メール予約が久々に当たったんで「片方買えりゃ御の字」と9時頃に秋葉原。 着いてみりゃ結構な人出で、辛うじて夜チケは確保。
入場順抽選は可もなく不可もなくで、何とか舞台中央の見える椅子席は確保。 開演を待つ。
いつものオーバーチュアで幕が開くと暗がりの舞台上には懐かしい衣装の懐かしい並び。 明転して曲が始まると当たり前だが知らない人たちが歌い踊っていて、暫し呆然。
歌って踊る素地が出来ている移籍組と新加入組とでは矢張り歴然とした差が有り、機械体操の域を出ない動きや情緒もへったくれも無い歌声が目や耳から入っては来たが、目立つところに移籍組が配置されていた所為か危惧していた程の不快感は無く。
今はまだ海のものとも山のものとも付かないが、兎に角前へ向かって進んでいく連中の成長過程を見る楽しみもAKB48に通う要因の一つであったことを今更乍ら思い出した。
源氏物語絵巻みたいだった駒谷が自力で綺麗になったり、チームK発足当初は嫌いで仕方が無かった小林の一挙手一投足が今は見に行く楽しみの一つになっていたり、細面の美少女だった高田が肝っ玉母さん化したり、図書委員でガンダーラと言う渾名の高校生みたいだった地味な戸島がすっかり垢抜けて過激な淑女になったり、我々は一年かそこらで如何に人間と言うものが変貌するかを目の当たりにしてきた訳で、まだ硬さの目立つチームBの面々がこれからどうなって行くのか、興味は尽きない。
夜は最悪に近い籤運。 柱で舞台中央は見えないが何とか椅子席を確保。 立ち見は腰に来るから座れるだけでも有り難い。
平嶋が良い。 これまでは生で出た一生懸命がどうも苦手だったのだけれど、実に伸び伸びと楽しそうに演っている所為か自然と目が行く。 メモには「平嶋、出血大サービス。」と書いてある。
全体的に振りがあやふやで歌も安定せず、それがフォーメーションにも響いていて実に危なっかしいが、チームKはある程度の経験を積んで練度を上げてからこのセットリストを演った訳で、初っ端からこれを曲がりなりにも演れているってのは凄いことなのかもしれない。
「Blue rose」は下手から渡邊、浦野、井上、米沢の並び順。 浦野の過剰な迄のロック姉ちゃんぶりに驚き呆れたが、歌の安定感は頭抜けていて、安心して聴いていられる。
渡邊は抑制の利いた動きで客席を睥睨。 良い仕事。
井上は一寸粗いが、堂々と大きく動いているのは良い。
「禁じられた2人」は大きすぎる大島優子の影を払拭する意図からか科白部分が全面的に書き換えられていて、これはこれで面白い。 良く出来ている。
「雨の動物園」は脇に廻った平嶋の存在感が主役格を喰っていて、一年数か月の間に積み上げたものを見せ付けていた。 平嶋は全体を通して実に良く、新規加入組のあやふやな動きや不安や焦燥が表情に出てしまっているのを目の当たりにして居たたまれなくなったら、とりあへず平嶋を見て気を取り直す作業を今日は何度も繰り返した。
「僕の打ち上げ花火」はオケのミックスが変わっていて、下駄の音が強調されすぎていて興醒め。 曲そのものは相変わらず楽しい。
「転がる石になれ」はどうしてもチームKと重ねて見てしまうので、どうしても没入できないと言うか醒めてしまうと言うか、いやはやなんとも。
「シンデレラは騙されない」はセンターに移籍組三人とコンサートで大島・秋元の代役を勤めた柏木・井上の二人。 これは納得の人選。 豪快な井上と緻密な柏木は好一対。
公演そのものの感想はこれくらいにして、以下私的月旦。
井上の量感のある健康的な二の腕が素晴らしい。 衣装がはだけても振りを間違えても、動揺を表に出さずに押していける強さは好印象。
ガンシップ並みの弾数で満遍なく目線を配る柏木。 客に自分だけを見ているような幻想を繰り返し抱かせる恐るべき15歳。 漂うメジャー感。
丸顔で垂れ目だが鼻の標高は高い松岡。 自己紹介に挟む子音強めの流暢な英語と和風な顔立ちのコントラスト。 体調不良で一部お休みだったが、憂い顔がまた絵になる。
年嵩の浦野がリーダー格で、その次の位置で取り仕切る渡邊が活き活きと良い仕事。 立場が人を作る好例で見も蓋も無いことを言っても洒落になる程度に収まっており、楽しく見ていられる。
ひみつのアッコちゃんのチカ子みたいなおかっぱ眼鏡の仲谷。 飛び道具然とした容姿乍ら振りや歌や喋りは一線級。