昼に須田町で落語を観てから神田迄歩き、中央線で吉祥寺へ。
ハモニカ横丁のあたりは昔の縁を留めているが、周辺はすっかりごく普通の郊外駅になっていた。
そんな再開発地区のタワーレコード吉祥寺店の入っているビルの二階イベントスペースにて捲土重来のインストアイベント。
タイミングが合わず中々観られなかったのだけれど、漸く初見。 早いところ裏を返したい。
イベント用の簡易ステージは用意されていたものの、スタッキング式のパーティションポールで床を四角く区切って広めに舞台としてのスペースを確保。
楽曲プロデューサー氏曰く「三方から見られる埼玉スーパーアリーナ方式」。
開演前からアイドル系楽曲を上手い具合に繋いで流して会場を温めるのも楽しい。
前列の客はステージを囲んで地面に座る相撲溜会方式。 後ろは立ち見になるが視界は確保される。
楽曲プロデューサー氏より「本日、撮影・録音・録画は・・・すべてOKでございます!!」
その代わり、良いのが撮れたらアップロードして欲しいとのこと。
掛かっていた「デモサヨナラ」がフェードアウトして、リハーサルとマイクチェック。
最後の曲は激しく動くのでステージ際には荷物を置かないようお願いされたりしつつ開演。
二人ともスーっと動いてピタリと止まる。 移動も振りも大きいので撮るのは骨だが実に愉しい。
天井の蛍光灯が入ったりは入らなかったりして煩わしいので、途中から絞りとシャッタースピードは固定して、ピントも含めフルマニュアルで撮影。
撮れると思っていなかったので、手持ちは散歩用しかなく、標準3本に広角1本。 一番ピントのヤマの掴み易い(そして長い)ペトリの55mm/f1.8を選択。 APS-Cの1.5倍換算で82.5mm相当。
至近距離だったので丁度良い塩梅だった。
途中、呼び込まれて今回のシングルにコーラスで参加している中村綾。
細かいことを説明しないのは、この場合良い。 色々あっても立てる舞台があり、引き立ててくれる人や暖かく迎えてくれる客が居ると言うのは実に幸せな事であり、中村綾もそれに応えていると思う。
井次麻友と藤井美音で衣装にゆとりが有ったり無かったりするのはご愛嬌だが、きちんと作られた衣装と言うものは見ている側も嬉しい。
今回のキャンペーンで回ったタワーレコードはどこも広くて怖かったなど、微笑ましい発言もあったが、東京何するものぞ的な気負いの無い、鳥取でやっている通りのものを出せていたのではないかと思う。
元々がサンミュージックアカデミーのレッスン生だった事もあってか、地方発のアイドルに往々にして見られる、幻想の東京がキメラ化してしまったようなウルトラゴシック感は無く、牧歌的でありつつも野暮ったくは無い、長閑さと洗練の絶妙なバランス。
どの大都市からも等しく遠いと言うのは、酒田もそうだったが逆説的に「地の利」と言えるのかも知れない。
地方都市であったリバプールが、衒うでも卑下するでもなく自然体で音楽の発信源たり得たような事が、本邦のアイドルでも可能なのではないか。
それは新潟、福井、鳥取、長崎etc...、各地で実証されつつあるように、私には感じられる。
仕事帰りにネット配信のアイドルバラエティー番組の公開収録へ。
【1組目:19:00】ANNA☆S
【2組目:19:30】meltia
【3組目:20:00】まどもあ54世
【4組目:20:30】PIP:Platonics Idol Platform
ANNA☆S
例によって司会無し、後ろからプロデューサー氏が指示を出したりすることはあっても舞台の上はメンバーのみで回しており、CM入り・明けのタイミングでの切り替えも自然。
田沢涼夏の一人コントが良い。
科白が飛びそうになったり詰まったりはしつつも気合で乗り切って遣り切る。 ネタが内輪受け気味だったのはご愛嬌だが、結構な長さでありつつ、ダレずに見られた。
何曲か演った中では80年代風の味付けの「カ・ワ☆イ・イ(檸檬リミックス)」が良かった。 リミックスしたのは違う人だが、土橋安騎夫の音。
アナログ限定のリリースだったようだが、この音源は欲しい。
meltia
メンバーが好きなテレビ番組をそのまま持ってきたような企画。
内輪受け感が強いダレ場だったが、司会の石橋哲也が苦心して廻していた。
マルチタスクな芸人は喋りながら別のことを考えていることがままあるが、口で進行しながら頭では次の一手を考えつつ、目で状況判断もしていると言う、なかなかどうして凄いものを見た。
まどもあ54世
「叩いてかぶってじゃんけんぽん」と「椅子取りゲーム」
ベタといえばベタな企画なのであるが、こちらでもメンバーそれぞれの性格や振舞いから上手く魅力を引き出して廻していた。
室井ゆうのヤクルトスワローズ耽溺ぶりと、それに乗っかって膨らませる石橋が面白かった。
PIP:Platonics Idol Platform
ドッキリではないが特別な何かがある風な煽り告知。
メンバーも怯えつつ「心理テスト」からスタート。 上げたり下げたりして盛り上げたところで、「これから出てくる人はどんな凄い人でしょう?」的な設問。
心理テストでは無くなっているのだけれど持って行き方が上手い。
