副題は『「PIP新富町会議室での公演はこれが本当に最後。11月生誕祭、meltiaゲスト、そしてPIP初オリジナル曲の披露と、超盛りだくさんの3時間超大ボリュームでお届け!」公演』
駆け込み需要なのか、ご新規さん多目で盛況。 予約の80枠は早々に埋まり、20枠増やした分と当日入場で札止めにはなっていないがこれ迄で一番の大入り。 葬式ごっこにかこつけて騒ぎたいだけの連中も多かったようで、客民度も過去最低。
「遅れてきたピンチケ」としての濱野智史の造反有理(子供たちが騒ぐのにも理由はある)的な考えと振る舞いで、何をどうやってもメンバーに危害でも加えない限りに於いては野放しでありつつ、見たい・聴きたい客と騒げればいい客は椅子席と立ち見で或る程度の棲み分けがなされているので現状で目立ったトラブルは起こらずに来たが、流石に今日は椅子席の客にも苛立ちが見られた。
先ずはゲストのロリィタ*アイドル meltia が顔見世がてら一曲。
顔立ちから芸名から個性的で、安田猛の繰り出す七色の変化球の趣。
水木 なでしこ がジェネリック岡田奈々と言う感じで、お得で且つ可愛らしく、印象に残った。
出囃子代わりにウェストミンスターの鐘を鳴らしてから Dreamin' girls 。 歌いながら入場し、4曲続けてやって自己紹介。
お題は「会議室の思い出」であったのだけれど、この時点で既に涙腺が決壊しかかっているのもちらほら。
山下緑はまだ出来る曲の方が少なく、その間は衝立の後ろに隠れているのだけれど、頭隠して何とやらで他の連中の歌い踊るのを楽しげに見ているさまが見えちゃってるのがどうにも可笑しかった。
澤村が何と言うか、聖徳太子の左右に居る人のような髪型。
ユニットコーナーは濱野、羽月、小林の「初恋サイダー」から。
濱野と羽月は喉に来る風邪が漸く本復したようで、伸びやかな歌声。 小林も含めて「質の異なる歌唱要員」が揃っているのは、矢張りグループとしての強みだと思う。
モニタースピーカーが無い所為か、客が騒ぐと音が取れなくなってしまうようなところが有る。
「ウィンブルドンへ連れて行って」(福田、橋田、柚木)、「向日葵」(永瀬、空井、牛島、森崎)、「ハート型ウィルス」(工藤、石川、豊栄)、「てもでもの涙」(濱野、羽月)、「高値の林檎」(澤村、瑞野)、「禁じられた二人」(北川、柚木)、「天使のしっぽ」(橋田、福田、小室)、「夢見る15歳」(橋田、福田、小室、工藤)、「シンクロときめき」(御坂)、「夜風の仕業」(高城)、「枯葉のステーション」(空井)、「君の名は希望」(濱野、小林)とユニットで押す攻勢。
橋田は動きが雅やかで、振りの独自解釈は少ないのだけれど目を惹く。
高すぎるマイクスタンドを、顔色を変えず歌いながら調整する石川。
澤村と瑞野は振りの解釈に微妙な差異はありつつ、止め撥ね払いが綺麗なので調和して見える。 行書の芸。
工藤は妙な気負いが消えて表情が明るくなり、動きも軽くなった。 良い変化。
小室は動くと猫背が直り、激しい動きにも情緒がある。
御坂は振り付けにメリハリが付いてきた。 歌は平嶋夏海唱法の域にあるが、危うさは影を潜めつつある。
高城は間奏時に中手が入るくらいで客の反応が薄い曲を走らず遅れずしっかり歌いこなせていた。
空井の「枯葉のステーション」は技巧より情念で聴かせる。 源氏物語の第四帖と言うか「道成寺」と言うか、旅行をすっぽかした奴の哀れな末路まで見えるような、本家とは別物の凄さがあった。
その凄いのを目の前にして、碌すっぽ聴きもしやがらないで名前を叫ぶしか脳の無い野暮な客。 空井も客筋が悪い。
濱野と小林は歌い方や声の質の違いにヴィオラとチェロのような相性のよさがあり、耳に優しい。
お披露目のときからの3グループに分かれて担当曲を演ったあと、11月の生誕コーナーへ。
「ね〜え?」(工藤)、「コネクト」(橋田)、「Be MYSELF」(工藤、橋田)
