「PIP3回目イベント「PIPの拠点は新富町!会議室で毎週日曜定期でやるよ!そしてメンバー羽月さん(あずにゃん)生誕もやるしPIP初のチェキ解禁もやるぜ!」公演」と題されていたものを観覧。
入場予約分はあっと言う間に埋まってしまい、当日券で入るために開場15分前に現地へ。 看板やポスター・貼紙の類は無く、客もどうして良いやら思案に暮れてなんとなく屯しているところにスタッフ登場。 相変わらず段取りは悪く、予約者50人を10人ずつ並ばせたいにしても、番号札を用意するなどの工夫は見られず。
列を整理しようとする姿勢が見られるようになっただけでも進歩と考えるべきか。
濱野がPIPについて設計した部分は、地面から上に出ている部分のみ。 モデルハウスではなくモデルルームに近いもので、アイドルグループを支える「基礎にあたる部分」がすっぽり抜けており、水周りや電気ガスなどについても考えられていない。 ここが危うい。
ロハの気軽さからか予約するだけして来ない客も多く、実際に入場した予約者はざっと見て2/3くらい。 昨今の情勢に鑑みてなのか、荷物は別室に置いてから入場して欲しい旨、主催者側からお願い。
番号札を荷物に付けて預けるでもなく、机の上に荷物を置くだけ。 荷物番は付けていたが、テーブルの上に鞄を置くだけの、客の善意に頼ったやり方。
板の間稼ぎをしようと思えば出来る状況で荷物を置かせるのは如何なものか。
オフィスビルの会議室でやる意図が分からなかったのだけれど、濱野の勤め先だそうで。 土日は休みなので気軽に借りられて、大きな音を出しても苦情が来ない。 先週の公演のあとも怒られなかったそうで「もっと沸きましょう」(濱野)
備え付けのプロジェクターに、濱野の私物パソコンから背景画像的なものを壁に投影。 左右にスピーカーを配して上手側にPA。 ワイヤレスマイクはそれなりの数揃えつつ、ハウリングが起きないのは良い。
ただ、無闇にレベルを下げてしまう傾向があったのは気になった。
その所為か、スイッチが入っていてもマイクが死んでいることがままあり、マイクを叩いて確認するメンバーが居た。 マイクの扱いに関してはきちんと教育すべき。
スピーカーは仕方ないにしても、舞台を客席と明確に区切らない、高さを付けないのはいただけない。 教壇程度のものでも舞台としてのスペースを意識して演らなければ、お遊戯会意識は抜けない。
開場前の客の扱いであったり、クローク未満のクロークであったり、音響担当者の拙さであったり、何度も書いているが濱野はアイドルグループそのものの設計はしているかもしれないが、それを支える部分が実に杜撰。 イベントの運営について拙さは自覚しているようには見受けられるが、改善しようとする意思はありつつも意志ではないような、やりたいけれど重要度は低い事とやりたくないけれど重要度は高い事だと前者を優先してしまうような、送り手としての甘さも気になる。
例によって3チームに分かれて、それぞれの持ち歌を1曲ずつ披露。 衣装は揃いのポロシャツにチームごとの小物(リボンやスカーフなど)を身に付けていたが、キャプテンマークを付ける事にしたようだ。
お披露目から較べれば硬さは取れてきたものの、未だ金の取れる見世物にはなっていない。 なってはいないが「そうなろう」「そう在ろう」としているのは見て取れる。
全体曲の「タンポポの決心」のオケがガイドメロディー付きだったのに象徴されるのだけれど、どの曲をやるかについての拘りはあるものの、それをどう見せる・聴かせるかについてについては拘りが感じられない。
曲によってオケの録音レベルもバラバラ、それを使うに当たって調整もしない。
マイク音量とオケの音量のバランスは取っている形跡はあるが、客が入ったときにどう聞えるかは考えていないし、ライブ中にそれをチェックすることも無い。 客が騒ぐとオケも歌も掻き消されてしまって、それに音響担当者が疑問を持たない。 これでは「物販・接触重視」「ライブ軽視」ととられても文句は言えまい。
ソロコーナーは濱野がそれぞれの人となりを熱く語ってから歌わせる「ドキュメント女ののど自慢」方式。
