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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


ペトリあんてな
二面楚歌 断章
二面楚歌 グラビアレビュー備忘録
寒空文庫(仮)
写真日記二面楚歌 隠居所
petri's fotolife
酒田へ行きたい
ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2014-06-08 団塊向け政治的自慰雑誌にアイドルが取り上げられる不幸 [長年日記]

_ 週刊金曜日(2014 6/6号)(その1)

特集が「アイドルを守れ!」と言う事で購入。 図書館で済ませようかとも思ったが、買わないで貶すのもセコいなと思った次第。

特集を読む前に記事をざっと斜め読みしたのだけれど、或る程度金も地位もあり、勉強はしなかったがとりあへず大学までは出た、意識の高さについては自負のある中高年向け雑誌であることはわかった。 あらゆる揉め事が「ひとごと」に終始し、当事者意識のカケラも無い。 この雑誌の読者層が我が国を破滅に導いてきたことは明らかであるのだけれど、それについても全く無反省。
この雑誌の立ち位置を象徴しているのが「舞の海氏の「排外発言」記事についての見解」と言う編集長による署名記事。

「最大の差別・排外行為は戦争という殺人行為です。 日清戦争、日露戦争、太平洋戦争などで、多くの日本人や外国人が昭和天皇のために亡くなりました。 それを正当化する集会そのものが排外的な意味を帯びています。」

とある。

"行為"と言う単語を一文の中で重ねた悪文であるところからして物書きの風上にも置けないのであるが、日清・日露まで昭和天皇の責任に帰すると言うのは歴史認識以前の非常識である。
こうした乱暴な物言いをする編集長の雑誌にアイドルを語られる事も不愉快であるが、そこに寄稿してしまう・対談に出てしまう連中の政治性の強い媒体に対する警戒心皆無の無邪気さも気味が悪い。

特集記事の口開けはBiSのインタビュー。
BiSそのものについては語るべき何も持たないのであるが、アイドルに対して暴言を吐く手合いに対しての

「君のそのひと言で、ひとりの女の子の人生を失わせる可能性もあるんだよ?」

と言うのは重く受け止めたい。

「グラドル自撮り部」については、岡島紳士による状況説明と中心人物である倉持由香と吉田早希へのインタビューの2本立て。 岡島紳士の筆による部分は「アップトゥボーイが隔月刊化した」と言う一文以外、目立った事実誤認や歪曲は見られない。 アップトゥボーイは元々が隔月刊だったのだけれど、隔月増刊を発行して実質月刊化している。 然し乍ら所謂「グラビアアイドル」が掲載されることはあまり無いので、掲載機会が減少傾向にあるのは事実である。
倉持の自分が売れることによるシーン全体の底上げをと言う狙いは当たって、大手事務所に所属するアイドルも巻き込むことによってマスメディアにも取り上げられるようになった訳であるが、それ故に客も含めた既得権益受益層からの反発も顕在化した。 それでもこうして畑違いの雑誌にも取り上げられている訳であり、一定の成果は上げているように思われる。

さわやかによる「『接触』による活況が生み出した"触れないアイドル"の可能性」は、接客業に偏したアイドルによって齎されたジャンルとしての活況が、接客業としての側面を切り捨てた形でのアイドルとしての在り方を可能にしていると言う論考。
CD以降の未来も見据えた、読みでのある文章。

_ 週刊金曜日(2014 6/6号)(その2)

濱野智史の「アイドル共産党宣言」。 
「アイドル共産党宣言」と言いつつ共産主義的では全く無く、マルクス以前のフーリエやサン・シモンの性善説に基づく空想社会主義に近いし、引用も比喩も無いことから見て、共産党宣言でマルクスが何を語ったのか、おそらく濱野は知らないし、興味も無いのであろう。
因みにこの号の裏表紙広告は「経済と国家 宇野経済学を通して『資本論』を21世紀にどう生かすか」。
講師は向坂逸郎と宇野弘蔵の弟子である鎌倉孝夫と元外務官僚の佐藤優、講義2時間×3回で金弐万円也。 全ての講義が終了するまでに2年間と言うディアゴスティーニ商法。これに食い付く読者層に向けたアイキャッチとしての「共産党宣言」と考えれば得心が行く。
労農派の末裔が日本資本主義発達史講座みたいな事を始める21世紀に我々は生きている。

運営側による中間搾取をなるべくゼロに近付けた、搾取されないアイドルグループを実現したいとのことであるが、堅気ではない既得権益受益層との利害の対立も想定しているように見えないし、それらと向き合うことなく、摺り合わせる努力も無しに実行に移してしまおうとする厄介さはナロードニキ運動に通ずる。

結局のところインテリが主導する "上からの革命" であり、そうした地に足の着かない運動が繰り返してきた失敗の歴史からは何も学んでいないように見える。
濱野が痛い目に遭うだけなら未だ自業自得で済むが、巻き込まれた女の子たちの人生への落とし前はどう付ける心算なのであろうか。



「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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