なんかこう、受け入れがたい物を感じて色々考えてみたのだけれど、要するに「人物描写偏重、物語り軽視」って事なのだと思う。 それぞれ魅力のある登場人物は出てくるので、その人物像を細かく描写したくなるのは解るのだけれど、それに時間をかけすぎてストーリーが停滞してしまう為、リズムが無く物語のアラが出てしまう。
田舎のすし屋でネタの大きいのを自慢する所があるけれど、ネタとシャリのバランスが取れていてこそ寿司なのであって、口に入れて魚の味しかしないようなのはもはや寿司ではない。 昨日の落語もそんな感じだった。 一言で言ってしまうと「野暮」と言う事。
Sien,ne Festa Vol.13とどちらに行こうか迷ったのだけれど、落語を取った。 いつもは5時半開場、6時開演なのだけれど、今月は30分遅かった。 ・・・と言うことは30分短いって事になる。
客の入りはあまり良くない。 今回は色物大会で落語が三席と少なかった所為もあったかもしれない。
「壷算」 こらく
道具屋を混乱させて水瓶を騙り取る噺なのだけれど、緩急が無く、淡々と始まって淡々と終ってしまい、盛り上がらない。 時間以上に長く感じた。
色物大会 (司会/志らら)
志ら乃・こしら(「ノークレーム」)
らく太・こしら(ユニット名失念)
らく八・こしら(ユニット名失念)
らく太・志ら乃(ユニット名失念)
らく次・こしら(「スマイルピクセル」)
の5組で漫才やコント。 らく太・志ら乃組以外は全部こしらさんが絡んでいる。 「色物大会」の企画をぶち上げたものの、誰もやらないのでこしらさんが背負い込んだらしい。
組む相手によって掛け合いの漫才(切り返しが早くアドリブの利く志ら乃さん)、簡単なショートコントを束で(あがり性のらく八さん)、パントマイムの様に無言で動く相手とのやり取り(動きの大きならく太さん)、どこかおかしい「ピノキオ」の紙芝居に延々突っ込みを入れる(絵の旨いらく次さん)、とやり方を変えてくる。 それぞれちゃんと面白い所が凄い。
司会の志ららさんは「テレビ演芸」のやっさん的な役割。 好きな事をペラペラ喋って仕切らない。
「干物箱」らく次
中入りを挟んでらく次さんの「干物箱」。 これは良い出来だった。 この人は見るたびに上手くなっている様な気がする。
「漫才」からっぺたんず(志らら・こしら)
これもこしらさんが台本を書いている。 ・・・と言っても決まっている台詞はこしらさんの分だけで、打ち合わせ嫌いの志ららさんが適当に突っ込みを入れるようになっている。 「たけし+きよし」より「たけし+高田」の方が面白いように、このコンビも突っ込みの間とキレの悪さでこしらさんの面白さをスポイルしているように思った。
「明烏」志らく
先代の文楽師や先年亡くなった志ん朝師の得意ネタ。 両師匠の演出を取り入れつつ、志らく師ならではの爆笑篇に仕立てられている。 ゲラゲラ笑って帰ってきたのだけれど、しっとり聴きたい噺でもあり、複雑な後味。