川崎駅前のショッピングモール、ラゾーナ川崎の5階にある「プラザソル」にて、ヒロセプロジェクト・第14回公演『神様と過ごした10日間』を観覧。
舞台の上手と下手が、入り・捌けを立体的にする為に二段になっている他に大道具らしい大道具は無い簡素な舞台なのだけれど、音響と照明による情景描写が細かい。
電車が通り過ぎる場面でも、劇場の後方から前方に向けて電車の音が迫ってくる。
雪を降らせる場面では、BGMに硬質な音を入れ、照明の色見も夕映えの暖色から寒色に変えて温度変化を暗示して、最初のひとひらは紙で舞わせて印象付けおいてから器械で降らせる芸の細かさ。
何も置かない舞台を上手く利用して観客の想像力に訴える演出の妙。
キッズミュージカル経験者、ジュニアモデル、アイドルetc...種々雑多なキャストを組み合わせて廻しているのだけれど、使える(芝居の出来る)役者と客の呼べる役者と、それぞれにちゃんと見せ場がある。
ゲスト主役を客寄せパンダにせず、地味でも使える役者にはそれなりの見せ場を与える事で芝居としての厚みも増している。
芝居の巧拙、経験の多寡に関わらず「見せ場」があると言う事は、役者夫々にそれなりの負荷は掛かっているはずなのだけれど、芝居としてきちんと纏まっていて破綻が無い。
夭折した少女の「心残り」を10日間のモラトリアムで解消していくのを幹に、少女たちの対立と融和や成長が枝葉として描かれ、終幕ではストーリーの幹の部分に絞った展開。 枝葉については幸せな結末を暗示するに止めているのだけれど、台詞の無い群像劇にした端折り方がまた上手い。
山田渚は「オカルト研 部長」と言うほぼ宛て書きな役どころ。
おどろおどろしい芝居をすべきところではおどろおどろしく、ドスを効かせるべきところでは凄みのある科白、脇に廻るべきところではスッと色を消す。 舞台二度目にして早くも演出家として計算に入れられる役者に育っていた。
歌って踊る部分でも動きに貯めが利くようになっていて、メグリアイに戻っての岡崎みさととの対比も面白い事になりそう。
他に目に付いたところでは、生徒会長役の秋元美優果。 顧問の教師の忠実な僕の生徒会長が自意識に目覚めて葛藤し、変わっていくさまを巧みに表現していた。
秋元美優果は顔立ちとしては地味なのだけれど、演じる事で化けるタイプ。
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