久しぶりにメール抽選が当たったので、どちらか買えりゃ良いやってんで、ゆるりと朝寝をして秋葉原。
台風が近づいていて雨が降っている割には人が多く、なんとか夜のチケットは買えたが発券に矢鱈時間が掛かって実に寒い。
漸く買えた頃には十一時を廻っていた。
遠方枠の前に入場できたのは殆どが並んで買った客で、メール抽選枠の客は枕を並べて討ち死に。
それでもなんとかセンターブロックの片隅に潜り込んで橋頭堡を築く。
影アナは浦野。 喋りそのものだけでなく、客の扱いが上手い。
「嘆きのフィギュア」
いつも仲谷と菊地はかり見ているので、残りの二人にも目をやってみる。
渡辺は二の腕あたりの肉置きが豊かになり、動きが止めるべきところで止まるようになってきた。
多田は客席を満遍なく見ており、気を引こうとしている客だけでなく、他とは違うところを見ていたりする客にも目を留めるのが面白い。
お下がりセットリストの宿命で常に比較されてしまう不幸がつきまとうが、初日からすると長足の進歩を遂げており、支払われた対価に見合う仕事は出来ていると思う。
「涙の湘南」
浦野が良い。 上手いと褒めるほど上手くはないが、要所々々できっちり歌い上げる。
ここのところゆる巻きのポニーテールが多かった片山は久しぶりに編み込みストレート。
おやっと思ったのは柏木、何処と無くではあるが、表情が明るいように感じた。
「会いたかった」
ダダダッと駆け込んでくると、休みなのは承知しているが平嶋が居ない。
自己紹介に移ると、さらに欠落感。 ツッコミを入れたりフォローしたりするだけでなく、ニコニコ立っているだけでも存在感が有ったのを今更ながら感じる。
片山のキャッチフレーズ見たようなのが更に変わっていて、「お手ごろ価格のハッピーセット」になっていた。
言いたいことも判らんではないが、自分をお安く見積もるのは如何なものか。
浦野のフォローも有ったが、客に翻弄され過ぎない松岡。 要は程度問題なのだ。
「渚のCHERRY」
なんとなく今日も米沢を見てしまう。 米沢が良くなると田名部や早乙女も良くなる。
この曲は後ろの面子が主役を喰うくらいで丁度良いバランスだと思う。
米沢は特にダンスが上手いと言う訳ではないが、主役を引き立てる部分の動きとギラギラした間奏部分の動きの切り替えで巧く見せている。
「ガラスの I LOVE YOU」
マチネは平嶋が学校行事で休みと言うことで、この曲の代役にも注目が集まっていた。
暗がりに目を凝らして平嶋の立ち位置を見る。
ぱっと明かりが点くと、研究生の成瀬理沙。 上背があって手足が細長くて首が短い、宮崎アニメのロボットの様な体型で、ベストがつんつるてんな感じも有ったがさほど違和感は無く。
間奏部分の舞台上をぐるり一回り走る部分で後ろの多田に突付かれたりもしていたが、それ以外は目立った粗も無く、終始笑顔を絶やさずにソツなくこなしていた。
素人目には「嘆きのフィギュア」の方が難しく見えるが、代役で両方演った事のある大島優子は「ガラスの I LOVE YOU」の方が難しいと話していたのを思い出した。
「背中から抱きしめて」
ソロパートで声が裏返って音を外した多田が顔を顰めて首を振っていた。
何喰わぬ顔でやり過ごすのが最上の策ではあるが、ニヤニヤして誤魔化さなかったところに多田なりの意識の高さを垣間見られたのは収穫だった。
「リオの革命」
激しく動く曲の松岡の動きが面白い。 身体の柔らかさと發条の強さ。
見た目は太目残りで、もう一と絞り欲しい井上だが、表情も良いし、動くと切れもあり流れもせずで文句のない出來。
一寸顎を上げ気味にして挑むような表情の片山も良い。
「JESUS」
「会いたかった」公演ではすっかりお茶を挽かされた感があり、初演からしばらくは痛々しくて視野に入れるのも辛かった早乙女がなかなか良い表情に成っていた。
