ミサワホームの主催する建築関連のシンポジウムにゲストとして濱野智史、PIP: Platonics Idol Platformも出演と言う事で新宿へ。
参加申し込みから当落の発表まで間があったので家を買いそうもない私のようなルンプロは足切りされたのかと思ったら、当選のメールが来ていた。
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全体の流れを記録したブログ → 「アイドルと建築」シンポジウムに参加!(空き家の活用で社会的課題を解決するブログ 1/31更新分)
建築家二人のプレゼンを受け、濱野が「プラットフォーム」「アーキテクチュア」と言った共通項からテーマに沿うような話に持って行く流れ。
場に札が揃ったところでPIP: Platonics Idol Platformによるライブ。 腹の探り合いめいた緊張が一気に和み、元々アイドルが嫌いでは無いと言うか、建築家二人も嵌った経験があったり現在進行形で嵌ったりしている事もあり、具体例が示されたことで話が一気に膨らみ転がって行く。
アイドルと言う存在は、人生の一定期間限定でそうした状態に在る謂わば仮設建築のようなものであり、「アイドルと建築」から私が想像したのはアルベルト・シュペーアが「廃墟価値の理論」として主張した
「千年後にギリシャやローマのような美しい廃墟となるよう建築するべき」
であったり、立原道造が「方法論」に於いて記した
「すべての建築は結果において廃墟となる。ゆえに建築は廃墟になることまで想定して構築されなければならない」
であったり、二次利用出来ない記念碑的公園的なものだったのだけれど、坂東幸輔が示した空き家再生による地域活性化とそれを踏まえた濱野のアイドルのセカンドキャリアについての展望はアイドル時代に培ったものを違った形で生かす具体的な手段まで考えており、内定を蹴ってアイドルとしての人生を選択した空井美友の就職活動経験談も含めて、従来型のキャリアパスが崩壊した社会で生きていく道を示すものとなっていたように思う。
「空き家・空き店舗を利用したアイドルによる地域おこし、アイドルを育む街づくり」のようなものは酒田のSHIPを嚆矢としてさまざまな場所で生まれてきたが、現在に至るまで大成功とまで言えるようなものは出ていない。 RYUTistなども好事家層の評価は高いものの、一般的な認知はまだまだ。
坂東幸輔が徳島で行っている空き家再生による地域おこしが過疎を食い止めるのではなく、軟着陸させる方向に持って行くものである事、地域に根差した活動で一定の評価を受けているアイドルは地元にも客を呼べている事などから考えると、目標設定次第でやりようはあるのではないか。
当初カバーも取り混ぜて7曲と告知されていた PIP: Platonics Idol Platform のライブは音響トラブルもあってオリジナルの4曲に変更。
音響トラブルへの対処などで濱野が飛び回っている間、柚木や石川が繋いでいた。 やはり只の鼠ではない。
マイクが2本しかなかったり、オケの音が聞き取りにくかったり、セットリストがいきなり変更になっても対処できるあたりに進歩が見て取れる。
石川野乃花(PIP: Platonics Idol Platform)
この他の写真はこのあたりに。
カメラはいつものK10D、iso=400で開放。MC JUPITER-9 85mm/f2にて撮影。
85mmの距離感がどうも合わずに放置気味だったのだけれど、デジカメに移行してから1.5倍になって感覚が変わり、久しぶりに引っ張り出してみたら意外に撮りやすく、色のりも好み。
ライブをプリセットとか手動絞りのMFレンズで撮るからそうなるのだけれど、背後の光源に惑わされてAEが機能しないとシャッタースピードもマニュアルにしてしまい、デジカメなのにフルマニュアルで撮る羽目になる。
碌でもないカメラをとっかえひっかえ使って勘露出で撮ってきた経験が意外なところで生きている。
定時で逃げ出しても着くのは七時前。 一人目の途中からこそこそと入場。
「片棒」志らら
「蚤のかっぽれ」らく里
「妾馬」錦魚
<中入り>
「鮫講釈」談奈
「錦鯉」らく朝
「片棒」
前述の通り途中から。
お囃子や手古舞のあたり、端折らずにやった上で混ぜっ返したりしていたが、些か中途半端。
もっとぶっ壊してしまってよいと思うのだけれど、真打ちトライアルとなるとやりにくいのか、お題を課した師匠の意図を汲みあぐねているのか。 前回より肩の力は抜けており、楽しんで見られた。
「蚤のかっぽれ」
ネタ下ろしからなんだかんだで三度目だが、これまでで一番の出来。
