地を這うような動きの二人が目に留まる。
帰りに壁掛け写真で横道侑里と谷口もかであった事を知る。 面白い。
チーム8は少なくとも初期の3チームとは違っていて、素人然とした「出来ない子」が居ない。
技倆には矢張り差があり、至らないメンバーはそれなりの役回りなのだけれど、出来ている連中は既に一定以上のレベルに達していて且つ擦れてはおらず、大人の思惑でこの先どうなるかは分からないが少なくとも現時点では純粋培養が吉と出ている。
「クラスメイト」
戸島のソロパートだけが戸島の声で脳内再生される。 戸島の声だけ撰って聴いていた事にほぼ十年越しで気付く。
「あなたとクリスマスイブ」
「演るんだ」と言う単純な驚き。 曲の半ばで立ち上がり、舞台の端まで歩いてくる演出が嬉しい。
死角の多いこの劇場では、人数の少ないユニット曲などでは一曲丸々見えないと言う事もままある。
「キスはだめよ」
プレートメイル衣装の円盤がひん曲がっていて経年劣化が激しい。 大事に使ってよくもたせているとは思う。
立ち上げメンバーも初期チームKの連中も梃子摺っていた曲だが、さらりと演ってのけていて驚く。
「星の温度」
横道侑里と谷口もかが再び登場。 横道は扇情的な動きをしつつも程が良いのでくどくならない。 盛り込み過ぎず、むしろ刈り込んだような印象。
「星の温度」のアウトロで暗転。 ケミカルライトならまだしも、スイッチの付いているペンライトを点けっ放しにする馬鹿が多いのに呆れる。
スクリーンに映像を投影する際には、場内警備スタッフが点けたままにしている客に声を掛けて消してもらっていた。
客席を照らす薄明かりがあって完全暗転にはならないにしても、何故そう言う演出になっているか分からない非常識。
着替え待ちの間繋ぎのお題トーク。 普段喋っている言葉を矯正する必要が無いので、様々な方言が飛び交う国語元年。
「桜の花びらたち」
この曲の衣装のスカートは柔らかな布地で左右に緩く翻して映えるように出来ており、ステップを激しく細かく踏むと裾が暴れてあのり美しくないのだけれど、往時の宇佐美のように16ビートを刻んでるのが居て懐かしさに笑う。
曲の後半で花びらマシーンが起動。 これが動いているのを見るのも何時以来だろう。
「青空のそばにいて」
マイクスタンドを片付けかたがた捌けて行ったメンバーが三々五々戻ってきて曲が始まり、終わりに差し掛かってセリが上がって行く。
私の葬式にはこの曲を掛けて欲しい。
曲が終わって捌けて暗転。 かつてはお座成りだったモップ掛けはやけに入念で二往復。
それを見届けてから散発的な拍手を起点に、醜悪なヘゲモニーの取り合いや、馴れ合いを経ずアンコール。
歌詞に出てくる店の大半が既に無い「AKB48」から「桜の花びらたち」で再び暗転。
通常の「PARTYが始まるよ」公演はここまでだが、チーム8はオマケ付き。
チーム8メドレーから「汚れている真実」「僕たちは戦わない」で終演。
メドレーからはゴリゴリしたダンスナンバーが続く。
これが踊れればパーティー公演の曲は軽くこなせると思うのだけれど、流して演る事も無く、盛り込みすぎて壊す事も無い。
この辺りの匙加減は裏方がコントロールしているのだと思う。
オケの音が途切れて止まり途切れたところから始まるトラブルがあったが、何事も無かったかのように曲に入り、厳しく仕込まれているであろう事が見て取れた。
歌より踊りに重きを置かれているのかオケの被せは強めで生歌感に乏しかったのは疵だが、思えばパーティー公演はそう言うものだった。
オマケがたっぷり付いて2時間近く。 資本主義の有難さ素晴らしさを改めて感じたチーム8公演であった。
“はじめての”と付いたせいもあったとはおもうが、今日のチーム8公演の客の大半が擦れっ枯らしではないライト層だった。 なんというか、ペンライト振っときゃ良いと思ってるような、騒がず手拍子すらしない静かな客。
「アイドルはペンライトを振って見るもの」と言う先入観に囚われている所為か、常に両手が塞がっているので音の出る拍手をしない。 そう言う客が増えてはじめて「売れた」と言うことなのだと思う。
AKB48劇場で公演を観ていて、客で不愉快な思いをしなかったのは初めてかもしれない。 それくらいおとなしかったが、盛り上がっていない訳ではなく、馴れ合いとか悪目立ちが殆ど無かったと言うこと。
ざっと見て何で採ったのか初見では判り難いの(大江・小林枠)がおらず、見た目も歌も踊りも水準以上。 このあたりのクォリティコントロールがトヨタらしくあり、ともすれば詰まらなさに繋がってしまうところを上手いこと見世物に纏め上げている。
