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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


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酒田へ行きたい
ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2017-01-22 [長年日記]

_ 中藤毅彦写真展『Sous le ciel de Paris』

オリンパスプラザ東京に併設されているオリンパスギャラリーへ。
パリで撮った、モノクロームの写真展。
街の風景や建物の一部、市井の人々の肖像。 これまで様々な写真家が撮ってきたものの延長線上にあるパリなのだけれど、距離感とか切り取り方は中藤流。 礼節のある距離の詰め方。 

遠くにエッフェル塔を望んでパリ市街を俯瞰した写真が象徴的。
地平線は斜めなのだけれど視覚的な揺らぎは感じない。
他の写真でも水平垂直に関してはざっくりしているのだけけど、見ていて平衡感覚がおかしくなる写真は無かった。
画面の中の水平垂直に囚われていないのが、却って良いのだと思う。 そう見えているであろう角度から切られた構図。

プリントが実に美しい。 デジタルでのモノクロームなのだけれど、銀塩でも此処迄の物には中々お目に掛かれない。
粒感は適度にあり、諧調も豊か。 「黒」と「黒と灰色の間の色」にある暗部に幅と深みがあり、黒もきっちり締まった「黒より黒い黒」。
自らも暗室に入って、試行錯誤しつつプリントをしているからこそ辿り着けた高みだと私は思う。

写真展の概要や写っている人物の説明で貼られた紙の書体が活字調のもので、これも写真に良く合っていた。

入り口に近いものから順に見ていくと、最後の最後でひっくり返る。 夢のようなノスタルジーの中のパリから、現在の現実のパリへ。 生まれ育った人々のパリから、やってきた人々のパリへ。
行きつ戻りつして見返す。 それもパリであり、これもパリである。

以下は展示内容ではなく、ギャラリーそのものに係る部分の話。

オリンパスプラザが入っているビルの構造上仕方がないのであるが天井が低く、低い天井から更に吊り下げられたライトを直接当てているので眩しい。
一寸離れて見ると気にならなくなる位置を見つけられるのであるが、寄って細部を見ようとすると一寸煩い。

直接は当てないとか、もっと高い位置から当てるとか、やりようはあると思うのだけれど、照明機材の選定にあたって「どう見えるか」について検討したとは思えない。
念の為書いておくと、機材選定に当たっての誤りであり、そこに在る機材での最善を目指してはいたと思う。

床や壁の色調や部屋の明るさ、空調の設定などは良かっただけに、画竜点睛を欠いた感があった。

ともあれ、写真展としては非常に見応えの有るもの。 会期中にもう一度見に行きたい。



「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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