特設MCコーナーとして山本緑の思考について3次審査で書かせたアイドルについての文章を叩き台にして詳らかにして行ったのも含めて、容姿のみならず思考についても精査した上で採用し、それを客に伝えるためにどうするか考えている所は濱野の美点であると思う。
送り手としての拙さ至らなさは大いにありつつも、濱野の人としての面白さで相殺されてしまって、イベントの後には不快より愉快が多く残る。
羽月あずさの生誕コーナーも、グループ加入前からの友人である濱野舞衣香の手紙、羽月による生い立ちなども絡めた重めの挨拶など、考えるアイドルとしての側面を強く押し出していた。
現状では沸ければ良い層、触れ合えれば良い層が客の中心になっているが、上手くアウトプットすればそこに重きを置かない客層にも届くのではないかと思う。
BeeHiveは、六本木の路地裏、住宅地の中にある。
この街は路地が入り組み、高低差もあるので地図を見ながらでないと辿り着けない。
開場15分前に着いたのだけれど、既に数名。 三々五々集まってくる客に対してライブハウス側からの整列の指示などはなく、なんとなく屯して時間を潰す。
駄目だこりゃと思ったのは客の質の低劣なこと。
ライブハウスの敷地内ではなく、その前の、住宅地の中一方通行の路地に並ぶともなく屯して、携帯灰皿を使うでもなくところ構わず煙草を吹かし、音を出したまま動画を見る。 他者への想像力とモラルの欠如した客層。
ライブハウス側も当たり前のように15分遅れで開場する目糞鼻糞感。
列が出来ていた訳でもないので、なし崩し的に入場。
峰尾こずえ
「トップバッターで出ることは良くあるんですけど、こんなに人が居るのは初めてです」と腰を低く始まったものの、「はいみんな声出して行こう!」と居丈高になったり、歌が終わればまた神妙になったり忙しい。
ほぼ親の年であろう客を相手に声優系お兄ちゃん小芝居など。
歌はそれなりに歌えているが、振る舞いが素人。
MilkShake
曲が良いのは知っていたが、歌って踊っての部分もしっかりしていた。
振りの独自解釈が進み過ぎているきらいは無きにしも非ずだが、止め撥ね払いはしっかりしており、敢えて刈り込まないようにしているようにも見える。
分かりやすく可愛らしいのと、噛んで味の出るのが混在。 牧歌的なようでいて、背筋はピンと伸びている。
ミルクセーキで驚いたのは、九州の同種のモノより都会的だったこと。 土着性の薄さ。肩肘張らない古くから開けた国際港湾都市のゆとりと言うか、城下町にはない「都市の空気は自由にする」おおらかさのようなもの。
長崎で、街の空気を吸いながら観てみたい。
KOTO
頭を両手で掴んでクイッと動かすような振り付けが目を惹く。
「三倍速の操り三番叟を踊る、捨てても捨てても帰ってきちゃうカラクリ人形」みたいな上質な不気味さ。
亜利美里
元々は声優を目指していたそうで、出自を感じさせる歌い方。
オリジナル曲の出来は悪くないが、オケの出来がチャチなのが気になった。
本人作詞の曲は言葉が直截的で含みがない。
シブヤDOMINION
「今日は○○と××の卒業セレモニーにお集まりいただき、ありがとうございます」で始まり、腰を抜かす。 湿っぽいまま進行。
片手にマイク、片手に光る棒。 これを暗転中も消さないのが、このグループが負の連鎖の中に居るのを象徴しているように思われた。
やってはいけないこと、やらないほうが良いことに気付けない。 見ているのが自分たちの客だけだと思ってしまっていて、まぁそれはそうなのだけれど、より多くの客に知らしめよう届けようとする気概が感じられぬ縮小再生産。
動きも良く、歌割りも複雑だしハーモニーも綺麗なのに、何故かうらぶれた感じが痛々しい。
仕事を遣り繰りしてサンストリートへ。 18:20過ぎに着くとベンチは既に埋まり、立ち見で二重三重の人垣。 早く来てベンチに座っている連中は比較的自由な服装。 立ち見はサラリーマン風の出で立ちが多い。
18:30頃からリハーサル。 一曲だけ浚う感じ。
結果が付いて来ているからだと思うが、ステップワンも漸く"東京"と言う場に対して肩の力が抜けてきた。