ハロプロ本体ではなく、何故松浦亜弥なのかと思ったら、「(「ね〜え?」は)道重さんもカバーしていたので」とのこと。 「やり切れました」と満足げに語っていたが、肩の力が抜けた工藤は表情も明るくなり、これまで感じられた辛気臭さと言うか息苦しさと言うかそう言ったものが無くなり、良い方向に変化している。
再び meltia が二曲。 カバーの曲はピンと来なかったが、最後に演ったオリジナルの曲は振り付けも含めて良く出来ていた。
ここまで来て漸くPIP初のオリジナル曲を披露。 選抜メンバーで「僕を信じて」「選ばれたから」。
歌詞は濱野らしいと言うか何と言うか、言葉からイメージを喚起せしめるものではなく、文章として咀嚼して解釈するもの。 詞であって詩ではない。
その辺りに飽き足らなさはありつつ、歌割りや振り付け、フォーメーションは凝った作りで見応え聴き応えはある。
未だ々々硬く、こなれるまでは暫く掛かると思うが、他所へ打って出て勝負出来得る楽曲には仕上がっているし、その「曲の出来の良さ」からか、本気の柚木が漸く見られたように思う。 選抜メンバーの目の色は勿論変わって来ているし、非選抜メンバーのやる気にもプラスに働いている。
詳細は発表待ちだが、定期公演再開の目処も付いた由。 このまま良い循環で動いてくれることを祈りたい。
給料日前にリリースイベントが並んだり、曲がどうにも気に入らなかったりで間が開いてしまったが、矢張り見たくはあるので池袋。
パルコの別館のようなファッションビルの5Fと6Fにタワーレコードが入っており、洋楽売り場の端に小ぢんまりとイベントスペース。 開演15分前に着いたが先客は影かたち、つ離れしないどころの騒ぎではなく肝を冷やしたが、三々五々集まってきて開演する頃には店舗スタッフからお膝送りのお願いが出る位には埋まっていた。
きっといい場所
マスカット・スロープ・ラブ
エルスカディ
有頂天ガール
周辺状況には嫌気が差すこともまま有るのだけれど、歌って踊る部分の芯はしっかりしており、そこで客を裏切る事は先ず無いので、「断続的に」では有るが足を運び続けている。
新曲は井上大輔の手によるもの。 未発表曲と言う事はそれなりの曰くがあるとは思うのだけれど、聞き込んで耳に馴染む佳曲。 今回の私服(事実上の衣装)はチアリーダー的なAラインのワンピース。
相変わらず丈は無駄に短いのだけれど、タイツ標準装備なのは良い。 長い手足はスラリとして無駄な肉が無く、指先まで神経の通った動きも美しい。
舞台の下を見ていると相変わらず色々あるのだけれど、舞台上から齎される幸福の量は保証されているので、今後も細く長く足を運びたい。
最後に観たのが「ハニーB」のリリースイベントだったから、丸三年御無沙汰のprdia。 晴れたので足を運んでみた。
まだ間があったのでベンチに腰掛けて時間を潰していたら、チラシ配りが始まった。 綺麗なお姉さんが10人練り歩いて、デパートの屋上で寛ぐ家族連れにチラシを手渡していく様は壮観。
固定客向けの収奪に血道を上げがちなリリースイベントで一見さんにも顔と名前を覚えて貰おうとする姿勢は、当たり前と言えば当たり前なのであるが、物を売る事を生業とするなら矢張り持ち合わせていて然るべき。 嫁さんの手前受け取りあぐねる旦那、固まってしまう嫁、無邪気に受け取る子供。 微笑ましい光景。
固定客囲い込み用の優先観覧エリアを敢えて設けず、観て貰う・聴いて貰う・知って貰うを徹底。 広く知らしめなければ継続し得ない事を判ってやっているのは強い。
メンバー10人にマイクを持たせているので、ワイヤレスを含めて音響機材も持ち込み。 スピーカー2対、モニタースピーカー1対。 ハウリングは起こるが収束も早く、良い腕のスタッフが張り付いている。
湊・村上の二人が矢張り頭抜けているが、他のメンバーも歌えるようにはなっているし、声質にあわせて歌割りも練られており、松本の特徴的な声が良いアクセント。
振り付けもフォーメーションも多彩で切れがあり、あっという間に5曲。
自己紹介の際に村上瑠美奈が「完璧なステージをお見せします」と宣っていたが、見終えて納得。 ここまでの完成度になっているとは思わなかった。 眼福。
