橋本奈々未の最後の写真集と同じく、小学館Cancamブランド室の企画。
デザイナーも同じで、写真集と言うよりファッションブック的な体裁。
奥付にも衣装協力のブランド名がズラリ並ぶ。
撮影は桑島智輝。
全篇妙に明るいトーン。 笑っているカットが多いだけでなく、空に太陽がある間だけに撮られている。
屋内で撮影されたものも、窓からの光はふんだんに。
そこで「明るく楽しく可愛い松村さん」を演じる松村沙友理。
賑やかに過ごすうちに、ふと静寂が訪れる。 そんな瞬間も挟み込まれるのだけれど、また笑いに紛らされてしまう。
絶対値としては明るい中で、相対的に明るくないカット。
松村沙友理の内面を深掘りするような撮り方はしていないが、表層に滲み出た内面はさっと掬い取り、明るく楽しいカットの中に挟み込まれる。
これは気が付く人だけが気付けば良い部分であり、明るく楽しく可愛い松村さんの写真集としては良く出来ている。
来し方に思いを巡らすと、女性向けファッション誌のファッションブックとして出すのが、(私の見たい物にはならないとしても)落としどころだったのだろう。
何の寓意か解らないが、部屋に白い鳩がやってきて向き合うカットがあり、そこからの数ページの松村沙友理が美しく儚く哀しい。
松村沙友理は幸せだろうか。
幸せであって欲しい。
ヤングジャンプに掲載された先行グラビアは芳しくない出来ではあったが、とりあへず発売日に購入。
危惧したギリシアの強い日差しは撮影する時間帯と撮り方の工夫で緩和されていた。
眩しそうにしても険しくなりにくい顔の作りも幸いしていたが、光と正対させる際に目を瞑らせてしまうことで眩しくなりようの無い状況を作り出す荒業。
一度なら使って効果の有る飛び道具も、二度三度となると陳腐化するのであるが、意に介しないのか他に方法を考え付かないのか繰り返されるのには興醒め。
渡辺梨加の表情は単調な上にも単調で、諧調にも乏しいのであるが、カメラとは自然に向き合えており、隔意の有る作為が表情に出ないのも良い。
造形美を愛でる為の写真と割り切って撮っており、被写体の能動的な動きや表情に期待していない。
出来ない無理はさせていないとも言えるが、私小説的な物語すらも無く、夏休みの絵日記的な構成。
阿部ちづるは「気を許して貰える」才はあるらしく、柔らかい表情は引き出せているが、AF任せでざっくり撮っているのでピントに厳密さを欠く憾みが有り、表情の良さを採ったのかアウトフォーカス気味のカットも散見。
オフショットなら未だしも、本篇で使うのは如何なものかと思われるような物すらある。
そして、今に始まった事ではないのだけれど、意図してやっているのではないかと思われる位「串刺し」「首切り」の構図が多い。
幾ら良い表情が撮れていても、被写体を呪詛するような撮り方に無頓着なカメラマンを肯定的には評価できない。
読後感は悪い。
折井あゆみが東京タワーイメージガールを勤めた年にレギュラーで担当し、その後も折に触れて出演してきた Night View DJ が大展望台の工事に伴い暫く休止との事。
残り3週のところで休止前最後の出演。
折井出演回は荒天と言うイメージも今は昔、低気圧はかすめつつも然程の影響も与えずに通り過ぎ、高気圧が張り出して冬晴れ。
チケット売り場でスカイツリー方向の北面は見えないこと、一部施設は既に営業を休止していることを告げられる。
展望台に上がるとなるほど北面は塞がれ、東面と北面の境には壁が作られて周回出来ないようになっていたが、これが幸いしてイベントスペースは袋小路になっており、いつもより滞留するお客さんは多目。
張らなくても通る声、聞き取りやすい速さと音量、掛け合いの間の良さ etc... 、声の仕事が軌道に乗っていることが振舞いからも窺い知れる。
折井は語尾を「っサイ!」と張る癖があるのだけれど、これの当たりが柔らかくなっていた。
Night View セレクションは折井の選曲。 洋楽を中心に年相応の洒落乙感。
歌詞で選んだと語りつつ、勘所を和訳して説明するなど流石に場慣れしている。
客からのリクエストは「聴いたことの有る好きな曲」、DJセレクトは「聴いたことの無い素敵な曲」このバランスが良い。
折井も毎度趣向を凝らしてくるが、DJミズノ氏の選曲がまたツボを衝いてくる。 これがもう一つの楽しみだった。
(帰ってから調べてCDを買ったこともある。)
折井の声の仕事は吹き替えが多いのだけれど、Netflix のドラマの告知をしたときに観客が静かに沸いたのが印象に残った。
放送されるテレビでもレンタルビデオでもなく、ネット配信のドラマに反応する人々。 娯楽の選択肢としての定着。
中盤にカフェ・ラトゥールから一品ずつ注文。
「東京タワーでコーヒー嫌いを克服した」と話す折井はキャラメルラテのホット、DJミズノ氏はカフェラテ。
克服したという割りに甘いのを頼むのはご愛嬌。
以前はホットミルクが定番だったが、折井は喋るのに差し障りがあるものは頼まない。 こうした「分かりにくい矜持」も好ましい。
最後に折井セレクトでもう一曲「勇敢な僕ら」。
AKB48を巣立つ大島麻衣に折井あゆみと星野みちるが贈った曲であるが、「大島麻衣ちゃんの卒業コンサートで」的なことは説明しつつ、自分と星野については端折る。
隠す訳ではなく、看板にも頼らない。 踏み台にして次の人生の土台を固められた事の表れなのだと思う。
大展望台の改装工事は北面から始まって順次進み、イベントの再開は来春とのこと。
暫しお別れ。
いろいろ滞っておりますが、コラム的ななにかを更新。
俺アワード2017(楽曲篇)
楽曲大賞的な物が権威化されてしまうこと、それに対する危機感の無さに対する危惧と不快感を事ある毎に表明している手前、今年は落とし前を付けてみた。
順不同なれど文章の長短が熱量を示していなくもない。