友人の葬式の後、仲間内の送る会とかの相談方々飯を食っていたらとんでもない時間になってしまい、あわてて快速に乗って都内某所に戻ってカメラバッグを出そう・・・と思ってドアの前でポケットに手を突っ込んで気がついた。
「鍵が無い」
喪服に着替えるときに自宅に忘れたらしい。 仕方が無いので一台だけ鞄に入れておいたフジカST605+オプトンテッサー50mm/f2.8を持ってりえくらぶひみつ基地へ。
開始直後にはなんとかたどり着く事が出来た。 コートと背広を脱いで、駅前で2本買ったネオパンプレスト400をケツのポッケに入れて、とりあへず撮影。 カメラ1台、レンズ1本だけで撮影会に来たのは初めてだ。 カメラに付けておいたのが、暗いながらも50mmで良かった。
今日のモデルは3回目の近藤留実ちゃんと、凄い(いろんな意味で)という噂は聞いていたけれど撮るのは初めてな金田千亜季ちゃんの2人。 留実ちゃんは季節もののサンタ衣装、千亜季ちゃんはチェックのパジャマ。
先ずは留実ちゃんから。 小道具として「もみの木」や「プレゼント」「白いプレゼント袋」などが用意されていて、それらをとっかえひっかえ持たせたり、頭の上に乗せたり、袋の中を覗いたり、厭な顔をしたり。 モデルのリアクションが良いので客のほうもいろいろなアイデアが湧いて来て、部屋の隅にあった発泡スチロールの白い角材を振り回してもらったり、いろいろな状況設定で撮っているうちに時間が経過して休憩室から出てきた千亜季ちゃんと交代。
この撮影会の良い所は、モデルさんにきちんと休憩時間を与えている事。 ひみつ基地の一角には隔離スペースが設けられていて、休憩時間はその中で休めるようになっている。 撮影していない時間をモデルと客のおしゃべりの時間として考えている向きには物足らないかも知れないけれど、撮ってる方が疲れるって事は撮られる側はもっと疲れるわけで、モデルさんをより良い状態で撮る事を考えると、こうしてきっちり休憩時間を取ってあった方が良いのは言うまでも無い。 撮影するときはなんだかんだで喋りながら進行する事になるのだから、これで喋り足りないと思うなら撮影会じゃないイベントに行ったほうが良い。
休憩時間をきちんと取るという発想は、自分も撮られる側である主催者がやっているからこそだと思う。 りえりえ嬢はぼーっとしているようでいながら、実にいろいろな所に気配り目配りをしている。 ライトの当たり具合、衣装の着崩れ、撮影者の位置取り、BGM、時計etc...。 今日は口数も少なく、疲れているように見受けられたのだけれど、2日連続で4部構成の撮影会を仕切ったらそりゃぁ疲れるだろう。
千亜季ちゃんは噂に違わずパワフルでした。 定番の「どうしてそんなにかわいいんですか?」ってのを振って見たら、「うーん、・・・常に『美』ってものを考えているからかな。」と眉間に皺を寄せながらストレートなお答え(苦笑)。 髪の毛はまっキンキンなんですが、手入れはちゃんと行き届いていて、顔の造作そのものが小さく可愛いこともあって、スレた印象は受けません。 お勉強が出来そうなタイプではありませんが、頭の回転が速くて、撮影者の指示にも素早く対応。 その対応の仕方が撮影者の意図と違っていても、笑って許せてしまう愛嬌も美点でしょう。 横合いから長めのレンズで撮っている人に気がつくと、そちらにも配慮していました。 「よく気がつくけど媚びない」、一言で言うとこんな感じ。
普通にしていればちゃんと可愛いのに敢えてヘンな顔をしてきたりするんですが、土台が良いから破綻しない。 バカ話をしながら撮ると、表情がコロコロ変わって面白いんですが、バカ話そのものも会話のキャッチボールが成立するかしないかギリギリの線の暴投とど真ん中にズバリ決まる良いストレートとが織り交ぜられていて、こちらも予測できない面白さでした。
留実ちゃんと千亜季ちゃんが交互に出てきたり、二人並んでサンタと子供のコントみたいな撮影をしたりしているうちに撮影会は終了。 それこそ「あっという間」でした。
冬で外だと日中でも寒い所為か、屋外でやる1・2部より、ひみつ基地でやる3・4部の方が予約が多いそうだ。 部屋の隅の梁の高さとか背景紙の幅とかに制限があって、正面に2人並んで撮って、あとの人はその後ろに並んで待つ感じにならざるを得ないし、蛍光灯と白熱灯のミックス光源になるのでカラーの人(特にデジカメ)の人はホワイトバランスやフィルターワークが大変だったり、撮影環境としては厳しいと思うのだけれど、それを補って余りある「居心地の良さ」が屋内分への集客に繋がっていると思う。 私も基本的には外で撮るのが好きなのだけれど、こういう場所なら中でも良い。
「帰ったらレポ書きます」といったら「辛口で御願いします(笑)」と言われたんだけど、差し当たって貶すような事は無かった。 敢えて不快だった事を挙げれば、つまらないおしゃべりを我慢して聞き流している周りの空気を読まずに延々続ける芸風の客がいてゲンナリしたのだけれど、そんなのは勿論主催者の責任ではない。
背中に太陽を向けて必死にレフ板をあてようとするスタッフには注意した方がよいのですかね?