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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


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酒田へ行きたい
ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2016-05-08 みっちりと四時間余 [長年日記]

_ SUNDAY GIRLS 2

謎の自動予約システムが発動し、金策もついたので観覧。
飯田橋と水道橋と神保町と九段の丁度真ん中と言うか、どこからも遠いと言うか、そんな西神田三丁目の試聴室 神保町が会場。
出演は星野みちる、小林清美、姫乃たま、Chicago Bass (大友真美 [ex.ブリッジ]、松村元太)、Pastel Pants (里本あすか a.k.a. asCa)、越智灯子、宗像明将、関東MUSIC 、青野りえ。 そして関美彦。

ばらばらで脈絡が無いようでいて、どこか筋の通った顔付け。
以下、順不同で散文的に。

Chicago Bassは「絵を描いていたり、スポーツ大好きだったりしてなかなかメンバーが揃わない」とかで2人での出演。
Bridgeが好きで、アルバムのみならず一曲だけ入っているトラットリアのコンピレーションなども探して買い、解散後のカジ、大橋、清水のものも買っていたのだけれど好みに合わず、それは大友真美の歌声が無い事も大いに影響していたと思うのだけれど、いつしか追いかけることも無くなってしまい、忘れかけたころにその大友真美の居るバンドに出くわした。

エフェクターを数珠繋ぎにした松村元太がギターの音色を決め、リズムマシンを操作して速さを決め、それで大友の合意を得てから(偶に再考を促したりもする)ギターを弾きはじめ、歌が乗っかっていく。
スタジオでのセッション遊びを覗き見ているような不思議な感覚。
大友真美の歌声は大友真美ならではの、甘く、可愛らしく、一寸舌足らずでありつつも凛としたものであった。

小林清美は手掛けているPeach sugar snowが病欠でプロデューサー本人のみ出演と言う変則的な形態。
Peach sugar snowが歌うはずだった曲と自作曲の弾き語り。
この弾き語りが実にどうもどうかしていて、打楽器的奏法で伴奏の域を超える音圧。
床を文字通り踏み鳴らすようにリズムをとり、手拍子を促す。
弾く人格と歌う人格がシンクロしつつも別々に存在しているかのような迫力。
歌う曲によって無垢な少女のようにも成熟した女性のようにも、「成る」と言うか「降りて来る」と言うか。
下手に関わると命を落としそうな、それでも悔いが残らなそうな、兎に角凄いものを見た。

Pastel Pantsはオケにシンセを被せるやり方で生っぽさを演出。 一人ユニットで自己完結できる分、エレクトリックリボン時代より悲壮感が薄いと言うか、大変そうだが楽しそうでもある感じ。

姫乃たまは殊更「地下アイドル」と言う看板を掲げたがる(そしてその割に「地下アイドル」と言う物の定義が曖昧だったり起源を知らなかったり)ところがあまり好きではなかったのだけれど、曲のつくりは面白く、オケも金より手間を掛けたタイプの分厚く複雑な音。
あまり合理的ではない作り込み方が、却って面白く感じられた。

何故か出てきた宗像明将とのデュエットは完全に弁当幕。 舞台の上を這うケーブルやシールドの類を踏み荒らして踊っていたのには、見ていて痛みすら感じた。 舞台の上に上がる者としての常識が欠如している。

歌い終えてから主催の関美彦を交えてのアイドル談義(ほぼ宗像のひとり語り)。
肉フェスで客の一部が暴れて官憲の介入が入った一件を日刊Spa!が面白おかしく取り上げた事について苦言を呈していたが、こんなのは今に始まった話でもなく、萬朝報の堂摺連糾弾キャンペーンの昔から無軌道な青少年と社会の木鐸さまとは相性が悪い。
この裏を取らずに感覚でモノを言ったり書いたりするところが私は嫌い(※ピカピカについて書くにあたり、事もあろうに虚言屋の綿井にだけインタビューして、裏を取らなかった件に関して、私は立腹している。) なのであるが、その軽さ故に読みやすく、受け入れられてもいるのだろう。

越智灯子は前座で出て来て(他の出演者も巻き込んでゴム飛びなどしつつ)三曲、中盤に関美彦のピアノ伴奏で一曲。
まぁ私は楽曲大賞系イベント全否定なので、この人とは考えが合わない事も多いのだけれど、やっている事は面白い。 大体に於いて、どうかしている。

久しぶりに見た星野みちるは、一寸ふくよかになったような気がしないでもないが、下顎が小さく、尖っているので割と痩せては見える。
ボソボソとヤマも落ちも無い話をするのだけれど、それが妙に可笑しい。 歌以外の全てが出鱈目な感じ。 この辺りは変わらない。

弾き語りは指がキーボード慣れしてしまっていて、弾くより押すに近いような音だったが、歌を引き立てるような弾き方にはなっていた。

驚いたのは振り付けのある曲でもっともらしく踊れている事で、勿論間違えないしきまり悪そうな顔もしない。
歌割りが有る部分と無い部分(無い部分の方が多い)でダンスの説得力に乖離が有り過ぎたのは過去の話で、今は全て自分で歌っている訳であり、歌っていさえすれば情念の籠った動きになる。

歌う事で評価され、評価されることで良い出会いもあり、良い曲良いスタッフに恵まれて良い歌が歌えている。
その「歌う事によって得られた幸せ」が、聴く者にも伝わる良いライブであった。

弾き語りと伴奏で4人のピアノを聴いたのだけれど、それぞれの個性が出ていた。
聴く者を圧伏せしめるかの様な小林清美、ピアノが蹴躓くと歌も蹴躓く越智灯子、ピアノが蹴躓いても歌は蹴躓かない星野みちる。 陰に陰にと回り込むような関美彦。

三時半に始まって終演が八時。 体感時間は「あっという間」ではあったが、みっちりと四時間余。
心地よい疲れとともに帰宅。



「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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