客の出足が読めなかったので、早めに秋葉原。
9:30前に着いたが、ドン・キホーテ裏に何やら長蛇の列が出来ていて肝を冷やした。 幸いぱすぽ☆の列では無く、会場であるUDXシアター前に行ってみると、10人ほどの列が出来ていた。
その後、列は伸びたが、それでも最終的には7〜8割の入りで、予想より少ない。 UDXでも4階となると目当てで来ている以外の振りの客は捕まらない。 他のイベントと被っているにしても、先週の就航式の出足と較べると、矢張り寂しい。
CDの販促イベントなので、チケットを購入するとCDの引換券と入場整理券が貰える。 整理番号はランダムになっており、番号は可も無く不可も無く。 幸い視界の開けた席には座れた。
ishimaru soft 本店の閉店に伴い、販促イベントで使える新たな会場を探す中で借りてみたのだと思うが、余りライブイベントに適した箱ではなかった。 (これについては後述)
皮肉なもので、客の分母が大きくなり過ぎて、常打ちの箱を持っていながら活かしきれていないところもあれば、ちょっとしたイベントをやるにも箱探しで苦労するところも有る。
舞台は幕を閉めたまま使わず、舞台と客席一列目の間のスペースを使用。 幅は足りていたが奥行きが窮屈。 ぱすぽ☆は振り付けそのものもさることながら曲中の移動も激しいので、少々危うい場面も有ったが、上手く見切って紙一重でかわしていた。
一曲目の後に自己紹介を挟んだ以外はほぼぶっ続けで7曲。 「少女飛行」と「ウハエ!」はお披露目の時と較べると大分揃ってきた(もっともあの時は首から上しか見えなかったのだけれど)
手持ちマイクの組とインカムマイクの組とに分かれていたのだけれど、どちらも生きていたのには驚いた。 10チャンネルのワイヤレス。
森詩織は、マイクがほぼ等距離で口と正対している。 佐久間夏帆は見栄えを意識してか斜めに持っており、それなりに音は拾っていたが、歌要員としては森のように持った方が良いだろう。
「少女飛行」における、キャリーバッグを使った「コロコロダンス」の既視感は、すわ親治の「ネコダンス」だった。
2部も整理番号はまぁまぁ。 入場時に駆け出したり、椅子を跨いだりする行儀の悪いのも散見されたが、混乱らしい混乱も無く。 客席を含めた全体を見渡せる、1部と似たような位置の席を確保。
BGMは洋楽のポップスが掛かっていたが、途中からハードロックに変った。 より'らしい'選曲。
客は1部と同じく7〜8割の入り。 連日の濃厚な接客系イベントのさなかの接客度の薄いイベントと言う事で回避した向きも居たのかもしれないし、まだまだ客の総数が少ないのかもしれないが、2部の客足は思いの外伸びなかった。 その客席後方では、Pre-dia のお姉さま方が見学していたらしい。
前述の通り本来のステージと客席との間のスペースで演っている為、横幅は足りていても奥行きが窮屈。 フットライト代わりの照明を一列目の客席に取り付けたりもしていたが明るさは不十分で、蜜柑箱よりはましだったが、貧弱なステージではあった。 先日の就航式でも感じたが、一寸詰めが甘い。
高さ30cmくらいのパネルを並べるだけでも違っただろうと思うが、人員的にも予算的にも厳しかったのかもしれない。
ただこれはスタッフのやる気の欠如や怠惰から来るものではなく、単なるノウハウの不足なので、一つひとつイベントをこなして、それをきちんと総括して行けば、経験は良い形で蓄積されて行くと思う。 事実、昨日のイベント後に呈された客の苦言に関しては、ほぼ改善されていたし、スタッフ絡みで不快なことは皆無。
終演後にステージに残されたキャリーバッグは、気が付いたスタッフによってササッと片付けられていた。 裏方に緊張感の有る現場は、客を裏切らない。
1回目とはまた違ったセットリストで、「ウハエ!」から始まり「少女飛行」で終わる8曲。 新曲は漸く耳に馴染み始めた。
聴く度に味わいを増す佳曲。
一見ヘラヘラしているようで、その実ヘラヘラしている岩村捺未だが、ヘラヘラしてばかりはいられない歌ったり踊ったりする部分では、きっちりやるべき事をやっている。 それで居て気負いを感じさせないのが岩村の岩村たる所以。
地味が売りの槙田紗子は、振り付けの起点と終点がしっかりした楷書の動き。 地味であるが故に却って目を惹く。
上背のある藤本有紀美と安斉奈緒美。 大きく動こうと心がけている部分は共通しているが、それぞれの答えの出し方が違うので、較べて見る楽しみが有る。
これは可憐な動きの増井みおと奥仲麻琴についても、楷書の動きの槙田紗子と根岸愛についても言えるのだけれど、共通項が有るメンバーの微細なニュアンスの違いを見る楽しさが、ぱすぽ☆にはある。
藤本有紀美は、比較的地味な顔立ちなのだけれど、歌って踊ると何割か輝きを増す。
関節の可動範囲が大きい玉井杏奈は動きが実に滑らかで、中央に来て踊ると舞台がぱっと華やぐ。
佐久間夏帆は、巧い玉井が横に来ると粗も目立つが、ピンと伸びた指先まで神経が行き届いている。
佐久間の良さは、曲のさなかでも自分以外のメンバーの自己紹介の時間でも、その行動から垣間見られる心栄えの美しさ。 至らないなりに最善を尽くそうとするその振る舞いが胸を打つ。
新曲の振り付けの中でマイクを横に持つところがあって、その持ち方でもそれなりに音は拾えているのだけれど、見栄えに拘ってその持ち方を激しく動く部分に援用するとマイクと口との向きや距離が一定しないので、実際の歌唱よりスピーカーから出力される歌唱はより不安定に聴こえてしまう。(これは返しを聴いて確認した)
森詩織は振り付けがそうなっている部分以外では、口とマイクとを正対させて、ほぼ均一に距離も保っている。 だからどんなに激しく動いても、歌唱にぶれが無い。 この辺りゆるがせにしない所に、森の意識の高さが見て取れる。 初めの頃はあまり興味の無かった森だが、その仕事振りの確かさ故に、見蕩れてしまう事が増えた。
佐久間はマイクの持ち方にしても、ボソッと呟いた一言が波紋を呼んだり滑ったり、良かれと思ってやっている事が裏目に出たりもしているが、「より良く」と言う動機は感じられる。 勿論、動機は結果に対する免罪符にはならないのだけれど、一寸したヒントを与えれば良い方向に転がって行くのではないかと思う。
何時も乍らの手元不如意で、2部までの観覧。
貧弱な設備では有ったが、見応えの有る楽しいイベントであった。