折井の担当日と言うと荒天と言うのも今は昔、冬晴れの東京タワーではクリスマスのイルミネーションが始まっていた。
ピンクのニットワンピース、丈が短くて腰掛けると一寸危ういが、そこはそれ膝掛けなどでガード。 役の為か長い髪は明るめの色、長いこと見ているが、今が一番綺麗なのではないか。 通りすがりの客からも溜息混じりの感嘆の声が洩れ聞えた。
目当てで来ている客は、カフェと観覧用丸椅子と立ち見で分散。 観光できたフリの客が相手となる、華やかそうでいて難しい仕事。
初めてのデートらしきカップル、初めての海外旅行と思しき大陸の人など、まわりが見えなくなってしまっている人は、そここでイベントがあろうがなかろうが構わずはしゃぎ回るので、見ていてつらくなることも間々あるのだけれど、ここ二年くらいの折井は実に強くなっており、心が折れない。
相方のDJミズノ氏とは断続的ではあるが付き合いも長く、気心が知れているので話も上手く転がる。
ミズノ氏の選曲の妙がこのイベントの隠れた魅力ではあるのだけれど、曲についての話が弾むのも折井の引き出しが増えて深くなっているからだと思う。
何時にも増して「告白した」とか「付き合い始めて何周年」とかそういうリクエストが多く、そうなると番組としては盛り上がる。
リクエストに書かれた話の流れで「あなたとクリスマスイブ」をアカペラで歌う羽目になったり、歌い終えて大いに照れたり、古い客向けのご褒美などもありつつ、和やかに終演。
AKB48が売れる前に辞めているので、知名度という点に於いては恩恵に預かれていないが、「その後の人生」としては充実しているのではないだろうか。