時間が無いので無理矢理撮影に入った。 前日は半袖でも汗ばむ様な陽気だったのに矢鱈と寒く、セーターと革ジャンで完全装備する羽目になった。
主役の男は右腰を包丁で刺されていることになっていたが、血だら真っ赤にするには血糊の量が足りなくなったため仲間うちの謎の男が血糊を造った。
普通は・・と言うか本物は豚の血に色々な物をまぜて造るのだが、そんな物は売っていないので、その色々な物だけで造ることになった。 材料は水、障子貼り用の糊、シャチハタの赤インク、トマトピューレ、食紅。 トマトピューレは種を、糊はダマを取るために茶漉しで漉しながら水で延ばして色調と粘度を調整していた。 これをペットボトルの頭をぶった切った奴の中でぐゅぐちゅまぜて、手をぐーぱーぐーぱーするとなかなかリアルなねちょねちょ加減になっていて面白かった。
裏方の気合いが乗ってくると、役者の演技にも気合いが入って目に見えて良くなってきて、この日撮ったのはラストシーンだけだったのだが、ここだけは別物の様な素晴らしい出来になった。
結局撮影は5時半迄かかり、家に帰り着いたのは夜中の一時半過ぎであった。 そして一日雨の中でつっ立っていた私は見事に風邪を引き、今も咳が止まらない。