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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


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ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2014-11-05 本末転倒 [長年日記]

_ 落語立川流真打トライアル(第2回)(26.11.5 日暮里サニーホール)

定時で逃げ出しても六時半に日暮里なんざ着ける訳も無く、今日も途中入場。
前座が五人も六人ものたくってる割に椅子の並べ方はガタガタ、空いてる椅子に腰掛けようと思ったら「関係者席」
結局「関係者」なるものは最後まで来なかった。

演目の変わり目で空席に滑り込む。 客席を見渡すと八割方年寄り。 「六時半に日暮里の会場に辿り着ける層」 が、立川流の想定する「お客様」なのであろう。

「替り目」 らく朝
「大工調べ」 志らら
「薮入り」 談奈
<中入り>
「六尺棒」→獅子舞 らく里
「片棒」 錦魚

「替り目」の途中で入ったのだけれど、そろそろお後と交代と言う頃合ながら、車屋の梶棒が漸くあがったくらい。 そこからが長かった。 時計の上でも、気分的にも。
「大工調べ」は無駄に早口で且つ滑舌が悪く、見せ場の言い立てが全く聞き取れない。 上滑りしたまま道具箱が帰ってくる前に終了。 ところどころ面白いクスグリは入ったが、走り過ぎちゃってそれすらも聞き取りづらい。
「薮入り」は悪くなかったが、楽屋落ちの入れ事が多く、それ故の矛盾なども出てしまって噺を壊していた。 落ち着いて演れば良いと思うのだけれど、妙な気を起こすからおかしくなる。

中入りでロビーに出て、知己に毒づいて気晴らしをしてから後半を聴く。

テンポ良く「六尺棒」。 すっとぼけた道楽息子が重苦しい空気を払い、気分良く笑った後に獅子舞。 一寸長かったが、二度三度と中手が入る熱演。
マクラもそこそこに噺に入った「片棒」は、耳にスッと入って虚心に笑える。

前半はどうなることかと思ったが。中入り後のニ席で帳尻が合った。

「一位になったら真打」と言われて平常心で高座に上がれる訳も無いが、それでも妙な色気を出すと途端に駄目になる。 その典型例がニ席続いたところから始まったにしては、差し引きでプラスになった。

客に審査と言う野暮を押し付けるところからして厭なのだけれど、それを見世物として昇華し切れていない、イベントとしての詰めの甘さが憂鬱に拍車を掛ける。
出来としては「六尺棒」が頭抜けており、投票結果も一位ではあったのだけれど、それでも過半数には満たないところから垣間見える「情実」の理不尽。
トライアルが嫌いなのになんで見に来るのか訊いてくる野暮な客が居たが、見たい聞きたいより「投票したい」が先に立つのこそ本末転倒ではなかろうか。


「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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