会場の渋谷WWWは、スペイン坂の上と言うおよそ私のような人間には似つかわしく無い場所にあるライブハウス。 元は映画館だったとかで、客席は大きく3段に分かれていて圧縮が起きにくく、後方からでも非常に見やすい。
整理番号が良かったので前に行こうかとも思ったが、圧縮の危険性に鑑みて二段目中央付近へ。 極端な圧縮は起きなかったが、のんびり見るなら矢張り後方。
先頭入場で最前列に居た知り合いに話し掛けるふりをして3列目あたりに無理やり潜り込む女子二人組が目に付いたくらいで、醜悪な行動をする客は殆どおらず、昨今の殺伐を極めるアイドル現場の中では例外的に客の理性による平和が保たれている。
先に書いてしまうと、自己顕示のための「ジャンプ」「オーイングと称する奇声」「MIXと称する荒らし行為」「アンコール発動に関するヘゲモニーの取り合い」などは最初から最後まで見られず、(アンコールは拍手のテンポの切り替えの為に発せられ、統制棒もテンポを保つために振られ、巷間よく見られる悪目立したがる馬鹿が居なかった。)それでいてきっちり盛り上がってはいる奇跡。
暗転した中で流れるアメイジング・グレイス(曲名が思い出せず、採ったメモには「風に立つライオン」と書いてあった)から1969年のドラッグレースで口開け。 チョコミントフレーバータイムの私服。
中盤はシングルを時系列で並べる構成。
「迷走期」と呼ばれる2009年から2010年あたりにリリースされた LOVE&HATE や D&D は、久し振りに演ったとのこと。
どちらもリリース当時は「ナンダコリャ」と思ったものだが、今聴くとそんなに悪くは無い。 これは演る側にも聴く側にも心のゆとりが出来たからだと思う。
後半は新曲の私服に着替えて登場。 前半と後半では照明や演出を含めてガラリ変えてきていて、細かい知恵と工夫の積み重ねが感じられた。
恒例のオリジナルチロルチョコ撒き大会(投げられたチロルチョコが側頭部を直撃したり)、東京は夜の七時では天井からマンハッタンの戦勝記念パレードの如くヤケクソな量の紙吹雪が舞ったり5周年の祝祭感もありつつ、ここから先を見据えた未来志向の終演。
ライブ中叫んだ訳でもなく、朝から立ち食い蕎麦屋の親父くらいとしか口をきいていないのに、終わってみたら声が枯れていた。 心地よい疲れ。