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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


ペトリあんてな
二面楚歌 断章
二面楚歌 グラビアレビュー備忘録
寒空文庫(仮)
写真日記二面楚歌 隠居所
petri's fotolife
酒田へ行きたい
ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2010-11-28 Slightly out of Focus [長年日記]

_ UTB 2010 12月号(4)

レビューが進まないのはメディア型アイドルになってしまった(そして大人の事情に「翻弄される側」から「翻弄する側」になってしまった)AKB48やSKE48に対する興味が薄れた為。
売れて来れば仕方の無い事ではあるが、手間と時間を掛けたグラビアも減ってしまった。
紙幅は裂かれているが、感興は催さない。

AKB48 48分の3かける2
仲良し二人組企画グラビア3本。 菊地あやか×仲川遥香、門嶋淳矢の撮影で3ページ18カット。 仁藤萌乃×倉持明日香、細居幸次郎の撮影で3ページ4カット。 指原莉乃×小森美果、細居幸次郎の撮影で3ページ20カット。

仲川と菊池の関係についての話は、初期チームBと最近の話のみで構成されていて、明るさの裏側にあるものがチラリと脳裏を掠める。

指原と小森の「看護婦と患者のコント」が面白い。 小森は何を考えているのか判り辛い謎の微笑に加えて、気心の知れた指原と絡ませる事で生きた表情も引き出されている。
看護婦姿の指原が妙に妖艶で、小森に脱脂綿を突きつけられて厭な顔をしているカットも面白いが、笑っても居ないし困っても居ないエアポケットに入ったような瞬間の表情に引き込まれる。
友人が指原莉乃を評して曰く「今、世界で一番面白い生き物」。
指原が狙ってやった事ではなく、その生態を含めた存在そのものが面白い。

高柳明音
前田敦子のドラマ撮影風景、小野恵令奈の写真集宣伝ページを挟んで高柳明音。 栗山秀作の撮影で4ページ6カット。
制服(夏服)姿で線路端を走り、のんびりと私服で公園。
髪が長く、量も多い上にあしらい方が野暮ったいのだけれど、それを上手く誤魔化して撮ったカットは可愛らしく撮れている。
SKE48で面白いのは、高柳も含めて碧の黒髪を大事にしているメンバーが多いこと。
AKB48ではOGも含めて重いだの何だのと理由を付けて安易に染めてしまう(戸島花!!)連中が多い中、これは貴重。

AKB48 おひとりさま(佐藤すみれ)
小森美果、片山陽加に続いて佐藤すみれが登場。
カラーで1ページ1カット(撮影は古賀良郎)、モノクロ1ページでインタビュー。
携帯サイト連動企画なので、ワニブックスモバイルには更に詳しいインタビューが掲載されている。
カラーページには正面から撮ったカットが使われているのだけれど、顔のパーツが正面を向いているので、斜めから撮った方が映えるのではないかと思う。

赤沼夢羅
長野博文の撮影で2ページ2カット。
スタジオでじっくり撮っており、長野博文らしい光と色。
じっまり撮ってもかしこまった表情にならないのは流石。 1カット目が良い。

制服向上委員会
現代のグループアイドルはおニャン子クラブと比較して語られる事が多いが、客文化にしても送り手側の手法にしても制服向上委員会の影響下(もしくは「車輪の再発見」)にある事が多い。 AKB48がNHKの「日本の叙情歌」でやっていた唱歌のメドレーもそう。
客文化に与えた影響も多く、「PD」「とも〜みちゃん」の言いだしっぺや、「ケチャ」の命名者も制服向上委員会の流れの客。
閑話休題、9月から再始動したその制服向上委員会から5人。 2ページ6カット、撮影は荒木勇人。
担当ライターは村山義典。 流石に判っているだけあって要点を押さえつつ簡潔に。
メンバーは相変わらず変化球主体だが、それがこのグループの魅力でもある。

藤原令子
宮家和也の撮影で4ページ4カット。
4月号以来半年振りの登場。 前回は細居幸次郎の撮影で4ページ6カット。 未だ何者でも無い少女の素材そのものを撮ったグラビアだった訳だが、今回はこの仕事が決まってから担当マネージャーと合宿をして臨んでおり、それが吉と出てモデルとして仕事が出来ている。
カメラの前で上手く表情を作るのではなく、カメラの先に意識を持って行って、良い表情を引き出して貰えるようにしている。
カメラの前に素で立つというのは、簡単なようで難しい。 それが出来るようになりつつあるのを感じる4カット。

逢沢りな
普通の写真は見開きで一枚、コラージュが見開きで2枚、1ページで1枚。 これを7ページに詰め込んである。 撮影は何をやらせても水準以上の出来になる桑島智輝。
纏め方の上手さもさること乍ら、元の写真が良い。
私はコラージュのような小細工は嫌いなのだけれど、これは良く出来ている。

