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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


ペトリあんてな
二面楚歌 断章
二面楚歌 グラビアレビュー備忘録
寒空文庫(仮)
写真日記二面楚歌 隠居所
petri's fotolife
酒田へ行きたい
ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2013-11-04 「自信を持ったほうがかわいくなれる」 [長年日記]

_ UTB+ 2013 12月号

渡辺美優紀・吉田朱里
表紙と巻頭グラビア12ページ12カット、見開き2箇所。 撮影は桑島智輝。
大道具小道具持ち込みつつ、すべてスタジオでの撮影。
衣装は修道女風のもの(中に黒ビキニ)と光沢ビキニの上にフェザーコートを羽織ったのと2パターン。
造形美としては吉田朱里が明らかに勝っているのだけれど、訴求力では伍して来る渡辺美優紀。
意図してやっているのか、そうでないのか判然としない、すべての仕草と表情に隠された意味があるように思えてしまう蠱惑。
12ページ目の手の組み方に見る性格の違い。
吉田朱里は渡辺美優紀に引き出されてか良い表情。

川口春菜
来年のカレンダーからの7ページ9カット、撮影は佐藤裕之。
雑誌展開となるとどうしても水着中心になってしまうのだけれど、四季の移ろいを12カットで表現するのがカレンダーであり、勿論服を着たカットもきちんと撮られている。
13パターンの衣装のうち、浴衣の着付けが美しくないのは瑕だが、生地と柄・小物と髪のあしらいは良い。
7ページ目の、木漏れ日の中で佇む横顔が秀逸。

真野恵里菜
7ページ9カット、こちらも来年のカレンダーから。 撮影は先日出た写真集と同じく長野博文。
真野恵里菜は本人の魅力や仕事振りもさることながら、マネージャーの宰領、匙加減が上手い。 出し惜しみせず、安売りもせず。
植物や白い衣装を見ると長野の色なのだけれど、屋内のカットではあまり気にならない。
お仕事モードの表情ではありつつ、妙なポーズ指定はしていないので紋切り型にはなっておらず、上手く撮って貰えている。

森川葵
6ページ8カット、撮影は桑島智輝。
衣装は3パターンだが髪は明らかにウィッグなので何かと思ったら、主演映画の為に丸めたとのこと。
写真展のギャラリートークで安達祐実が桑島智輝を「何でも撮れちゃう」と評していたが、このグラビアがまさにそれで「こんな感じで」を具現化したような8カット。
3・4ページ目が面白い。 路上であったり屋上であったりスタジオであったり、光の状態が異なるところで撮った4カットの色調を揃えて組んである。 巧いのだけれど技術偏重ではなく、一枚々々が写真として見られるものになっている。

木崎ゆりあ
6ページ8カット、撮影は門嶋淳矢。
木崎と言えば「丸顔」なのであるが、それを殺しすぎずに映える角度を捜して撮った8カット。
安易に髪で隠すのではなく、顔の両脇に垂らすことで印象を操作し、首の傾げ方や撮影する角度で更に修正。
俯き気味に振り向いた最後のカットが良い。

岡田奈々
6ページ9カット、撮影は山口勝巳。
「かくあるべし」強めな頑なさを逆手に取ったようなパッケージ撮り。 人となりは全く感じられないが、造形美は余すところなく。
撮られ慣れていないこともあってか、口の開き方に多少の差異があるくらいで表情の種類は皆無と言ってよいくらいの退屈さなのだけれど、美しくはある。
ブツ撮りとしては満点で、ポートレートとしては落第。 但し、それはモデルの側の引き出しの無さ、頑なさに起因するもの。
カメラと臆せず向き合えているのは良いが、凝り固まりすぎるのは考え物。

西野七瀬
6ページ7カット、撮影はMARCO
私は禁忌としてきつく躾けられた世代なので、屋外撮影分の引きのカットで見られる「串刺し」(※背景の縦の線が被写体の身体を貫くこと。首の辺りを横切るのも「首切り」として避けられてきた)は許容しがたいが、寄ったカットはよく撮れている。
引いたカットは「串刺し」だけでなく、構図の切り方そのものが甘く、被写体を真ん中に寄せすぎていて詰まらない上に、他のカットと組みにくい。
西野七海の「食えない感じ」は、よく出ている。

柏木ひなた
6ページ11カット、撮影は桑島智輝。
文化系・体育会系とりまぜて衣装3パターン、カメラの前に素で立てていて、求められた表情も作れる強さ。

下野由貴
指原莉乃企画のHKT48グラビア連載、6ページ7カット。 うち見開き1箇所で、ここに指原莉乃。 撮影は桑島智輝。
HKT48の恵まれているところは、さまざまなメンバーに光を当てようとしてくれているところ。 それぞれをきちんと見てきている指原の差配なので、安心して見ていられる。
今でこそ売れっ子の指原であるが、初めは猫背で引き攣り笑顔の冴えない研究生だった。 下積みの苦労も、売れたからこその苦労も知っているから出来るアドバイスもある。 「自信を持ったほうがかわいくなれる」はけだし至言。