17:00からと19:00からの二回廻し。 このショッピングモールは音量規制など色々と制約が多く、インストアイベントにはあまり向いていないのでタワーレコード錦糸町店内にイベントスペースを作ってイベントを打つことの方が多いが、一定以上の集客が見込まれると狭い店内では流石にやりにくい。 女子流ともなると矢張りそれなりの集客が見込まれるらしく、エントリーコートに折り畳みステージを三枚しつらえてのミニライブ。
あまり早くから張り付くのも野暮なので、開演30分前に行ったら優先観覧スペースはほぼ満員、2階バルコニーも鈴なり。 端の方に潜り込んで開演待ち。
スピーカーは客席に向けたものが一対、モニタースピーカーが二対。 このあたりが女子流スタッフの食えないところで、オケとマイクの音量規制は守りつつ、モニタースピーカーで音をしっかり聞き取らせて伸び伸び歌わせることにより、生の声を響かせようと言う意図。 リハーサルでもモニタースピーカーの位置と角度の調整を入念に行っていた。
南側の入り口にあるステージで歌うと、オケの音は掻き消されてしまっても歌声は北の端まで届く。 歌として聞き取れなくても「何かやっている」只ならぬ雰囲気は伝わる。
目当ての客からの収奪ではなく、より広く知らしむる事を目的としてやっているのがメンバーにまで浸透しており、目の前の客だけでなく、建物全体にいる人々を総体として客として捉えており、海外進出と言うより高次の目標を掲げても説得力があった。
1部2部と構成は変えつつ、聞かせる曲と盛り上がる曲を新旧取り混ぜて5曲ずつ。 自己紹介と告知などの最低限の喋りに止めて歌で押して行く。
新曲の Say long goodbye は、庄司曰く「R&B調のバラード」。 中江の高音で始まり、新井→小西と一番良い音域で歌い継いで行く。 この歌割りが巧い。 目当てで来ている層はグイッと引き込まれ、通りすがりの客の足も思わず止まる。
ことアイドル業界に於いては簡便に盛り上がれる曲が持て囃される傾向があり、バラードは敬遠されがちなのであるが、東京女子流は時折こう言う売りにくい曲を敢えてシングルで出してくる。 それをただ売るのではなく、その曲によって「知らしめよう」とする意志がメンバーにもスタッフにも共有されており、締まったイベントになっていた。
特典を山盛りにして少数の客からの収奪で売り上げ目標を達成しようとする商売をやっていないので、客一人当たりの購入枚数は然程多くないと思われるが、買った延べ人数はかなり多くなっているのではないかと思う。
広く売れて欲しい。
万年筆の修理に雑司が谷へ出向いたその足で池袋へ。 懸案だった palet のリリースイベントを観覧。 無軌道な若い衆向けに特化したようなグループに渋好みの新メンバーと言うのが気になっていたのであった。
客層は若いのからそうでもないのまでまんべんなく。 お行儀の悪そうな連中は観覧エリア後方と9Fデッキあたりに陣取っており、最前列付近の方が平和だったのには拍子抜けした。 まぁ、ライブハウスなどの閉鎖空間になればまた違ってくるのだろう。
開演前に注意事項としてジャンプ禁止のお達しはあったのだけれど、なぜ禁止なのか客の側がまったく分かっておらず、構わずに飛びまくるもの、飛ばないまでも飛ぶ素振りを見せるものがズラリ揃っているのでまぁ揺れること揺れること。 禁止にした意味が丸で無い。
スタッフは終始ピリピリ。 事あるごと注意に出向くが完全に舐められており、強権を発動しないこともあって、リフトだのジャンプだのと若い連中は遣りたい放題。
禁止事項としてアナウンスされた事を守らない、スタッフの注意にも丸で耳を貸さない一部始終はステージの上からも見えており、その傍若無人な振る舞いは palet と言うグループの活動そのものを否定することにも繋がる訳なのだけれど、特典会にも悪びれることなく参加する神経の働きが私には理解できない。 踏み付けにしている相手に客としてサービスを求める無神経さ。 他者への想像力の欠如。