舞台上に居る間に何をすべきか、どう振る舞うべきか、少ない出番をどう生かすか、早乙女は早乙女なりに考えているのだと思う。
「桜の花びらたち」
「だけど・・・」が終わってスタンドマイクが運び込まれるドサクサに紛れて、何喰わぬ顔で成瀬が登場。
力み過ぎないで歌う柏木が良い表情。 力むとどうしても凶相になる憾みがある。
曲の途中で桜の花びら(…のかたちの紙吹雪)が舞い散る演出が復活。
ついでにアンコール待ちの暗転中のモップも復活。
「スカート、ひらり」
この曲にも出た成瀬は都合三曲。 終演後に挨拶。
佐伯が心配そうに見ていたのが印象に残った。
手繋ぎ挨拶の後、「夕陽を見ているか?」のPV上映。
一瞬だけアップになる宮澤の表情が実に味わい深く、印象に残った。
先週は余りに酷い席で嫌な気分のまま劇場を出たが、客の喧噪が気にならない席で舞台上で起こっている事に集中して観られさえすれば、矢張り楽しい。
入場前に劇場から佐藤(N)と野呂が出てきて、佐藤(N)がトラメガでN-1グランプリ一回戦突破の報告。
劇場内では秋元康がニヤニヤ。
入場抽選は「禍福は糾える縄の如し」と言うか、「塞翁が馬」と言うか。 近くて見易いが隣がキ〒ガイ。
今日は多田が面白くて、重点的に観察。 言動は文字通りの enfant terrible で、子供の可愛らしさと残酷さを体現しているのだけれど、振り付けや歌に関しては意外に大人で、その辺はしっかりやっている。
自己紹介のお題は「最近爆笑した事」だか何だか、そんな感じの事。
井上がマネージャーの指示間違いで、行かなくても良い撮影現場に行かされた挙句、劇場へ来る際のタクシー運転手に冷たくされて、マネージャーが「タクシーの件も含めて全部俺が悪かった」と男らしく全面謝罪するまで延々劇場で泣きじゃくっていたと言う話を、「奈瑠ね、熱があったのにね、」と声色を使ったりしながら面白おかしくする浦野。
その横で顔を真っ赤にしてむくれる井上が微笑ましい。
しかし相変わらず浦野さん、お人が悪い。
浦野に意趣返しをする訳にも行かない井上は、片山がレッスン着のスウェットのズボンを後ろ前に穿いていた事を暴露。
今度は片山がむくれる。
その片山は、最近柏木から「めんどくさい女」と言われるとボヤキ節。
確かに面倒臭そうではある。
「背中から抱きしめて」のソロパート。 両手でマイクを握り締めて歌う平嶋。
この子は何時も真剣勝負なのだな…と、改めて思った。
「スカート、ひらり」着替え待ちのMCは、お題に沿って話を進めようとする米沢と仲谷から浦野が話を引っ手繰って横道に逸らしてから投げ返す罰ゲームの様相。
これを返したり、そうさせないように牽制出来るようになれば米沢も仲谷も一人前。
「スカート、ひらり」が終わって、いつもの手繋ぎ挨拶で〆かと思いきや、台風の中来てくれた感謝の気持ちをって事で延長戦。 一旦幕となり、暫し休憩の後 overture から仕切り直して「青春ガールズ」→「ビーチサンダル」→「君が星になるまで」
「青春ガールズ」で柏木のスカひら衣装の前ボタン(…と言うかベルクロ)が一番上だけ残して全部弾けっちまって、あられもない姿に。
それだけ気を入れて演っているって事だと思うが、哀れ柏木は気付く気配も無く丸々一曲そのままで。 見兼ねたマネージャー女史が本人に知らせて上手に捌けて直して出てきたが、これには驚いた。
人間ってなぁ勝手なもんだなと思ったのは、ホワイトボードで柏木に必死にアピールしていた客が、ことこう言う事ンなると知らぬ顔の半兵衛でダンマリ決め込んでやがッた事。
見たい気持ちを抑えてご注進に及ぶのが臣下の務めではないのか。
しかし敵もさるものアトリエヒノデ、はだけても大惨事には至らぬ工夫がしてあった。
柏木の偉かったのは、若干顔を引き攣らせつつもきっちり残りの2曲を演りおおせて、手繋ぎ挨拶で退場するまで感情を顕にしなかった事。
流石、エースの風格。