衣装は古典的メイド服と部屋着の2パターン。 二人で並んだカットは部屋着なので、指原が上手く逃げた格好。
下野は奥二重なので、光の強弱で表情が大きく変わる。 強すぎず弱すぎず、頃合を見計らったライティングで歳相応の可愛らしさを引き出している。

岸野里香
5ページ7カット、撮影はHIROKAZU
体格の良さを美しさに昇華すべく、水着とボディコンシャスなワンピース。 結果は兎も角、狙いは良い。
直接的な見せ方はせず、歳相応の色気と可愛らしさを引き出そうとする営為。
真正面から撮らないと言う事は、まぁそう言う事なのであろう。

鈴木友菜
写真集からのアザーカットで6ページ8カット、見開き1箇所。 撮影は唐木貴央。
流石に撮られなれてはいるが、自分を見せることには慣れておらず、表情も単調で面白みは薄い。
私には欠伸の出る8カットだが、このモデルが好きな層にはこれで良いのだろう。

Juice=Juice
6ページ9カット、撮影は熊谷貫。
事務所側の要求であろう「顔見世グラビア」にも応えつつ、メンバーそれぞれの生きた表情も捉えた意欲的な6ページ。
コンセプトは統一しつつ銘々に合わせた衣装やロケーション、道具立てまで含めて味わいたい佳品。
しっかりお膳立てをした上で動かして撮っているので、どのカットも写真になっている。

矢島舞美
6ページ6カット、撮影は鈴木さゆり。
何と言うか、オーバー目に撮りすぎたコダクロームみたいな色。
グラビアがデジタルに切り替わった頃は色味の美しくないものも当たり前のようにあったが、漸く世の中変わってきた。
アウトフォーカスの演出がわざとらしいのはいただけないが、美しいものを美しく撮ろうとした姿勢は良い。

道重さゆみ
7ページ9カット、撮影は西田幸樹。
芸暦10年にして10冊目の写真集からのアザーカット。 歳相応の美しさ・可愛らしさを引き出すことに注力している。
光の操り方の巧さは流石に西田幸樹で、晴れた日の水辺で撮ったカットでも表情が死んでいない。
横からであったり後ろからであったり、射し込んでくる光で美しく陰翳を描き出した佳品。
9カット目が素晴らしい。 眼福。

総評
佐藤裕之祭りであった前号とは打って変わって多彩な顔触れ(桑島智輝多目ではありつつ)。
好き嫌いで言えば嫌いな写真もあるが、それは良否ではなく好悪の問題であり、写真表現の許容度の広さは貴重。
グラビア誌も増えたが、指名買いをして公開しないのは未だUTBとフォトテクニックデジタルの2誌のみ。

_ UTB 2013 4月号

鈴木愛理
表紙と巻頭グラビア。 高校3年間にしたグラビア仕事の集大成としての写真集からの10ページ12カット、撮影は西田幸樹。
もはやどんな衣装でも(それが面積の小さい水着でも)表情に揺らぎが無いのだけれど、西田幸樹の技術とセンスがそれを最大限生かしている。
光の射し込む位置、影の落ちる場所、陰翳の出方などを見ると、モデルの立ち位置、撮る距離などがcm単位、もしかするとmm単位で修正されている。 1カット目の遠景と近景の対比、背景の縦横の線、文字情報etc...さまざまなものの配置・配光。
「おやっ」と目を凝らすと、ピントの置きどころ、深さ、あらゆるものがさり気なく的確で、一枚の写真からさまざまな発見がある。

指原莉乃
7ページ9カット、撮影はサトウノブタカ。
白のタンクトップに股上の浅いデニムのパンツであったり、ニットのチューブトップであったり、どきどきして然るべき衣装であり、指原にも指原なりの凹凸はあるのだけれど、何故だか扇情的にはならないのが面白い。
顔の真ン中で胡坐をかいた鼻や、とんがらかした口すらも可愛らしく思える愛嬌もありつつ、反面同じそれが小憎らしくもある。 貧相と言えば貧相だが、絶望的な貧相でもなく、多少の肉は付いているのだけれどそれが色気に結びつくかと言えばそうとも言えず、生娘感はこれっぱかりも(これは余計な先入見に支配されてしまっているからでもあるが)無いが、薄汚れてもおらず、蠱惑的でもなく、Femme fatale 的要素も無いのだけれど、妙に気になる。
圧倒的に可愛い訳ではなく、「一寸可愛い」、しかしその「一寸」が圧倒的であるというなんだかよく分からないダークマターのような指原莉乃の魅力がもやもや漂う7ページ。