「とても良かった」と友人に感想を伝えたところ「(運営側の評価基準で)上から7人出てなくてソレです」と告げられで唸る。
通常1チーム20人凸凹のところ倍以上居る訳で、層の厚さはあるにしても、良いチームとして出来上がっている。
既存のAKBとの接触を嫌う向きが多いのも頷ける純粋培養ならではの清新さ。
劇場公演は蔑ろにされ、接客営業系イベントが活動の中心になって久しい。 そしてそれは今後もそのままであると思うのだけれど、劇場公演はしっかり行われていた。
嘗てのように訳知りの擦れっ枯らしが屯する場ではなく、入れ替わり立ち代わり様々な客がやってくる。 初めて来る客の方が多いのかもしれない。
そうした客でも分かるように繰り返し説明をし、戸惑いを見せる者には声を掛け、世知辛い諸々で煩瑣を極める入場手続きも遅滞無く行えるシステムを組み上げられている。
「大声ダイヤモンド」の劇場盤握手会の時だったか、劇場スタッフの郡司氏が「悪いことをする人は沢山居るのだけれど、有名客じゃないから把握しきれない。」とボヤいていたのだけれど、そうした苦い経験をが生きてか、煩わしい手続きや規制が増えに増えても定刻通り開場開演出来ている。
AKB48は、まだ死んでいなかった。 少なくともAKB48劇場は正常に機能している。
「アイドル好きアイドル」『神セットリストを作ろう』
第5火曜まである月の、余一会のような企画。 「アイドル好きなアイドル」としてnotallから片瀬成美と佐藤遥、PIPから石川、工藤、濱野、森崎、柚木、ゆたんぽ%。 司会は石橋哲也(カオポイント)
1グループ1曲、1人につき1出番で前12曲のライブの構成を考えるというもの。
裏ルールとして「予算12億」一億円あれば大抵のグループは呼べるだろうということらしい。
実際何が見たいかと言うだけでなく、話をどう膨らませるか、司会者にどう拾ってもらうかまで考えられているかどうかに差が出ていた。
ボケにボケてボヤいて石橋の突っ込み待ちの森崎と、多段階のオチまで入れてくる佐藤遥が出色。 どっち付かずになると司会者も扱いに困る。
最後の最後で理由は分かるのだけれど、石橋哲也の司会ぶりにいつもの冴えは無く、ほどほどの盛り上がりで終了。
企画としては面白かったし、話を広げるためのルールも良く練られていたとは思う。
やるタイミングが悪すぎた。
「notall×PIP対決特番!~tokyo torico2の顔はどっちだ~」
7月から2年目に入るtokyo toricoの顔を決めると言う体での対決企画。
自慢対決
腕相撲対決
胸キュン対決
大喜利対決
パフォーマンス対決
司会の石橋が上手く上げたり下げたりして引き分けの決着、tokyo toricoの顔はと言うと「モコ族」と言うオチ。 全員でズッコケて番組としては大団円。
終演後にnotallの物販は別室で行うとの事でPIPの客だけが残り、そこで橋田と柚木が辞める件、永瀬が休業する件が発表。
そりゃどうやったって葬式ムードは表に出る訳で、notallの皆様(とお客さん)には全く以って申し訳ない仕儀になってしまった。
私は番組として楽しめず、物販に行って話す何も無い状態だったのでそのまま帰ろうとしたところで石橋に促された永瀬が休業を、橋田が辞める旨発表。 居た堪れなくなって出てしまったのだけれど、そこから更に柚木が辞める件と濱野智史からの説明があったらしい。
自分たちの客に自分たちの口から伝えたいという気持ちは分かるが、ネット配信とは言え「番組」である訳で、それを破壊するような形で利用するのは芸能を生業とする人間としては避けて然るべきであり、驕りと捉えられても仕方が無い。
共演者はやりにくく、司会も盛り上げ辛く、放送局側としては番組が盛り上がらない。
切羽詰った状態であったにしても、視野狭窄に陥って掛けてはならない相手に迷惑を蒙らせた事は事実であり、PIPのイベントやライブの中では最悪の後味であった。
さてはて、澤村に続いて橋田と柚木。 飛車角どころか玉まで無くなった将棋をこの先どう指すのか、投了まで見て行こうとは考えている。
どんな状況にあろうとも、一旦幕が上がったら終演までは舞台の上の人として振舞わなければならない。 notallは全員、PIPだと森崎はそれが出来ていた。
知っていて知らないふりをしなければならない石橋もやりにくくはあったと思うが、最後の最後まで客に気取られること無く進行していた。
ただ石橋が動かそうとしても何時にも増して反応が鈍いメンバーもおり、同情の余地はありつつも見ていて辛く居た堪れない気分で過ごす羽目になった。
私などは所詮客に過ぎず、表面に出てきていることから判断するしかないが、楽しい未来を仄めかすだけでいいから提示できるアイドルであって欲しい。