ヤングジャンプに掲載された先行グラビアは芳しくない出来ではあったが、とりあへず発売日に購入。
危惧したギリシアの強い日差しは撮影する時間帯と撮り方の工夫で緩和されていた。
眩しそうにしても険しくなりにくい顔の作りも幸いしていたが、光と正対させる際に目を瞑らせてしまうことで眩しくなりようの無い状況を作り出す荒業。
一度なら使って効果の有る飛び道具も、二度三度となると陳腐化するのであるが、意に介しないのか他に方法を考え付かないのか繰り返されるのには興醒め。
渡辺梨加の表情は単調な上にも単調で、諧調にも乏しいのであるが、カメラとは自然に向き合えており、隔意の有る作為が表情に出ないのも良い。
造形美を愛でる為の写真と割り切って撮っており、被写体の能動的な動きや表情に期待していない。
出来ない無理はさせていないとも言えるが、私小説的な物語すらも無く、夏休みの絵日記的な構成。
阿部ちづるは「気を許して貰える」才はあるらしく、柔らかい表情は引き出せているが、AF任せでざっくり撮っているのでピントに厳密さを欠く憾みが有り、表情の良さを採ったのかアウトフォーカス気味のカットも散見。
オフショットなら未だしも、本篇で使うのは如何なものかと思われるような物すらある。
そして、今に始まった事ではないのだけれど、意図してやっているのではないかと思われる位「串刺し」「首切り」の構図が多い。
幾ら良い表情が撮れていても、被写体を呪詛するような撮り方に無頓着なカメラマンを肯定的には評価できない。
読後感は悪い。