マルイジャム 渋谷6階のイベントスペースをパーティションで仕切ったところにパネルを並べて展示。
入り口付近に大伸ばしされたものが7点、あとは額装された半切くらいのものがズラリ。
展示スペースは狭く、パネルが低いところに詰め込んで二段展示なので、下の段は屈まないと見えない。 場内が明るいので見えづらさはないものの、ライテイングに関しては全く考えられておらず、詰め込み過ぎてパネルを並べる幅も狭いので混み合っても客は行き交えない。
見る価値が全く無いとは言わないが、写真以前に展示環境の点でおすすめしにくいし、写真の方も良くも悪くも魚住らしいもので、見るに堪えない大ハズレは無いかわりに「これは」と思うものもない。
展示枚数こそ多いものの撮り方が単調で、切り取り方は多少変わっても被写体と向き合う角度はほぼ一定で正面からなので、どの写真も代わり映えしない。
大部彩夏は口呼吸の人らしく、口はいくらか開き気味で常に微笑んでいるような表情。 それをどうしようともしていないので、何枚並べたところで似たような写真にしかならない。
たまにある口を閉じたカットや横顔などを見ると、大部彩夏の被写体としての魅力を引き出しているものも有るにはあるのだけれど、それが少ないところから見て、やはりモデルの表情の諧調や映える角度を引き出そうとする意欲は薄いように感じられる。
そこが魚住の持ち味でもあり、無難というか万人向けというか、分かりやすい写真にはなっているのではあるが。
プリントのみなら10800円、額装しても27000円、展示したものからより抜きにした写真集が8640円と値付けも上手い。
ハイエンド向けマルベル堂商法としては良い線だと思う。