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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


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ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


1999-08-06 [長年日記]

_ ムーンライトながらの

指定券は予想通りとれず、品川発の臨時大垣行きに列ばなければならないと言うのにはずせない飲み会が入ってしまい、ようやく上野の焼肉屋を抜け出して品川に着いた頃には座れるかどうかギリギリの所迄列が伸びており、短そうな所を見繕ってとりあへすしっぽに付いた。

_ 荷物を

置いたまま便所や買い物に行かねばならないので、列の前後の人とはなるべく話をして打ち解けておく様にいているのだけれど、陽気な関西人大学生二人組はともかく標準語(下町訛りの巻舌でもなく、すました山の手言葉でもない日本語)を喋るメガネの男が異様にふれんどりぃで気味が悪く、トランプを出してきて「電車が来る迄コレで遊びましょう」等と言い出した。 気味が悪いので私はトランプには参加せず、連中から注文を取ってコンビニへ買い出しに出掛けたのだけれど、帰ってみると何やら自己紹介が始まっており、大学生二人は某宗教の池田大学(仮)の学生である事が判り、それを聞いたメガネは喜々として自分が、本を売ったり試験をしたり講談社にゲバルトをかけることで有名な宗教「バカボン教(仮)」の経理で働いている事を告白し、

「いやぁー、うれしーなぁー、こんな所で偶然会った人が信仰を持っているなんて(キラキラ)」

「あぁー、宗教の話がしたいなぁ、S会(私が子供の頃煎餅屋の集まりだと勘違いしていた宗教)の信仰対象ってのはさぁ、N上人な訳だよねぇ、空腹の科学(仮)はさぁ、もっと大本のなんと言うかね、元祖仏陀がほにゃららでほげほげぴゅー」

「君たちの所も大きいけどぼくたちの「ジャンボ鶴田教(仮)」は実質的にいま日本で一番大きいんじゃないかな(はなたかだか)」

「そういえば君たちのところは最近、二世・三世の人たちがどんどん辞めているみたいなんだけどどう思う?(ざまぁみろ)」

と無邪気に喧嘩を売り出した。 大学生くんの目が怒りに燃えているのに全く気が付かないメガネ男は更に話を続けようとしたので

「お互い正しいと思って信仰している訳で、そこでそう言う話を始めると必ず感情的に成って気まずくなりますから、ここは電車が来る迄仲良くトランプをしましょう」

と善人モードでとりなして電車が来るのを待・・・とうと思ったのだけれど、今度は私に

「哲学と宗教の違いってなんだと思います?」

と質問してきた。 面倒なので

「理性の部分で人生の規範を求めるのが哲学で、感情的な部分迄含めた物が宗教じゃないですか」

とか判った様な判ら無い様なことを言ってけむに巻こうとしたのだけれど、メガネは

「いやぁ、哲学に欠けている物はね、なんと言うか「信仰」・・・というか「神」の存在を語っていない事なんだよね。」

とトンデモ系の奇論をぶち始めてしまい、唖然としているうちに漸く電車がホームに入ってきた。

_ ドアが

開いてからとりあへず車両の中心へ向かう私と大学生二人を尻目に、メガネは入り口の脇の席に早々と腰を落ち着けてくれたので、ようやく訳の判らない話から逃げる事が出来た。 一つ空いた席には喇叭を担いだ工大生が座り、列車は動き出した。 車内の冷房は申し訳程度にすら効いていない蒸し風呂状態で途中の駅で横に並んだ「ながら」の広々とした座席や、如何にも冷房が効いて涼しそうな結露した窓や、きもち良さそうな寝顔を横目に見つつ眠りに就いた。



「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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