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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


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酒田へ行きたい
ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2014-07-20 自動人形テレーズ [長年日記]

_ PIP: Platonics Idol Platform "お披露目から一ヶ月経過"記念公演

15:15開場、15:30開演と言う事で、15:00位までは並ばないで欲しいようなことを濱野がツイートしていたが余り浸透しておらず、14:20の段階で既に並び始めるものがちらほら。
散歩をして時間を潰して15:00少し前に戻ってみると、既に30人からの当日枠待ちの行列。 気軽に見られるのも今のうちかもしれない。

予約者の列は15:00を過ぎてもなかなか伸びなかったが、開場間際にバタバタと。 暑い中長時間ならば無くても時間通りに来れば入れるシステムと言うのは有り難い。 スマートフォンによる本人確認のシステムも、入場をスムーズにしている。
惜しむらくは入場待機列を作るノウハウが無い事で、「1~10」「11~20」みたいな札を先頭の客に持たせるなり、床に置くなりすれば客が勝手に並んでくれるのを、スタッフが一人ひとり誘導して並ばせる非効率。
これが省力化出来れば待機列全体への目配り手配りが効いて来るし、客の数が増えても対応できる。 そもそもプロデューサーたる濱野が現場仕事にまで駆り出される状況はあまり宜しくない。 全体を掌握する立場の人間は、それを第一義とすべき。

前述の通りスムーズに入場。 場内の椅子は予約者+αで並べられており、立ち見最前列を取るために予約して入場する向きも多く、座りたい人は座れる幸せ。
前回と同じく手荷物持ち込み不可。 隣室に並べられた机に荷物を置いてから入場。 性善説に立った仕切りではあるが、まぁ仕方が無い。

暗転(・・・と言っても螢光燈が消されるだけだが)からAKB48劇場のオーバーチュアが掛かり、一曲目は「Dreamin'GIRLS」(AKB48)から。 オーバーチュアには失笑したが、この曲はそれとセットで一曲なのでこれはこれで良い。 更に2曲演って自己紹介まで済ませたら既に30分。 自己紹介のお題は「私の大切なもの」。 濱野が見せようとしているのは歌って踊っての部分、物販アトラクションでの接客能力だけではなく、人そのものであり、それを自己紹介に絡めて曝け出させているのだと思う。

自己紹介の後は一旦捌けさせてユニットとソロのコーナー。 メンバーを呼び込んで人となりや近況・その曲を選んだ理由などを引き出した上で(ネタバレがある場合は曲の後に)、歌わせる「ドキュメント女ののど自慢」方式でみっちりと。
オケはガイドメロディー付きの物を使い、歌も振りも金の取れるレベルでは未だ無い(鉦も取れないであろう)のだけれど、何者かになろうとする生々しさに惹き付けられる。
手元のメモに「空井美友、下町の大矢真那」

強く印象に残ったのは、御坂ゆき乃の「シンクロときめき」。
平嶋夏海唱法で不安定に安定。  口元がアルカイックなので笑顔に見えるが、鼻から上の表情は読みにくい。 緊張からだと思われるがマイクが常に口の左側にあり、透けるように白い肌は白いのを通り越して青みがかってすらいて、その圧倒的な美形感とぎこちない動きは「黒死館殺人事件」に於ける自動人形テレーズを想起させる。
御坂ゆき乃は他のメンバーが歌っている時も、没入のあまりリズムを刻まない手拍子を打っていたり、何にどう生きるかは分からないが得がたい逸材であることは間違いない。
古人曰く、此奇貨可居。

山下緑が喪服で「喝采」
思考は面白いと思うのだけれど、紡ぎ出される言葉は借り物が多く、インパクトはあるものの心に深くは響かない。
作り出した虚像に既に振り回されつつあるのではないか。

今日も客席を一番沸かせていたのは濱野

「スピーカー買いました(3万円)」
「ワイヤレス(マイク)も買っちゃいました(4万円)」
「マイクスタンド、これ安物でダメなんですよ、買いなおさなきゃ。」
「既にPIPに100万円注ぎ込んでます。」「でもヲタ活費用を廻しただけなので問題ない」
「照明も買う予定」

やっている事は趣味の域を大きく脱して「道楽」と呼ぶのか相応しく、桜組の西山由之会長にセンスと教養を足して財力を引いた感じ。 まったくどうかしているが、どうかしているが故に清々しい。
楽曲がAKB48系のものに偏っていたり、オケがガイドメロディー付きのショボ過ぎるものであったり、未だ文化祭の出し物的なヌルさがあったり、ダメな所もあるのだけれど、濱野が突き抜けたバカなので許せてしまう。
家庭不和は招きそうだが、良い道楽だと思う。

客層は座ってじっくり見たい向きと、騒げればいい手合いに二分。
騒ぐのにも必然性があれば許容できるのだけれど、その雑兵感はスターリン大粛清後のソ連軍。 フォン・ゼークトの四番目みたいなのが指揮を採っているのでやかましい割に統率もとれず、ただただ五月蝿く煩い。
手拍子は走ったり遅れたり、裏になったり表になったり忙しく、リズム感がないから野次も間が悪い。 機知にも欠けるので、野次と言うより怒号と呼ぶのが相応しい。 それがてんでばらばらに叫ぶものだからさながら学級崩壊。

その雑兵にすら負ける音響が情けない。
客が入る→入った客が騒ぐ前提で音場設計していないのでオケの音も歌声も掻き消されがち。 オケの音を取れなくなって歌唱に支障を来たす場面も見られた。
これは客席に向けたスピーカーが二基あるだけで、モニター用が無いからでもある。

濱野はアイドルそのものにしか目を向けておらず、それを支える諸々について関心を持って来なかったのではないだろうか。 アイドルと言うものの送り手になって初めて見えてきたそれらに手配りが追いついていないように思う。
「設計」という言葉がよく使われるが、濱野のそれはモデルルーム的であり、モデルハウスにすら備わっている「そこで暮らすための様々な物」が欠けている。
改善する意思は見て取れるので、暫くは静観したい。


「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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