楽曲はそれなりに練られており、歌って踊る部分も悪くは無いが、活動が近視眼的で拡がりがない。
新メンバーの中野佑美は挙措も美しく、喋りも歌も丁寧。 観に行く動機には充分成り得るのだけれど、周辺環境が悪すぎる。
「"SNOW DISTANCE" は、女の子の切ない気持ちを歌った曲なので、是非歌詞に注目して聴いてみてください。」と語りかけてから歌い始めたものの、騒ぎたいだけの層はまるで聴いていない。
メンバーが舞台上から客に釘を挿すなんざ非常事態以外やらない方が良い(況してやオープンスペースでのイベントに於いてをや)のだけれど、裏方が裏方として機能していないので客の狼藉を誰も止められない。 客をコントロール出来る存在がその場に一人も居ない。
久し振りに見た「地獄感」溢れる地獄であった。
折井の担当日と言うと荒天と言うのも今は昔、冬晴れの東京タワーではクリスマスのイルミネーションが始まっていた。
ピンクのニットワンピース、丈が短くて腰掛けると一寸危ういが、そこはそれ膝掛けなどでガード。 役の為か長い髪は明るめの色、長いこと見ているが、今が一番綺麗なのではないか。 通りすがりの客からも溜息混じりの感嘆の声が洩れ聞えた。
目当てで来ている客は、カフェと観覧用丸椅子と立ち見で分散。 観光できたフリの客が相手となる、華やかそうでいて難しい仕事。
初めてのデートらしきカップル、初めての海外旅行と思しき大陸の人など、まわりが見えなくなってしまっている人は、そここでイベントがあろうがなかろうが構わずはしゃぎ回るので、見ていてつらくなることも間々あるのだけれど、ここ二年くらいの折井は実に強くなっており、心が折れない。
相方のDJミズノ氏とは断続的ではあるが付き合いも長く、気心が知れているので話も上手く転がる。
ミズノ氏の選曲の妙がこのイベントの隠れた魅力ではあるのだけれど、曲についての話が弾むのも折井の引き出しが増えて深くなっているからだと思う。
何時にも増して「告白した」とか「付き合い始めて何周年」とかそういうリクエストが多く、そうなると番組としては盛り上がる。
リクエストに書かれた話の流れで「あなたとクリスマスイブ」をアカペラで歌う羽目になったり、歌い終えて大いに照れたり、古い客向けのご褒美などもありつつ、和やかに終演。
AKB48が売れる前に辞めているので、知名度という点に於いては恩恵に預かれていないが、「その後の人生」としては充実しているのではないだろうか。
マルイジャム 渋谷6階のイベントスペースをパーティションで仕切ったところにパネルを並べて展示。
入り口付近に大伸ばしされたものが7点、あとは額装された半切くらいのものがズラリ。
展示スペースは狭く、パネルが低いところに詰め込んで二段展示なので、下の段は屈まないと見えない。 場内が明るいので見えづらさはないものの、ライテイングに関しては全く考えられておらず、詰め込み過ぎてパネルを並べる幅も狭いので混み合っても客は行き交えない。
見る価値が全く無いとは言わないが、写真以前に展示環境の点でおすすめしにくいし、写真の方も良くも悪くも魚住らしいもので、見るに堪えない大ハズレは無いかわりに「これは」と思うものもない。
展示枚数こそ多いものの撮り方が単調で、切り取り方は多少変わっても被写体と向き合う角度はほぼ一定で正面からなので、どの写真も代わり映えしない。
大部彩夏は口呼吸の人らしく、口はいくらか開き気味で常に微笑んでいるような表情。 それをどうしようともしていないので、何枚並べたところで似たような写真にしかならない。
たまにある口を閉じたカットや横顔などを見ると、大部彩夏の被写体としての魅力を引き出しているものも有るにはあるのだけれど、それが少ないところから見て、やはりモデルの表情の諧調や映える角度を引き出そうとする意欲は薄いように感じられる。
そこが魚住の持ち味でもあり、無難というか万人向けというか、分かりやすい写真にはなっているのではあるが。