コンサートホールで返りが良いからか、唄も伸び伸び。 かっぽれの所作も付け焼刃ではないので実に良い形。
蚤の子供と杯の遣り取りをするのが馬鹿馬鹿しくも面白い。
マクラの危険球気味のクスグリが野暮な客に蹴られた感じもしたが、そこはセコな客だったと言うことで。 出来としては非常に良かった。
「妾馬」
二月になってしまったが、おめでたい話。
軽くて、様子が良くて、明るく楽しい。
あやふやな部分などもありつつ、上手く丸め込んで演っていた。 良いものを見た。
客席の沸き方は今日一番。
「鮫講釈」
中入りを挟んで空気が変わったところで、マクラを振らずに噺へ。
この噺のどのあたりでどうウケるかでその日の客のスノッブ度が測れるのだけれど、今日はお寒い感じ。 修羅場読みも立て板に水と言う感じではないが、淡々と。
あぷなっかしいようでいて、なんとかなってしまうのが「らしく」あった。 客がずるずると巻き込まれて行く。
一席終えて「縁かいな」。 踊りも綱渡り。
扇子の先が小刻みに震える様に真打トライアルというものの重圧を見る。
「錦鯉」
糖尿病をテーマにした自作。「抜け雀」「宗珉の滝」「景清」あたりからの掴み込みで筋を作り、粗食をして身体を動かせば糖尿は改善すると言う教えを織り込んである。
脈絡なく登場人物が出入りし、複数の話からの掴み込みによる矛盾もあって全般的に冗長。
糖尿の進行による手の痺れを治すために日参した川崎の宿の外れの観音様が実は子宝観音だったと言うのが落ちに繋がるのだけれど、子宝を授かるためなら妊婦は通わないし、安産祈願なら授からない悩みの人は通わない。 そのあたりがどっちつかずで描けていないし、観音様を「神様」と表現するのもおかしい。
兎に角、話が練れていないし刈り込んでもいない、言葉も撰べない。 実に長い弁当幕。
そうなると俯く客が増える。 頭の上をやり過ごす「寝床」のような状態。 鼾すら聞こえた。
回収して開票・集計する間、志らく師が出てきて講評・・・のようなもの。
途中で集計終了の太鼓がドドンと鳴り、結果発表。
一位 らく朝、二位 錦魚。
落語立川流は今日死んだ。
客が殺した。
濱野智史のツイートで撮影可であることを知ったのが17時過ぎ。
そこから自宅に蜻蛉返りして押っ取り刀で押上へ。
着いたころには佐藤遥生誕祭も終盤。
PIP と notall で20分ずつのライブ。 まずはPIP: Platonics Idol Platformから。
羽月と濱野がお休み、アンダーで森崎が入る布陣。
初めは固まった笑顔だった森崎の表情も次第に和らぐ。 曲に合わせて表情に変化と諧調を付けられるようになると、選抜メンバーとの差も埋まって行くと思う。
やるべき事をやった上で周囲に目をやるゆとりが持てている福田。 高いレベルで安定。
濱野が休みで難しいソロパートのお鉢が回ってきた空井。 予想以上に歌いこなせていた。
20分の持ち時間を借り物の歌は一曲だけで乗り切れるようになり、なんとか他所へ出しても恰好が付くようになって来ている。
ライブハウスでの出番毎の客の譲り合いの延長線上での振る舞いなのかもしれないが、PIPのライブが終わったところで席を立つ手合いが多かったのには驚き呆れた。
こう言う場合は主催者を立てて最後まで見て行くのが礼儀と言う物であろう。
後半は notall 。
一曲目が「学園天国」でどうなるかと思ったが、あとはオリジナルで押す構成。
撮りやすくて絵にもなる。 思わぬ拾い物。
栗城、瑞野、山下が休演。 PIP京都から安斉が来演。
イレギュラーな公演と言う事もあり、送り手側がリハーサルで手一杯らしく、客が自主的に整列したりさせたり。 統制されないが故の横紙破りをするような手合いは今のところ居ないので平和裏に入場。
舞台中央に何やら棺状のものが置かれており、ヴァンパイヤだと言い張る羽月の門出に因んだ演出がなされることが分かる。
何やらおどろおどろしい曲で開演。 やろうやろうと言いつつ出来なかったハロウィンにからめた演出で幕開け。
血みどろのネグリジェに球体関節ストッキング、背中には天使の羽を背負い切腹した塩冶判官みたような青褪めメイクで口の周りを血糊で汚した羽月が棺桶から出てきて歌い出し、曲の途中からは最初期のチーム分けで出来た所謂「Babyチーム」の連中も仮装で加わる。
この辺りも含め、羽月の最後っ屁と言うか、好きなことを好きなだけやらせた、纏まりは無く冗長だがのんびり楽しめる新富町時代のような公演となった。
前半は羽月の持ち歌をユニットも含めて持ってけドロボー式に蔵浚え。 小林希望と「てもでもの涙」、濱野舞衣香と久しぶりに「ライオン」など。
