6月8日以来のチームB公演。 結論から先に書いてしまうが、実に楽しかった。
良い意味での余裕が出ていて、練れて来ている。
今日は休演が無く、オリジナルメンバー勢揃いだった事も、公演の質を高める要因になっていたと思う。
籤運良く、早めに呼ばれて二列目。 妙に狭いんだが贅沢は言えない。
贅沢は素敵だが敵だ。
影アナは浦野で、オカズ入れすぎの様な気もしないでもないが、上手く盛り上げてはいた。
オーバーチュアで幕が開いて、例の小芝居から。
今日は隅田川の花火大会だとか、夜公演と被ってるから行けないとか、客が流れちゃったらどうするんだとか、「花火」ネタは有りだが「花火大会」ネタは禁止とか、そんな話から円陣を組んで「初日」。
多田が面白い。 他のメンバーと視線を絡めて頷き合ったり、肩をポンと叩いてニッコリ笑ったり、脇腹を突付いてみたり。
MCでもボソッと鋭い突っ込みを入れたり、身も蓋も無い駄目出しをしたり。 まさに enfant terrible.
三曲終わってここ迄の曲紹介から自己紹介へ。
仲川の「2人乗りの自転車」の発音が"じでんしゃ"に戻っていた。 微笑ましい。
浦野はその場の思い付きでテキトーに喋っているようでいて、客を弄りながら上手く盛り上げて纏める。
早乙女はネタを仕込んで来つつも、客と上手く絡めずに尻すぼみで終ってしまう。
それでも以前のように話の途中でその話の受けが悪い事に気付いて絶望的な表情になって話を終らせていた頃に較べれば、長足の進歩ではある。
話の筋そのものは通っているので、ネタ帳をつけて研究すると良いのではないかと思う。
早乙女のこのもどかしさも、嫌いではない。
「天使のしっぽ」は多田に目が行き勝ちなのだけれど、今日は近い事もあって仲谷を見ていた。
派手さは無いが動きが大きくて綺麗なのに気付く。
髪で顔の輪郭を小さく囲っているのだけれど、激しく動いて髪が乱れた時に見える横顔も良い。
ブーツの紐が解けていてハラハラしたが、何事も無く終了
「パジャマドライブ」では、平嶋と渡辺は夏パジャマでサンダルなのに、仲川だけ冬パジャマ(コートは無し)でバスケットシューズ。 間違いなのか狙いなのか。
脇を固める仲川と平嶋は、前髪を留める兎のピンと、髪を縛る白いポンポン付きのゴムがお揃い。 この辺りの細かい小道具を探して見るのも楽しい。
「純情主義」は研究生を観察しようと思っていたのだけれど、片山が凄すぎて片山ばかり見ていた。
相変わらず生歌率は低いのだけれど、これだけ激しい動きなら仕方が無い。
片山は大きく激しく深く動いて、それでいて表情にはゆとりがあり、歌もしっかり歌っている。
激しく動くと流石に歌声が揺らぐ瞬間があり、その一刹那だけ生歌と歌入りオケが聴き分けられる(逆に言うと、聞き耳を立ててみても殆ど判らない)。
「てもでもの涙」は柏木と佐伯の動きの質の違いが面白い。
釣り竿に例えると、胴調子で身体全体をしならせくねらせる柏木と、先調子で手先のニュアンスで表現する佐伯。
時折目を細める柏木と、瞬きもせず目を見開く佐伯。
「鏡の中のジャンヌ・ダルク」 浦野のアイパッチが廃止されていた。
菊地を囲む四人が実に良い動き。 特に浦野の足首のスナップで左右に飛ぶ動きが美しい。
流石、伊達や酔狂で長く演って無い。 亀の甲より(略)
私の座った位置は浦野が正面に来る事が多い、所謂「LFL席」(※ Lets fall in Love の略、TPD用語)で、危うく恋に落ちそうになったが、なんとか徳俵で堪えた。
曲の後の間繋ぎMCでは、宝くじで三億円当たったらどうするかと言うお題から株式投資の話になり、元本割れについて優等生の早乙女が説明している横で
「カブって食べ物の蕪?」
と菊地が呟いたのを田名部が暴露。
小林とはまた別趣のイカレっぷりが面白い。
「命の使い道」では、妙に月蝕踊りが上手いのが居て、誰かと思ったら仲川。
こう言うのは不得手だと思っていたので驚く。
「キスして損しちゃった」まで終って、間繋ぎMC。
話の流れで「TPOが大事なんだよ」と平嶋。