プリントのみなら10800円、額装しても27000円、展示したものからより抜きにした写真集が8640円と値付けも上手い。
ハイエンド向けマルベル堂商法としては良い線だと思う。
リニューアルして判型が変わり、文字ものページが増えた。 写真そのものより情報に重きが置かれており、ワニブックスが作るBomb!と言った趣。 紙も薄く、印刷は本誌より一寸落ちるが、写真の質も含めてB.L.Tほど酷くは無い。
℃-ute
表紙と巻頭グラビア8ページ20カット、撮影は Shu ASHIZAWA
まぁ何と言うか近況報告。
それ以上でもそれ以下でもない。 褒めるほど良くは無いが、敢えて貶すほど酷くはない。
Berryz工房
5ページ9カット、撮影はSHITOMICHI
こちらも近況報告的顔見世グラビア。
今後はこうした誌面構成になって行くのであろう。
モーニング娘。'14
ハワイツアーのついでに撮ったようなヤッツケ感。
ノーメンクラツーラ層が取り仕切る巨大組織ならではの、統制感溢れる8ページ。 撮影は鈴木さゆり。
小田と鈴木の並び水着だけウエストより上で切ってある、あけすけな「配慮」と言う悪意。
乃木坂46(若月、桜井、生駒)
5ページ6カット、撮影は西田幸樹。
スタジオでポンと撮ったような6カットなのだけれど、きっちり写真にはなっている。
生駒里奈は置いただけで絵になり、すっと目を惹く。
乃木坂PORTRAIT
日の当たらないメンバー掘り起こし企画、初回は永島聖羅。 2ページ2カット、撮影は佐藤裕之。
あまり紙幅は割けない中でもきちんと撮って貰える機会が有るのは良い。
ななせまるが撮らせて頂きます
3ページ3カット、対談で1ページ。
乃木坂46西野七瀬がメンバーを撮る企画。 今回は西野自身がモデルとなり長野博文に撮られるの巻。
長野博文が構図のセンスを褒めているのが面白い。 撮影技術はあとからどうにかなっても、構図を切るセンスだけはどうにもならない。
西野に場を安らがせる力と構図を切るセンスがあれば、この先面白くなる企画なのでは無いかと思う。
長野博文の撮った3カットも、肩の力が抜けていて良い。
川口春奈
8ページ8カット、撮影は佐藤裕之。
カレンダーの other カットで構成。 流石に大人びて来ているが、カメラの前に衒わずに立てているところは変わらない。
変わらぬ良さを残しつつ垢抜けてきた。
小松菜奈
6ページ7カット、撮影は細居幸次郎。
何かしら演じていないとカメラと向き合えない暑苦しさは無きにしも非ずだが、人を惹きつけるものはある。
2カット目が秀逸。 閉鎖空間での光の廻し方は矢張り巧い。
高橋ひかる
4ページ6カット、撮影は長野博文。
撮られる仕事は初めてとのことで、長野博文が撮っても緊張はしているが、カメラと向き合えてはいる。
グランプリになることが貧乏くじであるコンテストのグランプリと言う、厭なものを背負わされた所から始まる芸能活動ではあるけれど、良いほうに転んでくれることを祈りたい。 そう思わせる柔らかい笑顔。
橋本環奈
3ページ2カット、見開き1箇所。 撮影はレスリー・キー。
ポーズから何から作りこんで撮るレスリー・キーにしては自棄にあっさりしているが、造形美の切り取り方の巧さは流石。
そのブツ撮り寄りなところが私の好みとは合わないのだけれど、綺麗に撮れてはいる。
渋谷凪咲
6ページ9カット、撮影は桑島智輝。
3~4ページ目の半見開きのカットや、6ページ目の下から見上げるようなカットなど、桑島智輝にしては人の悪い写真。 ギリギリな線で攻めた構図とポーズ。
キャプションや全体の構成から見て、編集者の方に「こうしたい」と言う腹案があったのかもしれない。
指原莉乃×荒巻美咲
指原莉乃ディレクションのグラビアがUTB+に移転。 6ページ8カット、撮影は桑島智輝。
子供である。 作為も打算もない子供。
小道具の羽毛を舞わせて遊んでいるカット以外、すべて表情が硬いのだけれど、それを宥めすかして撮ったカットに味がある。