スタッフからの諸注意のあと、ライブスタート。 短めの自己紹介と告知を挟みつつ、既存曲から3曲、新しいシングルから3曲。 みっちり30分。
新曲の衣装はまた形容しがたい形状で、前から見るとコートのようでありつつセーラーカラーの付いた淡いピンクのワンピース。 立っていると身体の線にぴたりと合っているが、プリーツは深く取ってあって、クルリと回るとフワリと広がる。
カチューシャなのかカチュームなのかヘアバンドなのか、遠目からは判然としないが、同じ素材でそれぞれ違うデザインの髪飾り。
5人それぞれに見せ場があり、聴かせどころもあるのだけれど、早坂香美が目を惹いた。 すーっと動いてぴたりと止まる、激しく動いても決して流れず、柔らかく静かに収束。
今度のシングルはタイトルチューンの "sky traveler" 、白戸佳奈が作詞を担当した "keep on tryin' " 、そして"恋の花火"。
昨秋に出た "ASIAN STONE" の頃から売り方が変わり、私は非常に好きなのだけれど、これで売れるのか些か不安でもある。 その極みが"恋の花火"。
バックバンドがバックバンドに徹しつつ、とても楽しそうに演奏しているオケも素晴らしいし、歌がそれに乗っかって更に楽しそうに伸び伸びと。
「渋谷系」のレッテルを貼られて怒った川勝正幸が「渋谷系じゃない、媚薬系だ」とライナーに書きそうな洒落乙なポップス。
こう言う曲を聴きたい層に上手く届いて、広く売れて欲しい。
「ついにゲストを呼んでPIP初対バン!かかってこいや、あヴぁんだんど!そして姫乃たまのアイドル卒論をみんなで手伝うしか!」とのサブタイトル付き。
その所為か予約の椅子取りゲームも熾烈なものとなり、80からの枠が早々に埋まっていた。
私は何とか若い番号が取れたので開場時間少し前に現地へ。 スマートフォンを利用した本人確認システムには、客のほうも慣れて来たようだ。 暑い中然程長い時間並ばずに入れるのは有り難い。
整列入場の仕切りは大分こなれて来ており、スムーズに進行。
スタッフごとの習熟に差があるようなので、積み上げたノウハウの共有が次の課題。
ゲストに鑑みてか立ち見に「沸きたい人ゾーン」を設定。 濱野曰く「様々な嗜好のお客さんを共存させたい」との事であったが、客の理性とモラルに頼った施策なので、自己中心的な客が大挙して押し寄せた場合には簡単に破綻してしまう危うさがある。 今回は完全に破綻、企画倒れに終わった。
ライブの流れを止めてまで制動は掛けないと言う事だったのかもしれないし、止める気がそもそも無かったのかもしれないが、スピーカーに体当たりし、ケーブル踏み荒らし、床にお茶をぶちまけ、椅子を蹴飛ばし、機材が壊れようが会場が使えなくなろうがお構い無しの手合いを招き入れてしまった以上、予め最悪の事態迄想定しつつ、そうならないように手を打つべき。 それが送り手としての責務。
マイクは、前回使った中古品が使い物にならなかったので、新品を買ってシステムから組みなおしたとの事。 音響方面に関しては会議室で出来ることを突き詰めてやっており、音量的にはスピーカーの性能的にも近隣への配慮からもこれ以上は難しいくらい上げていたし、ハウリングもごく初期で収束させており、耳障りな所はなかった。
ただ、客が騒ぐとオケの音が演者も客も取れなくなり、それぞれがそれぞれにずれていると言う笑えない事態も。
打てる手としてはモニタースピーカーだが、ハウリングの問題もある。 さてどうなりますか。
全体的に良くなると、手を付けられていない部分が粗として見えてきてしまう。 マイクスタンドの高低・角度の調整しにくさが入り捌けを遅滞させてしまっていたし、調整をあきらめた結果歌声を拾わなかったり(返しが弱いので「拾っていない」事にも気づかない)、一寸勿体無かった。
今回は借り物の劇場 overture ではなく、インストゥルメンタルな出囃子を長めに流していた。 口開けは Dreamin' girls から RUN RUN RUN。 立ち位置や移動の間違いはまだ有るが、表情は大分柔らかくなってきた。
