八月から「出ます」「出ます」と言われながら、蕎麦屋の出前みたいに先延ばしになっていたAKB48絡みの書籍が漸く発売になった。
原稿の締め切りから時間が経ってしまっているので、内容として旬を逃した感は有るが、AKB48から公に出る書籍に宇佐美が載るのも「あんな事」があったからにはこれで最後だと思われる事を考えれば、出るタイミングとしては絶妙と言えない事も無い。
客のインタビューの幾つかは蛇足なのではないかと思えなくも無いが、「人は良い事も悪い事もしながら生きている」と言う当たり前だが忘れがちな事を思い起こさせてくれたと言う点に於いては無価値ではなかった。
反面、メンバーや送り手へのインタビューは読み応えがあり、弁えた聞き手が突っ込むべきところは突っ込み、突っ込んではいけない柔らかい下腹部のようなところはさらりと流しつつ、触れるだけは触れていたり、良い匙加減。
嘘が嫌いで正直だが、素直ではなく、容易に心を開かない戸島の戸島っぷりなんかが実に良い。
インタビューのページの写真も私の嗜好には合っていて、星野の出っ歯丸出しでクシャクシャの笑顔とか、惡代官みたいな秋元康とか、積み重ねた苦労が滲み出た折井とか、宇佐美の胡座をかいたような鼻を真正面から撮ったものとか、さり気なく本質を抉り出した写真が多い。
流石に宇佐美の写真はもう少し斜めから撮ってやって欲しくはあるが、星野の写真は取り繕わないとっつき易さが上手く出ているように思う。
出来上がってみて驚いたのは、出した原稿が一字一句修正を喰らわずに載った事。
腹が太いのか、何も考えていないのか、そもそも読まなかったのか。
いくら探しても見つからなかった岩波文庫の「帝国主義」が、現物を貰ってきた日に思いも寄らぬ本棚の隅から出てきた。
まぁ、読んだら逆に纏まらなかったと思うし、参考にしようと思った部分を読み返したらイリイッチ・ウリャーノフ先生の偉そうな物言いがどうにも鼻についてものの五分で放り出してしまったので、見つからなくて却って良かったかもしれない。
本質的にボルセビッキとは肌が合わないらしい。
ともあれこの本、買いだと思う。
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