出てきたのは高井つき奈で、私は吃驚したのだけれど客の反応は薄く、メンバーも全員誰だか分かっていない。
時は流れた。
矢神久美と森紗雪を脇に従えてユニットのセンターだったのは伊達ではなく、舞台に立つと矢張り華がある。
この本人の前で「ウィンブルドンへ連れて行って」を演ると言う事態に驚愕と困惑が綯い交ぜになる空井福田小室。
それでもとりあへず遣り切ったのは褒めて良いと思う。
後半は高井つき奈も舞台へ。
ふわりと軽く儚く、仄かに甘い。 眼福。
写真をアップロード。
PIP:Platonics Idol Platform ツイッターイベント
Chelip“Change the Power!!!”発売記念インストアライブ、第2回「Chelip、吉祥寺に帰ってまいりました!」
藤井美音(Chelip)
ペトリ C.C Auto 55mm/f1.8 + ペンタックスK10D
f5.6くらい
1/320s
iso=800
井次麻友(Chelip)
ペトリ C.C Auto 55mm/f1.8 + ペンタックスK10D
f5.6くらい
1/320s
iso=800
小室志織(PIP:Platonics Idol Platform)
ノボフレックス ノフレクサー240mm/f4.5
+ ペンタックスK10D
絞り開放
1/320s
iso=800
革労協ばりの内ゲバと分派であっという間に小所帯になってしまったPIP:Platonics Idol Platformではあるが、CDリリースを来月に控えての九月攻勢。
とりあへずは定期公演もリリースイベント仕様。
「今回はPIP第一弾シングルCD「僕を信じて」リリースイベント(予約特典会)も兼ねた定期公演を開催!シングル収録のC/W新曲も初披露予定!PIPよ、何があっても、前へ進め!動き続けろ!その先に、何があったとしても!」との長い副題。
前半は例によってバラエティ番組の体での公開収録。
流石に五人にまで減ると、より解り易い形でのキャラクター形成が必要になるようで、これ迄の経緯は踏まえつつ誇張も入った引き回しをする司会の石橋哲也(カオポイント)。
事ここに到っては受容して回していくしかないのはメンバーも理解しており、それぞれが腹を括ってそれぞれの役割を果たし、番組を成立させていた。
後半はライブ。
影アナを事前に撮ったビデオにする新機軸。
聞き取り辛くは有るが、そもそも注意事項など客の殆どが馬耳東風。 これで良いのかも知れない。
先日のレーベル祭で見た客席を光モノが埋めるさまに触発されてか、そう言った物を持って来いとの要請があったので客の何割かは律儀に持参していたが、それを「どう使わせるか」までは考えられておらず、これ幸いと乱暴狼藉に至る向きもそこかしこに。
ライトセーバーみたいなのを振り回して空いた客席を八艘飛び。 最前列までしゃしゃり出てステージ上の特定メンバーを威嚇する下衆下民も増えた。
「新しい客を増やしたい」とメンバーは口にするが、これが許容される現場にどう言う手合いが集まるのか、考えたほうが良い。 「暴れられる現場なので来た」と嘯くのも仄聞。
彼らを「太い客」として遇したいのであれば、まぁ仕方が無い。
古い狂歌に「傾城の恋は誠の恋ならで 金もってこいが本のこいなり」とある。
光る棒を持つと手が塞がるので、拍手・手拍子の音量は下がり、ガヤの音量は上がる。
これも当然の帰結なのであるが、スタッフにもメンバーにも「場をどんな空気にするか」についての定見が無いから、その時々の客筋によって、こんな事にもなる。
デビューシングルのc/w曲が無駄に動きの激しい曲なので、レッスンに参加できる機会の多い連中は必然的に動ける身体になりつつあるが、呼吸器・循環器が追いついておらず、当該曲を演った後は Kraftwerk の Tour de France のような状態になってしまい、暫く間繋ぎをしないと次に行けないのが難。
これまでのオリジナル曲の中では最も感興を催さないものがCD収録曲になる不可解。
レッスンにあまり参加できていない瑞野は、やはり動きに重さがある。 これで無理をして怪我をしなければ良いのだが。
石川は映画出演などもあってか、かなり絞れて来ており、落ちにくい部分もきっちり落としつつ肌荒れや窶れなどが出ていないのに感心した。
歌の方は横に置くとして、振り付けの咀嚼と演繹、舞台の上の人としての意識の持ち方については申し分の無い小室。
表情が死ぬ事が、瞬間的にすら無いのは褒めて良い。
常に不安定に安定していた「僕を信じて」の福田の歌い出しが、その部分だけ被せオケになっていた。 興醒めと言うか、レーベル側のセンスの無さに幻滅。
息を整える為の間繋ぎ以外ダレ場も無く、歌で押していく構成ではあったが、見せる為の工夫が無い。
借り物の曲が使い回しばかりでここ数ヶ月代わり映えがしないのは停滞ではなく後退と言って良いだろう。
これまでに無い逆境の中でCDリリースを迎えるPIP:Platonics Idol Platform。
心から楽しめているかと問われれば首を横に振る他無いが、完全に厭になってしまってもいないので、もう暫く定点観測を続けようと思っている。