中盤は選抜組によるオリジナル曲多め。 予約受付が深夜にずれ込んだことによる偶発的事故により前の方で見られたので何時もとは視界が異なり、細部に目が行く。
選抜の衣装はそれぞれの管理に委ねられているらしく保管状態にも個性が出ていたが、アイロンの設定温度が高すぎるのか、テカりが出てしまっていたのが気になった。 既製品ならタグに素材と選択の仕方やアイロンの推奨温度が記載されるが、誂えだとそうも行かないし、素材も組み合わせて作られているので扱いも難しいのであろう。
これに限らずなのであるが、石川野乃花の自負心の強さ。 「ちゃんと(しゃんと)しよう」とする意識の強さが空回りしている。 状況や立場からしてそうせざるを得ないのも解からないではないが、ちょっと肩肘を張りすぎているように思える。
これは石川の置かれた立場上必然的に起こり得る事態であり、補佐職の働きでのみ緩和できるのだけれど、これもまた難しい。 忍従の時なのかもしれない。
「僕を信じて」で小室の靴が脱げるハプニング。
何食わぬ顔で一曲務めおおせたのは良かったが、舞台上に靴が在り続けたので気を揉んだ。
出来れば本人若しくは気づいた人間が端に寄せるべきなのであるが、そこまでのゆとりはまだ無いようだ。(この手の事はAKB48の小林香菜が目ざとく、処理も上手い)
入れ替わり立ち代わり目の前にメンバーがやって来るのだけれど、同じ振付けでも柚木だけ桁違いに情報量が多い。
誘蛾灯の様に目が引き寄せられ、植芝盛平翁の空気投げの如く「柚木が見た客」ではなく「柚木を見た客」が投げ飛ばされて行く。
以下、散文的に雑感など。
泣かないと決めたら意地でも泣かない橋田。
身体的辛さや感情の乱れを意志の力で抑え込んで平静を装い切る。 Triumph des Willens.
その中で見せる「揺らぎ」に惹きつけられる。
「誘惑のハートビート」の濱野舞衣香ソロパートは大分聴けるものになって来た。
これが歌いこなせれば表現の幅はかなり拡がる。
ALLOVER兼任組に目を見張る進歩。 特に北川が良い。
これ迄意識してやっていた事が無意識下で出来るようになり、その分視野が広がっている。
側頭部で二つ縛りにした柚木。 後頭部の髪の分け目がジグザグになっており、石川の手によるものと思われるが芸が細かい。
こうしたヘアアレンジのセンスには毎度唸らされる。
羽月あずさがなぜ辞めるのかについては最後まで具体的な説明が無かったが、濱野舞衣香が読んだ送辞的な手紙の中で昨年の晩秋には決めていたようなくだりがあり、辞めることを決めた時期だけは分かった。
辞めるに至った経緯について触れられず、もやもやしたまま卒業の美名の下に送り出して感動してしまうところに私は違和感を抱くが、もっともらしい嘘を語らせないところも濱野智史の流儀なのかもしれない。
石川の表情が公演を通して硬く、羽月の件以外にも何かありそうだとは思っていたが、最後の最後で牛島千尋から3月末で辞める旨発表。
マラソン渋滞に嵌り、一席目の途中で入場。
「道具屋」談奈
「歌うスタンダップコミック」寒空はだか
(略)
「明烏」錦魚
仕込み忘れたり言い間違えたところは流してしまっても良いのだけれど、仕込み直したり自虐的に敢えて触れたりする談奈さんらしい寝技たっぷりの一席。 出来としては良くないのだと思うが、悪いなりになんとかする時の妙味。
はだかさんはハズレが無い。 確実に客を楽しませて降りる。
錦魚さんの「明烏」は間が良かった。 客をグイと引き付ける。
不愉快な事の方が多い真打トライアルではあるが、やらざるを得ない状況を作る事で出来た伸び代を感じた。
青山の、平日はカフェになっているスペースを借り切ってのイベント。 閉館したベルコモンズが廃墟化しつつあるが、街の雰囲気も多少変わったような気はするが、並びの立ち食い蕎麦屋は健在だった。
雑居ビルの7階にあるカフェは如何にも青山のカフェと言った感じのしつらえで、下町の人間には些か居心地が悪いが、営業日では無かったのが救い。
白井と高橋が病欠、姫川は受験期間中と言う事で金沢と四宮のみの出席。
公開英単テストやアイドル時事ネタ討論会などの合間に歌が挟まる格好。 風邪が本復していない四宮は咳込みがちだったが、ふわふわした口調でのんびりと平和に喋るのが面白い。
撮っても良いとのことで、四宮中心に。
身に纏った空気がアイドル。
姫川が途中から参加。
受験の結果待ちでニート状態に在ると言う姫川だったが、やはり場数が違って飛び入りで踊っても動きの質が違う。
歌はほぽ゛金沢が支える形。
試行錯誤が上手く行っていない部分はあるけれど、面白さ楽しさとは対極にある「受験」を有意義なものにしようとする企画意図は買える。
今後も足を運びたい。 次回は3/21(土・祝)とのこと。