久し振りにキャンセル待ちではない当たりを引いて秋葉原。
抽選入場の籤運は悪過ぎない程度に悪く、立ち見二列目ながらそれなりに見渡せる位置を確保。
陰アナは仲川。 たどたどしいが、然程噛まずに読んでいた。
導入部の小芝居では暗くて見えなかったが、明転して一曲目が始まると、研究生に格下げになった早乙女が当たり前なのだが当たり前に居て驚く。
正面に来る事が多かったので、じっくり観てみたが、辛かった。
動きも丁寧だし、表情に現われた暗さは無いのだけれど、一生懸命が空回りしているような痛々しさが有って、楽しくは観られなかった。
これは早乙女本人だけでなく、ほぼ全篇出ているがユニットだけは外すと言う中途半端に中途半端な扱いをしている送り手側にも責任の一端がある。
佐伯の休演は仕方ないとしても、研究生の整理と早乙女の降格を一遍にやったので、ユニットコーナーの「てもでもの涙」と「鏡の中のジャンヌ・ダルク」に皺寄せが来てしまっていた。
ご機嫌ななめなマーメード
小道具のビーチボールを客席に落として狼狽える指原、目を見開いて驚く柏木。
指原も猫背で申し訳無さそうに踊っていた初期の頃からすると、姿勢も動きも格段に良くなっていた。
しかし、トチった時のバツの悪そうな表情が私は好きだ。
天使のしっぽ
野口の動きが面白い。
理詰めで尻尾を操っている。 これが見納めになるとは・・・。
パジャマドライブ
仲川は自分のペースで踊っているが、平嶋と渡辺の動きは微妙に同期している。
渡辺は踊ると何かが降りてくるような感じ。 細い割に勁い動き。
平嶋は、独り者でも孫を持ったような気分にさせる。
純情主義
かつて井上が居た位置に仁藤。
ボローニャソーセージの有ったところに鶏の笹身を持ってきたよう感じで、一寸バランスが悪い。
ここに仁藤を嵌め込む意味が判らない。
仁藤が下手とかそう言う事ではなく、任に合ったパートを割り振られない不幸。
バックダンサーで石田、瓜屋、小原、中塚、野中、そして早乙女。
片山の歌は、歌オケ無しで聴きたかった。
てもでもの涙
佐伯パートは仲谷。
この曲に限らず、突発的に穴が開くと仲谷にお鉢が廻る事が多く、「神様、仏様、仲谷様」と言うか「仲谷、仲谷、雨、仲谷。」と言うか、よくやったと思う。
仲谷の凄いのは、曲によってまるで別の人のように見える事で、この曲を仲谷がやる事を聞いてはいたのだけれど、実際出てきたら暫く誰だか判らなかった。
然し乍ら、この曲に関しては如何せん準備期間が短く、完全に消化するには到らなかったように思う。 それでも決めるべきところはきっちり決めており、次の公演が間近に迫っている事を考えれば上出来。
鏡の中のジャンヌ・ダルク
早乙女パートに小原。
振り付けは覚えられたようだが、目まぐるしく変わるフォーメーションは把握し切れなかったようで、時折固まったり目が泳いだり。
今日も田名部が良かった。 精確で綺麗な動き。
曲の後の間繋ぎでは、漸く後輩の出來た指原が嬉々として小原に駄目出し。 こうして人間としての小ささが出ても、指原だと厭な感じはしない。
何となく気まずい空気は有り、間繋ぎでも一歩引いた感じの早乙女。
浦野だけは自然に早乙女に話を振っていた。
全曲終了後、野口から千秋楽を以って辞める旨、挨拶。
多田が口を押さえて嗚咽を堪えつつ、大粒の涙を溢していたのと、掃け際に田名部が抱きついて泣いていたのが印象に残った。
Sturm und Drang な11ヶ月だったが、最後の最後で運営側のドタバタに振り回されてしまった感がある。
相変わらず楽しくはあったが、公演の質としては明らかに低下しており、千秋楽を前にした客席の盛り上がりをよそに、醒めた気分での観覧となった。
セットリストとしては確かに素晴らしかったが、それに寄りかかった運営、それに酔ってしまった客。
同一公演を11ヶ月引っ張った弊害も直視すべきだと、私は思う。