ゲストに時間を割くためか、全体曲はこれだけ。 自己紹介のお題トークも割愛で、ユニットコーナーに出ない連中は碌に出番も無く。 これでゲストが良ければ救われるるのだけれど、残念ながらそうでは無かった。
ゲスト一と組目は、濱野が同時進行で手がけている「あヴぁんだんど」
AKB48の「制服が邪魔をする」から始まったのだけれど、これがまた酷い。
歌えてもいないし踊れてもいない。 そもそも音程からして怪しい。
原曲レイプをやるなら、それ相応の覚悟を持ってやっていただきたい。
ついている客も酷いもので、「別の現場にまでBiSのティーシャツを着て来るのはそれを免罪符にして無法を働く連中」と聞いてはいたものの、いざ目の当たりにすると予想を超えた駄目っぷりに驚く。 群れないと暴れられない蝗のような連中と言うのは実にタチが悪い。 バカの受け皿としてのアジールであるアイドルが成立し得ることが判ったのは収穫であった。
続いて登場した姫乃たま。 ヌルいとは聞いていたのだけれど、こちらも想像以上。
「みんな盛り上がってください」だの「声が聞きたい」だの、しつこく煽るのが鬱陶しい。 「北風と太陽」の例を挙げるまでも無く、盛り上がる環境を作るのが演者の仕事であり、それを客に強いるのは筋が違う。
地下アイドルについての卒論を書きたいとの事であったが、所謂「地下アイドル」と言うものの成り立ちも定義も知らないし、身の回りに教えてくれる人も居ないようだった。
「地下アイドル」を業者として自称した嚆矢がアルテミスプロモーションの野間真(現在は撮影会業者「いちごはうす」代表)ではなかったかと思うが、その地下アイドルの定義は「売れることを志向せず、小規模なライブや自前のイベントでの少数の客からの収奪で生計を立てる」ビジネスモデルであったと記憶している。 だから「地上に出よう」「売れよう」とする意欲のあるものは、現在いる階層が地下であったとしても、本来的な意味に於いては「地下アイドル」ではない。
姫乃たまは今すぐスタイルキューブの門を敲いて野口社長に教えを請うべき。 いちごはうすの野間は、おそらく自分に都合の良い話しかしない。
「ソロは嫌いなんですか?」と自虐的に問い掛けていたが、ソロが嫌いなのではなく、腐った魚は食べられないという事。
ここ迄、長すぎる弁当幕。
姫乃たまが残って、濱野が卒論の構成を考えて差し上げるコーナー。
面白いと思った事については損得抜きで関わる濱野らしさが出ており、賑やかしのメンバー2人と姫乃から色々聞き出しつつ、勝手に論文の構成を進めて行く、そしてそれはホワイトボード上で完結し、見ているこちらは楽しいがメモも採っていない姫乃には殆ど得るところが無いと言う、よく出来た喜劇。 まぁ、その辺りは個人的に聞き出していくのであろう。
姫乃たまには、現場経験以外のアイドル知識が殆ど無い、そんな「なんにもない机の引き出し」の状態で論文を書こうとしているのが空恐ろしい。
漸くユニットコーナーに移ったが、盛り込みすぎた所為か濱野の進行も端折り気味。
演出、道具立て、歌唱も練れてきており、総合的に良くなりつつある中、改善されていない部分の粗が目立つ。。
前述の通りモニタースピーカーが無く、返りが弱いからか歌いながら音が取れなくなる場面が見られたし、マイクスタンドの使い勝手の悪さ、メンテナンスの不備も目に付いた。
面白かったのは同じユニットでも濱野舞衣香はスタンドマイクの扱いが上手く、羽月あずさは手持ちマイクの扱いが上手い。 補い合えれば更に良くなると思う。
小林希望のソロ。 今日も客の手拍子が裏になったり表になったり。
予定調和で姫乃たまにアンコールをやらせて「初恋サイダー」。 振る舞いも含めて羽月が上手い。
今回はゲストコーナーが蛇足な上にも蛇足で、特に「あヴぁんだんど」は客も含めて二度とお目に掛かりたくない。
姫乃たまも浅薄で且つヌルく、本人の言動もライブも退屈極まるものでありつつ、その隙の多さが濱野の研究者気質を刺激しており、灰色の脳細胞を働かせる為の触媒としては上手く機能していた。