11/2~11/6 まで、駒沢公園の中央広場(談山神社の十三重塔みたいなのの辺り)で開かれていた「東京ラーメンショー 2011」では、毎日 AeLL. が出るライブが開催されており、日替わりのゲストを招いていた。
「コラボレーションライブ」と銘打たれていたが、直接絡む訳ではなく、前半ゲスト後半 AeLL. と言う構成。
駒沢公園に於けるライブイベントは地政学的に不愉快事が起こりにくく、今回も大当たりであった。
田園都市線は遅れては困る時に遅れる事があり、また急行に乗ったまま二子玉川まで連れて行かれると戻るのに一と苦労なので早めに動いたが、駅から駒沢公園までの道がちんたら歩く民間人で渋滞していた事もあって、予定よりは遅くなってしまったがなんとか4時半過ぎには到着。
丁度ストリートダンスショーが佳境に入ったところ。 暫し眺めてから客の入れ替わりに合わせて着席。
大体に於いてこの種のイベントでは朝から築いた橋頭堡を血眼で死守する帝國陸軍見たようなのが佃煮にするくらいトグロを巻いている事が多いのだけれど、その種の御仁は多くなかったと見えて、思ったより見やすいところに座る事が出来た。
気が付くと上手の立ち見最前列に宇佐美友紀。
怪傑トロピカル丸
16:50頃、前座を務める 怪傑トロピカル丸 が登場。 歌って喋って歌って、約10分のオープニングアクト。
「どんなラーメンが食べたいか」とのお題での話で「チャーハンとか餃子とか、全部入ってるヤツ!」との発言に震撼。
そう言うのは明け方の飲み屋街の電信柱の根元辺りでよく見かけるが、あまり食欲の湧く代物ではない。 ちなみにかつて江古田にそれ専門の路上観察の会が有った。
閑話休題、オタンコナスなグループ名と言い、罰ゲームめいた振り付けと言い、まだ直接関わっていない筈なのに NICE GIRL プロジェクトに通ずる寺田臭。 尻の下がむず痒くなるドサ臭さ。
面相は水準に達しているだけに惜しい。
バニラビーンズ
ほぼ定刻に出囃子に乗ってバニラビーンズが登場。 「ニコラ」「エルスカディ」「ドクター、お願い」とオリジナルを3曲、「ベイビィ・ポータブル・ロック」「東京は夜の七時」とピチカート・ファイヴのカヴァーで2曲。
北欧の風に誘われたのか、四谷シモンの人形のような白人女児が割り箸を舐めながらトコトコと舞台袖へ。 上手袖の階段にちょこなんと腰掛けて、親が呼びに来るまで不思議そうに舞台を眺めていた。
「北欧の風にのってやってきた」とか、「清楚でイノセンスな女の子」とか、そんな文言が空虚に響いていた迷走期があったからこそ、今があるとも言えるのだけれど、最初期に食いついたものの長らくおあづけを食わされた身としては、矢張り長過ぎた回り道であったように思える。
バニラビーンズは、ほぼ完成の域に達した様式美。
歌が然程上手い訳でもなく、ヴォーグダンスを簡略化したような振り付けも暗示的で大人しいのだけれど、充分金の取れる見世物には成っている。
キノコ頭の人も平均以上の身長は有り且つ細いのだけれど、外ハネの人は更にその上を行く割り箸のような細さ。
この浮世離れしたユニットは、出来れば今日のように座って(さらに高望みをすれば一杯引っ掛けながら)眺めたい。
新しい「私服」にはまだラーメンの汁の染みは出来ていなかったが、これは単に出番の前に食べていなかったからで有るようだ。
AeLL.
焼けて褪せた感じの赤いTシャツ的なものにデニムのサロペット、腰にタオルを提げて揃いのスニーカー。
ざっかけない衣装でありつつ、細かく差異のある物なのは好感が持てる。
敢えて野暮ったい出で立ちなのは農作業を意識したからであるとの事で、そのあたり(シャツが赤いのも)はファンを下放して開墾する Khmer Rouge のような活動が入っているからなのだろう。
私は明るい未来全肯定の世界観と、イカ天期に流行ったビートパンクめいた曲調がどうにも堪え難く、このグループに深入りすることは無いであろうと思う。
arbeit と frei は必ずしも gleich で繋がらない(繋がらない事の方が多い)のであり、夢想的な原始共産制が自己矛盾に陥っていずれ崩壊する事は歴史が証明している。
そんな訳でいたたまれない数十分になるかと思っていたのだけれど、思わぬ拾い物があり、それで救われた。
このグループは知名度も人気も図抜けている篠崎愛を One of them として扱っているのだけれど、篠崎が下支えしているのは人気のみならず、寧ろパフォーマンスに於いてであった。
西リーダーはソツの無い動きで及第点は差し上げられるが、残りの二人はまだ覚束無い感じで、動き出しはまだ何とか成っているが、兎に角止められず、流れる。
篠崎愛は一人だけ出来ている事のレベルが違っていて、動きは柔らかで且つ素早く、動くべきところで動いて止めるべきところで止められている。
体形からすると F6F だが、運動性能は P-51D と言ったところ。
足元を見ると一人だけ爪先重心で、足首で細かくリズムを取るところなどは宇佐美友紀を思い起こさせた。
篠崎愛の名を冠して前面に押し出すと、敏いとうの様にオーナーと化してしまったり、内山田洋のように纏め役になってしまったり、麻生真美子のように突出してしまったりするのだけれど、そうしなかったことがプラスに働いて(裏方の動きを見ていると実に脳天気で、深くは考えていないのではないかと思うがそれはさておき)バランスの取れたグループになっているように感じた。
紅衛兵みたような無邪気な連中の馬鹿騒ぎに巻き込まれるのは御免蒙りたいのでワンマンにまでは行きたくないが、こうして傍観者で居られるイベントがあればまた足を運びたい。
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