島崎遥香
6ページ8カット、撮影はMARCO。
引いたカットも絵になっていて驚く。
白と黒の衣装で二面性を引き出す企画。 白島崎の方はさして面白みもないが、黒島崎は「らしさ」が出ている。
真正面からではなく、上下なり左右にり多少角度を付けて撮ったカットが良い。
増刊のUTB+は別雑誌化し、UTBは月刊誌に戻った。 吉と出るか凶と出るか、試金石となる通巻225号。
宮脇咲良・向井地美音
18ページ17カット、見開き2箇所。 撮影は佐藤裕之。
ブレザー系制服、傾向は揃えつつ意匠の異なる紺ビキニ、白いチュチュ。 衣装三態。
ブレザーは上着の有無で変化を付け、競泳水着を模したような紺ビキニで清楚さを演出し、チュチュであったり小道具としての聴診器であったり、編集者の fetiches が控えめながら通底しており、スパイスとして利いている。
AKB48に未だ在籍するメリットが有るとすれば、それは棒組で仕事をさせることによる化学変化が期待出来るところにある。 撮られる仕事について一つの答えを見出した宮脇咲良と共に仕事をする機会に恵まれた向井地美音は、この先どう変わって行くだろうか。
窓から一杯に射し込む光を受けて、敢えて逆光で撮りつつモデルを浮かび上がらせる佐藤裕之の腕の冴え。
制服もロケ地の校舎も地方の公立高校と言った趣。 ミッションスクールの女子高のように世俗から隔絶された場所ではなく、世俗の中に在りつつ浮き世離れしたような不思議な空気。
宮脇咲良の醸す ennui に向井地美音が引き込まれ、モデルとカメラマンと編集者の仕事が噛み合って生まれた奇蹟。
柴田亜弥
9ページ12カット、撮影は桑島智輝。
衣装4パターン。 上京したスケジュールの中での撮影となると時間的に厳しかったのでは無いかと思われるが、その分工夫が凝らされている。
目が売りであるだけに、カメラを直視したカットで構成。 その中で一枚だけ挟み込まれた横顔。 これが凄い。
空を見上げた横顔を心持ち下から撮っているのだけれど、正面から撮ったカットよりも柴田亜弥の目に宿る力を可視化している。
カメラに視線は行っているのだけれど、衒ったり取り繕ったりする所はなく、自然にカメラと向き合えてはいる。
まぁ、カメラに視線と意識と両方が向いている圧迫感はあるし、視線の行っていないカットも意識はカメラに向いているので、写真を見ている側までもが常にロックオンされているような怖さはある。 自分だけを見ることを強いるような、石にされそうな恐怖。
これも好きな向きには堪らないのであろう。
柴田の目はカメラを捉えているのだけれど、撮っているカメラの方はさまざまな角度から柴田を切り取っていて、前述の横顔のほか、立て膝で振り向いたカットが良かった。
岡田奈々
10ページ11カット、見開き1箇所。 撮影は桑島智輝。
これまでに見た岡田奈々のグラビアは、常に何かに凝り固まったような窮屈さがあったのだけれど、一と皮も二た皮も剥けて柔らかい表情でカメラの前に立てるようになっていた。 ここまで出来れば、カメラマンや編集者でハズレを引いても、撮られる仕事で結果は出せると思う。
凝り固まった部分の残滓はまだ前髪のぺったり加減に在るが、松井玲奈がそうであったように、撮られ慣れていくうちに氷解して行くと思う。 兎に角、カメラと素で向き合えるようになったのは大きい。
真面目とか優等生とかそう言うレッテル貼りが岡田奈々を縛ってしまっていたように私は思う。
見せたい自分が魅力的なものでは必ずしも無く、破綻の無い「岡田奈々」として小さく纏まってしまっていた頑なさが人としての面白みを封じてしまっていたようにも思われる。
意識して閉じられていた扉は開け放たれた訳であり、岡田奈々にとって転機となり得る仕事となったように思う。
込山榛香
8ページ10カット、撮影は國方大。
初めてのソログラビアの割に硬さは無く、撮る側の持って行き方も上手いのだと思うが多彩な表情。
