例の手元不如意で購入には至らなかったものを幾つか。
週刊ヤングマガジン 2011 43号 の高城亜樹
栗山秀作の撮影。 前号が酷かったので立ち読みすらしないで流そうかと思っていたのだけれど、偶々手に取る機会が有り散見。 他はともかく高城亜樹のグラビアは良く出来ていた。
頑健な下半身や張った頬骨など、粗になり兼ねない部分も隠さずに且つ綺麗に撮って貰えている。
考えさせると死んでしまう表情も、放牧に出された動物のように生きたものになっている。
カメラマンが自分の流儀に拘泥せず、モデルを生かそうと撮ったグラビア。
懐都合さえ良ければ、これの為だけに買っても良かった。
週刊プレイボーイ 2011 41号 の深田恭子
今村敏彦が生々しく撮っているのだけれど、モデルが強いので破綻しない。
同時期に載ったビッグコミックスピリッツのグラビア(こちらは野村浩二)は、弄り壊してしまったようなところが有ったが、こちらは良かった。
週刊プレイボーイ 2011 41号 の小島慶子
沢渡朔の撮影。 39歳の小島慶子を糊塗せずに、且つ綺麗に撮っている。
若いモデル相手だと人の悪い撮り方もするし、それが良かったりもするのだけれど、頭も勘も良い小島慶子相手だと悪戯せずに撮っているのが微笑ましくあった。
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広尾の駅から少し歩いたところにあるギャラリーで開かれた写真展。企画意図などは こちら で見て頂くとして。
作品の販売を伴う写真展でありつつ、ギャラリーの人がにじり寄って来て営業を掛けられたりすることも無く、落ち着いて観る事が出来る。
作家によって陳列の仕方はさまざまで、ぎっちり並べられてしまうと光の加減で見づらいことも有ったが、私の見たかった写真家の作品はゆとりを持って並べられていたのでじっくり見ることが出来た。
ぎっちり並んでも概ね見やすいのは、展示する側が写真の見方・見え方を知っているからだと思う。 以前、世田谷美術館で見たフェリックス・ティオリエ展がそうだったのだけれど、絵画を専門にするところだと、乳剤面のてかりを勘案せずに光を直に当ててしまうことがあって、こうなると実に見づらい。
私の好みの写真も、そうでない写真も取り混ぜてあったのだけれど、こうして買おうと思えば買う事も出来て、それでいて押し付けがましくないと言うのは珍しく、有り難い。
写真には(きちんとプリントされた写真には)印刷では伝わらない微細な情報が詰まっている。 写真展で良く出来た図録を買う事が出来ても、どうしてもオリジナルプリントには劣る。
付いた値段は決して安くは無いが不当に高くもなく、その写真が好きで堪らなければ私のようなルンプロでも手の出せる価格。
こうして写真を買う事によって、部屋を片付ける動機付けになるのではないか、そんな気もした。
ハービー山口の家族らしき人々を逆光で撮った写真、小林幹幸のボートを漕ぐ少女の写真、この二枚が悩ましかった。
2時過ぎから「ファインアート及び現代アートとしての写真 または作品紹介」と言うお題でギャラリートーク。 小林 幹幸、北島 明、ハービー・山口、福川芳郎(ブリッツギャラリー)、鶴田 直樹(途中から)、豪華な面子。
福川氏による現代アート業界のはじまりと発展、現代アートの表現手段としての写真の導入などのレクチュアから始まり、それにまつわる話やそうでもない話が文字通り談論風発。
2時間余に渡って続いた中で印象に残ったのは
「一番大事なのは胸にギュッときたもの」
「コンセプト勝負だと、頭でっかちなディベート写真になりがち」
「コンセプトを隠れ蓑にして自分を見せない人が居る」
「目と心と頭のバランスが大切」「心で感じたものをどう伝えるか(頭で)考える」
結論としてこうなった訳ではなく、私の心に響いたのがこうした言葉たちであったということ。
写真を生業として選んだ先輩たちが仕事としての写真に飲み込まれて作品を撮らなく(撮れなく)なって行ったさまを目の当たりにしたり、そしてそこまでのめり込めなかったり、技術も無かったり、様々な要因で道楽として写真を続けることを私は選んだのだけれど、やりようによってはこうして「工芸」ではなく「美術」としての作品を作ることが出来ると言う事を見せてもらえたのが一番の収穫だったかもしれない。
表紙とオマケポスターで佐々木希。 カラーグラビアページは「ギャルコン 2011」。 撮影は石川耕三、橋爪英典、松田嵩範、Takeo Dec.、TANAKA。 全111カット(111人)
一人1カット、しかも小さめなので写真については語りようも無いが、決まった面子しか巻頭グラビアにならない昨今、こうした発掘企画を大々的にやる姿勢は買える。
人数が絞られて纏まったカットを見られるようになったら、改めて触れたい。
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