橋本奈々未の最後の写真集と同じく、小学館Cancamブランド室の企画。
デザイナーも同じで、写真集と言うよりファッションブック的な体裁。
奥付にも衣装協力のブランド名がズラリ並ぶ。
撮影は桑島智輝。
全篇妙に明るいトーン。 笑っているカットが多いだけでなく、空に太陽がある間だけに撮られている。
屋内で撮影されたものも、窓からの光はふんだんに。
そこで「明るく楽しく可愛い松村さん」を演じる松村沙友理。
賑やかに過ごすうちに、ふと静寂が訪れる。 そんな瞬間も挟み込まれるのだけれど、また笑いに紛らされてしまう。
絶対値としては明るい中で、相対的に明るくないカット。
松村沙友理の内面を深掘りするような撮り方はしていないが、表層に滲み出た内面はさっと掬い取り、明るく楽しいカットの中に挟み込まれる。
これは気が付く人だけが気付けば良い部分であり、明るく楽しく可愛い松村さんの写真集としては良く出来ている。
来し方に思いを巡らすと、女性向けファッション誌のファッションブックとして出すのが、(私の見たい物にはならないとしても)落としどころだったのだろう。
何の寓意か解らないが、部屋に白い鳩がやってきて向き合うカットがあり、そこからの数ページの松村沙友理が美しく儚く哀しい。
松村沙友理は幸せだろうか。
幸せであって欲しい。