内斜視気味でありつつ、角度を付けて撮った際に遠い方の目が生きてくる面白い造形。 可愛らしく見える角度が上下左右に広い。
口の開き方で表情に諧調を付けるところなどは既に玄人の域。
悪い仕事ではないが、國方大は些か素材に食われた感がある。
AKB48 チーム8(下尾みう、中野郁海、人見古都音、倉野尾成美)
7ページ8カット、撮影は小池伸一郎。
運転資金をトヨタに出させることで、リーマンショック以来些かせせこましくなってしまったAKB48本体とは別趣のものになっているチーム8。
身の回りの古い客も焼け棒杭に火が点いたのか、はたまた燃え尽きる寸前に一と際明るく燃える蝋燭なのかエライ騒ぎになっている。 劇場公演の楽しさを知る層、お台場などで撮れた楽しさを知っている層には堪らないらしい。
ハイキーに飛ばした前半はあまり好きな撮り方ではないが、後半は面白い。
6ページ目の集合などはその場にある構造物を生かして構図を作る小池伸一郎の上手さが生きている。
中元日芽香
10ページ9カット、見開き1箇所。 撮影は桑島智輝。
ピントを薄めにして迫ったアップ、大道具小道具を配して構図を切る引きの絵。 スルリと懐に入り込む技も冴えて桑島智輝の写真を堪能できる10ページ。 ライフワークとしていたものが一つの完結を見たことで、桑島智輝の仕事により厚みが増した。
それもロケハンや道具立てがあってこそのものであり、ワニブックスの編集陣の底知れぬ怖ろしさが垣間見られる。
椎名ひかり
6ページ7カット、撮影は長野博文。
上が白、下が臙脂のセーラー服でリコーダーを吹きながらハチ公前の交差点を渡るカットから始まり、長野博文のスタジオに移動して一枚ずつ脱いでビキニになっていく流れを追った7カット。
既に出来上がってしまっている物を見せるやり方としては上手い。
どう撮ってもそうなってしまう事が予想されるモデルに対しては、こう言うやり方が最適解に近いのであろう。
プリンセスBambina
15歳以下のモデル10人を起用してワニブックスが創刊するファッション&カルチャー誌の宣伝で5ページ4カット、見開き1箇所。 撮影は上原朋也。
あからさまな宣伝の場合は読み飛ばすことが多いのだけれど、なかなか出来が良い。
ファッション誌らしい、コダクローム感のある色合いと作り込まれた構図なのだけれど、道具立てまで含めて詰めてあるのが良い。
佐々木莉佳子の、頭抜けた大物感。
真野恵里菜
9ページ8カット、見開き1箇所。 撮影は西田幸樹。
薄着ではありつつ、水着でも下着でもなく、何かしら着てはいるが部屋着にしては薄い。 この匙加減の妙。
様々な解釈の成り立つ表情で押しつつ、笑顔で〆て落としどころをつくる構成も上手い。
2カット目の魔術的ですらある光の廻し方。 判り難いが質は高い仕事の積み重ねで出来ている。
求められる真野恵里菜ではありつつ、媚びず衒わず。 裏方も上手く大人にしたし、真野恵里菜も上手く大人になった。
鈴木愛理
ビューティーブックなるものからの8ページ10カット、撮影は玉井俊行。
伸ばした前髪も落ち着き、大人びた姿も馴染んで来た。
鈴木愛理の「こう在りたい自分」と言うのはこのあたりなのであろう。
悪くはないし歳相応でもある。 しかしこうした「やさぐれ感」が主たる客層にどう受け取られるのか。
そこから自由になりたいのかもしれない。
UTB+ を別趣のアイドル情報誌として切り離したことで、より写真に注力できるようになり、グラビア1本あたりのページ数が増えた。
そうなると写真を詰め込む必要が無くなり、判型を生かした見開きも生かせる。
私にとっては嬉しい変化であった。
アイドルグループが30分ずつ受け持つネット配信のバラエティー番組。
PIPはオープニングと20:30からの30分枠に出演。
PIP以外の出演者の中では、目黒川女学館が地味に面白い。 リーダーが宮下順子に似ている。
20:30からの出番で且つその後に物販と言う事で、大人メンバーのみの出演。 勤め人だったり、体調不良であったりで欠席もあり、全員の出演と言う訳には行かないが、選抜制導入以来出番の減ってしまった連中にも出演機会があるのは良い。