日南響子
6ページ8カット、撮影は長野博文。
なんとも捉えどころのない猫のようなモデルを上手く踊らせて撮る長野らしい6ページ。
まったく噛み合っていないインタビューから読み取れる「『変わっていると言われる』=変わっている私で居たい」は矯めようとするとおかしくなってしまう部分であり、このグラビアに於いては上手く生かしていた。

倉持明日香
6ページ8カット、撮影は門嶋淳矢。
道具立ても撮り方も凝っていて、モデルを生かす工夫は充分感じられるのだけれど、それが上がりに結びつかない難しさ。
これ見よがしなポーズや表情が撮る側の営為を台無しにし、上がりを詰まらなくしている。
前後のページと見比べると、ここだけポッカリと詰まらない。
佐藤夏希の件もそうだが、ナベプロに採られてしまったが故の不幸と言うものを矢張り感じざるを得ない。

山田奈々
6ページ7カット、撮影はHIROKAZU
肉感的なところは生かしつつ、ゆったりした部位は構図でぶった切って上手く隠している。
前半は身体の線の美しさを、後半は表情の深みを追った構成。
水着のカットは敢えて正面からは撮らないことで硬いなりに柔らかい表情を引き出している。
こうした「素材を生かす営為」が重要なのであるが、これを理解していない編集者や事務所関係者があまりにも多い。

太田夢莉
5ページ8カット、撮影はHIROKAZU
笑顔は一種類、立てば棒立ちなのだけれど、華がある。
現状では何が出来る訳でもないのだけれど、ニッコリ笑って突っ立っているだけでも絵になるし、カメラと気負い無く向き合えているのは良い。

森保まどか・指原莉乃
指原莉乃企画のHKT48グラビア連載、6ページ7カット、見開き1箇所(ここに指原)、撮影は桑島智輝。
指原も脚は細くて長くて白い方だと思うが、森保は輪を掛けて白くて長くて細い。 さながら守口大根。
足を前後に重ねて立つ、所謂「モデル立ち」をしても太股の間に隙間が出来る細さ。
5ページ目上段などは其れを生かして撮っている。

伊藤万理華
6ページ7カット、撮影は熊谷貫。
カメラと向き合う強い意志を持ったモデルと、モデルと真正面から向き合って撮る熊谷貫。
笑顔はぎこちなく、ポーズも硬いのだけれど、横からの風に髪を靡かせつカメラと向き合う5ページ目などを見ると、資質の確かさは感じられる。
今、この時期にしか撮れない9カット、眼福。

志田未来
6ベージ8カット、撮影は佐藤裕之。
屋内と屋外で4カットずつ。 屋内での光の廻し方、弱い光の使い方はいつもながら上手い。
役ではない自分でもカメラの前に立てる志田未来。 巧まず衒わず良い表情。

プー・ルイ(BiS)
5ページ4カット、撮影は栗山秀作。
栗山秀作が秘術を尽くして撮った東坡肉のような4カット。 三枚肉を使いつつ脂っ気は抜いてあって(毛糸で縛っているのもそのあたりの暗喩か)、インタビューもピリッとくる癖のある人柄を食べやすく調理。

植村あかり、宮本佳林、室田瑞希
いやまぁ酷いものである。 呆れた6ページ8カット、撮影は本田龍介。
宮本佳林さえ可愛く撮れていれば良いと言うことなのか、植村と室田の蔑ろにされ加減は目に余る、特に室田の扱いが酷い。
宮本を主役にして脇に廻すにしても、ある程度は脇を生かさないと主役も光らない。
5ページ目の芯の無いブレボケも見苦しい。 被写体のブレで動きを出したいのであればシャッタースピードを遅くする工夫をすれば良い。 極端な前ピンにしてボケさせる芸の無さ。
6ページ目も醜悪。 妙にポーズと表情が硬いと思ったら、スカートの裾を押さえさせ、ヒザを重ねてスカートの中が写らないようにしている。 写っちゃ困るならハナッからそうならない構図を切りゃ良いだけの話で、その程度のことも出来ない下衆で野暮で下手糞ってのはどうにも救いようが無い。
この稼業から足を洗った方が良いのではないか。

鞘師里保
6ページ6カット、撮影は栗山秀作。
現状で見掛けだけ大人っぽく撮ろうってのに無理があり、悪くは無いが良くも無い。

真野恵里菜
7ページ9カット、撮影はオノツトム。
ハロープロジェクトからの離脱に際して新機軸を打ち出そうということなのか、これまでとはガラリ変わった写真集を製作、そこからのアザーカットで構成。
イメージを変えたいのは分かるが、一寸無理をしすぎた感。
企画倒れでもやれるだけの事はやっておこうとする真野恵里菜の心意気のようなものが感じられるのが救い。


「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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