「そもそもTPOって何だ?」って事になり、振られた平嶋。 Tは「時と場合」、Pは「ピーポー」、Oは「オーシャン」と答えつつ引き攣り笑い。
Time, Placeまでは出たがOが出ない所に
「OはOccasionだよ、でもOccasionの意味は判らない」
と浦野。
上手くオチが付いた。
アンコール前の研究生コーナーでは、今日も藤本が落とし込みプレイ。 大家を血祭りに。
横に居た指原は「沙羅・・・恐ろしい子!」と白目を剥いていた。(←多少脚色)
アンコールでは佐伯だけ靴が違う。 さては浦野に燃やされたか・・・と思ったら、レッスン用の靴を間違えて履いて出たらしい。
佐伯は右ふくらはぎと左膝にテーピング。 動きにも表情にも出さないのが凄い。
仲谷は注意して観ていると、地味に良い動き。
MCでも地味に良いフォロー。 本人がもう少し前に出てくれると良いのだけれど・・・。
最悪の籤運で、最終順に沈む。 それでも何とかお立ち台の一角を確保。
舞台中央が丁度見えない位置だが、立ち見で人の頭の間から見るよりは精神衛生上良い。
一時期はお立ち台も派手に踊るバカが多くて辟易したものだが、客が薄くなった分治安は良くなった。
舞台中央が見えないので、上手下手の柱外を中心に観覧。
中心にと言うか、そこしか見えない。
おやつ公演も良い意味での「余裕」が有って、比較的振り付けの自由度が高い曲では、ちょっかいを出し合ったり、じゃれ合ったり。
それでいて客に狎れる事は無く、公演の質そのものは高く保たれている。
マチネで観た仲川が予想外にちゃんとしていたので、おやつ公演では仲川を中心に観覧。
仲川のような、脳味噌まで筋肉で出来た色黒の体育会系女子と言うのはどうも良い思い出が無く、これまで余り視界に入れて来なかったのだけれど、意外に繊細な動きが出来ていて興味深く観た。
特に、身体をくねらせるような動きであったり、月蝕踊りのようなカクカクした動きであったり、比較的難易度が高くてコツが必要な動きが上手い。
指を開いたり閉じたりする動きも丁寧なのだけれど、強く握ったグーと、強く開いたパーの間で力強く動く指が微笑ましい。
これで力を抜いて動けるようになれば、もっと良くなると思う。
今日一番の収穫は浦野。
力の入れ方抜き方が絶妙で、腕を捻りながら指を開いたり閉じたりする動きの優美さに感歎。
「天使のしっぽ」は、柱で多田が殆ど見えないので、野口と仲谷を見る。
仲谷は注意してみていないと判りづらいのだけれど、大きく綺麗に動いている。 実に丁寧。
「パジャマドライブ」も柱で渡辺が殆ど見えないので、仲川と平嶋を注視。
仲川は難しい振り付けは綺麗なのだけれど、簡単な部分で流しすぎるように思う。
平嶋は高いレベルで均質。
「純情主義」は柱で研究生しか見えない。
自棄糞で研究生を観察。
過不足無い動きの鈴木、一寸喰った動きの中西。
バックダンサーとしては鈴木の方が正しいのだけれど、中西の攻めの姿勢も有りだと思う。
大家の半径1mだけは、曲と関係なく牧歌的な雰囲気。
アンコール明けの研究生コーナーでは、大家大爆発で、全部持っていってしまっていた。 ペンペン草も生えないくらいの焦土。
大江枠なのか小林枠なのか、物凄い逸材。
「てもでもの涙」も柱で見えない。
仕方が無いので柏木の影を見る。
手足が長く、コンパスみたいな体形の佐伯。
独特なグルーヴの動きが面白い。
手旗信号のようにカクカクしていつつも、手首から先の動きを柔らかくして綺麗に見せている。
「鏡の中のジャンヌ・ダルク」も柱で真ん中に居る菊地が見えない。
下手花道に来た早乙女の睨め付けるような流し目が良かった。
激しく走り回った後、そのまま間繋ぎMCに入る訳なのだけれど、呼吸の落ち着きが実に早い。
呼吸器・循環器まで含めて、体力が付いているのだと思う。
結局最後まで(当たり前だが)真ん中は見えないので、下手側に来た連中を中心に観覧。
まぁ兎に角浦野が良かった。
強く激しい動きから、弱く優しい動きまで、硬軟緩急自在に。
指先まで神経を通わせつつも、適度に力を抜いた動きの妙。