メンバー以外にマネジメントと物販仕切り要員で濱野とスタッフ一人が帯同。
入場料を払う際に目当てを訊かれるのだけれど、開演前の時点でもPIPで入っている客が多く、帰り掛けに見たら更に増えていた。 頭抜けた動員。
司会はカオポイントの石橋哲也。 メンバーの人となりは把握しつつ、楽屋落ちになるような物言いをしないのが先ず良い。
今回の企画は「箱の中身はなんじゃろな」。 ブロッコリーであったり、シラタキであったり、生魚であったり、定番の当て物でワイワイと。
感情の起伏があまり出ない小林が、意を決して箱に手を突っ込む時の複雑怪奇な表情であったり、見所はありつつも淡々と進んでいたが、残り4人となり石川と羽月が出てきたところで目隠しをして口に含んだものを当てる「口の中身はなんじゃろな」に企画変更。
アシスタント役の工藤が匙で口の中に滑り込ませたものを噛んだり舐めたりして二人が答えを出した後、正解として出された写真がタガメ。
取り乱す石川と、割と平静な羽月。 何だろうと思ったら、前回のドッキリ企画で仕掛ける側だった石川を嵌める仕返し企画。
タガメと言うのもウソで、実際は蝦だったらしい。
これで終わりだと思ったら、最後に残っていた牛島と北川は何故か目隠し無しでイナゴの佃煮を食べる羽目に。
実は仕返しの言いだしっぺは牛島であり、人を呪わば穴二つと言うオチ。
驚きはしたが、酷い目に遭っているようで然程でもなく、大変は大変なのだけれど踏み付けにされるような事にはならない。
進行が上手いので仕込みに不自然さがなく、見ている側も疑問をもたずに見られるから後味も悪くはない。
私も話にしか知らない神田立花亭の廃業以来、数十年ぶりで神田に寄席が復活。
古今亭志ん輔師の肝煎りで出来た二つ目専門の「連雀亭」がそれで、「ぼたん」とか「竹むら」とかのあたりの雑居ビル、猫の額の上に立った細長い所謂「鉛筆ビル」と言うの二階に小ぢんまりと在る。
二十日までが定席の興行、月末までは貸席となっており、空いた土曜に立川吉幸による酒の噺三席の会が入ったので行ってみた。
奥の三角になった所に高座が設えられており、照明もしっかり(しっかり過ぎるくらい)当てているが、小体なハコなのでマイクは無し。 肉声で充分伝わる。
雀を図案化したものが描かれた高座の前縁に下からの照明も仕込まれている。
真新しいメクリは墨痕鮮やか。 上手には角樽、下手には胡蝶蘭。
「狸の札」古今亭駒六
「試し酒」「親子酒」立川吉幸
<中入り>
「らくだ」立川吉幸
立川流の独演会に協会の前座さんと言うのも珍しいが、このあたりは寄席の側の差配であろう。
「親子酒」がサゲ近くまで進んだ頃、通りすがって寄席を見つけて上がってきたであろう老夫婦が受付で何やら話し始めた。
「プログラムをくれ」だの「入場料は幾らだ」だの、今訊かなくても良いような事をクドクドと。 耳が遠いらしく無駄に声がでかい。
受付と客席の間には仕切りらしい仕切りもない構造なので、そこで声高に喋られると中まで丸聞こえ。 受付の人も話を遮るなり声を小さくして貰うなり、外に連れ出すなり、対処法は幾らもある筈なのに空バカだから一緒になってくっ喋っていやがる。
演者はサゲまで演って降りたが、聴いてるこっちは堪ったもんじゃない。
結局のところ、残り一席に千五百円は惜しかったと見えて老夫婦は帰っていったが、その客を繋ぎとめようとして中の客が帰りたくなってしまったのでは元も子もない。
目抜き通りにある訳でもなく、名前で客を呼べる大看板が出る訳でもないから来た客は逃したくないのかもしれないが、あまりにも物のわからない対応であった。
着物を替えて残り一席。 演者も客も気を取り直して「らくだ」をサゲまで。
らくだを菜漬けの樽にブチ込むあたりから本性を現す屑屋。 スラップスティックコメディの体で、一気にサゲまで。
途中で邪魔は入ったが企画そのものは良く、見やすいハコでもあった。
早いうちに裏を返したい。