スマイレージ
7ページ6カット、撮影は楽満直城。
1ページ目と最後の見開きで集合、間に個別写真を挟む構成。
個別写真は都電荒川線の9000型車輌を借り切っての撮影。 絞りを開けて撮る事によってレトロ調車輌のわざとらしさを殺し、温かい色合いのみを生かしている。 背後に写り込んだメンバーの表情も、なんとなく判る程度になったボケも頃合い。
しかし最後の集合はいただけない。 一番奥の小川紗季だけアウトフォーカスに。
最近よく見られる「意図しないアウトフォーカス」については、項を改めて書く予定。

どのカットも似たような表情の前田憂佳は別として、あとの3人は表情を作る事に意識が行き過ぎている。 スマイレージについては、送り手側が型に填め過ぎているように思う。 それが無い おはガール メープル with スマイレージ での4人は、実に活き々々としている。

嗣永桃子
最新写真集で使われなかったカットの中から5ページ6カット。 撮影は西條彰仁。
営業的には水着が無いと不味いのだろうけれど、1カット目と3カット目のピーカンの浜辺での水着は蛇足。 光が強すぎると流石に嗣永桃子でも表情は硬くなる。
それ以外は嗣永プロの完璧な仕事。 貶すところは無いし、西條彰仁の腕も冴えている。

矢島舞美
「女優六景」と題して趣向を凝らした6ページ6カット。 撮影は桑島智輝。
桑島智輝の引き出しの多さと、矢島舞美の対応力に感心。
3カット目の「泣く女」が秀逸。 美しい泣き顔。

真野恵里菜
7ページ6カット、うち見開き1ヶ所。 撮影は佐藤裕之。
表情も背景も画面構成も良いのだけれど、肝心なところでピントを外してしまっている。 佐藤裕之の美点と欠点が出ている。
真野恵里菜は、役者としての経験が写真を撮られる際にも生かされており、表情・仕草・立ち姿、どれも良い。 それだけにピントの甘いのが気になる。

_ SWITCH 25周年記念号

70ページ余を裂いてAKB48の特集。 かなり前に買ったのだけれど、歯応えが有り過ぎるので後回しにして来た。 年を越す前にやっつけたい。
いつもは掲載順に書いていくのだけれど、巻頭の荒木経惟は時間が掛かるので個別グラビアから。

大島優子
すべて見開きで10ページ5カット、撮影は藤原新也。
夜の渋谷の街を歩き乍ら撮っており、ストロボが焚かれたカットは、ブレた画面の中にその瞬間だけが浮き上がって切り取られている。 好きな手法ではないが、上手い。
AKB48のステージ衣装も、奇異な感じはせず、渋谷の街に溶け込んでいる。

藤原新也自身がAKB48のコンサートや劇場公演に足を運び、大島優子を観察した上で撮ったと言うだけのことはあって追い込み方が上手く、大島の役者としてのスイッチは入っているし、可愛いだけではない「したたかさ」と言うか、狂気を孕んだ本性と言うか、そんなもの迄写っている。
見ているだけで草臥れるような重い写真だが、その分見応えもある。 写真の並べ方、文章の流し込み方も上手い。

前田敦子
5ページ5カット、撮影は蜷川美花。
例によってピントもヘッタクレも無く、色と雰囲気で押す写真。 前田は全カット機嫌の良い「白前田」。 この秘密は対談の中で明らかになる。
写真の出来はさておき、撮るにあたっての姿勢は素晴らしい。 前田敦子の魅力についても、実に的確に捉えている。 この辺りの観察眼の鋭さと撮影に入る前の周到な準備が、被写体を良い気分で撮影に臨ませている。 それが仕事が引きもきらぬ理由の一つなのだと思う。
こう言う事が出来ていないから、中山雅文の写真はピントも露出も適切なのに退屈窮まる。 ピントや露出や構図は写真と言うものを構成する重要な要素ではあるのだけれど、技術的に上手ければ良い写真になるとは限らない。 以上、八つ当たり。

対談の中で語られる被写体との向き合い方は、方法論として正しい。 以下引用。

 だからやっぱりね、撮ってもらう、撮らせてもらうということって、本当に信頼関係だけで、「この人に撮られたら大丈夫」と思ってもらえるかどうかなんだよね。 それで九割方勝負が決まる。 「この人に撮られたら嫌だ」とか何か身構えたりすると絶対うまくいかないの。 だからよく「どうやってその色や世界観を出すんですか?」と訊かれるんだけど、人と人だから気持ちよく仕事ができて信頼してもらえればいいとしか本当に思ってないのね。

私の蜷川美花嫌いの理由の一つは、あの年を境に木村伊兵衛賞が死んだからであったのだけれど、考えてみればそれは受賞者ではなく、撰んだ側の責任なのであった。 それに今更ながら気付いて、瘧が落ちたと言うか何と言うか、これ迄のような強い嫌悪は無くなった。 そう言う意味に於いては、私にとっても転機となるグラビアとなった。

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# student grants (2010-12-22 05:08)

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「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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