特集が「アイドルを守れ!」と言う事で購入。 図書館で済ませようかとも思ったが、買わないで貶すのもセコいなと思った次第。
特集を読む前に記事をざっと斜め読みしたのだけれど、或る程度金も地位もあり、勉強はしなかったがとりあへず大学までは出た、意識の高さについては自負のある中高年向け雑誌であることはわかった。 あらゆる揉め事が「ひとごと」に終始し、当事者意識のカケラも無い。 この雑誌の読者層が我が国を破滅に導いてきたことは明らかであるのだけれど、それについても全く無反省。
この雑誌の立ち位置を象徴しているのが「舞の海氏の「排外発言」記事についての見解」と言う編集長による署名記事。
「最大の差別・排外行為は戦争という殺人行為です。 日清戦争、日露戦争、太平洋戦争などで、多くの日本人や外国人が昭和天皇のために亡くなりました。 それを正当化する集会そのものが排外的な意味を帯びています。」
濱野智史の「アイドル共産党宣言」。
「アイドル共産党宣言」と言いつつ共産主義的では全く無く、マルクス以前のフーリエやサン・シモンの性善説に基づく空想社会主義に近いし、引用も比喩も無いことから見て、共産党宣言でマルクスが何を語ったのか、おそらく濱野は知らないし、興味も無いのであろう。
因みにこの号の裏表紙広告は「経済と国家 宇野経済学を通して『資本論』を21世紀にどう生かすか」。
講師は向坂逸郎と宇野弘蔵の弟子である鎌倉孝夫と元外務官僚の佐藤優、講義2時間×3回で金弐万円也。 全ての講義が終了するまでに2年間と言うディアゴスティーニ商法。これに食い付く読者層に向けたアイキャッチとしての「共産党宣言」と考えれば得心が行く。
労農派の末裔が日本資本主義発達史講座みたいな事を始める21世紀に我々は生きている。
運営側による中間搾取をなるべくゼロに近付けた、搾取されないアイドルグループを実現したいとのことであるが、堅気ではない既得権益受益層との利害の対立も想定しているように見えないし、それらと向き合うことなく、摺り合わせる努力も無しに実行に移してしまおうとする厄介さはナロードニキ運動に通ずる。
結局のところインテリが主導する "上からの革命" であり、そうした地に足の着かない運動が繰り返してきた失敗の歴史からは何も学んでいないように見える。
濱野が痛い目に遭うだけなら未だ自業自得で済むが、巻き込まれた女の子たちの人生への落とし前はどう付ける心算なのであろうか。