万障繰り合わせて秋葉原。 チームA4th公演の千秋楽と言うより、チームA・チームK体制の終焉となる節目の公演。 柄にも無く手紙なんぞ書いてみたりしつつ、公演までの時間を潰す。
抽選開始前にスタッフ野寺氏より、入り口で星野みちる手書き(コピー)の「ガンバレ!」の歌詞に直筆サインを入れたものを配るので、公演のインターバルで流れる際に歌って欲しい旨おはなし。
抽選入場はそれなりに早く呼ばれて、最後列乍らド真ん中の席を確保。 俯瞰できる場所に座れるのは Beobachter 冥利に尽きる。
開演前の影アナは星野。 なんとなく上ずった声。
普段は楽屋出口あたりでやる開演前の気合入れを、今日は舞台上で。 幕の内側から漏れ聞こえる円陣の声に盛り上がる会場。
オーバーチュアで幕が開き、一曲目が始まると、泣き腫らしたような目をしていたり、泣き疲れて虚脱したような表情だったり、ぐっと堪えた表情だったりするのが其処此処に見られたが、振りや移動をトチらないのは流石。
あっと言う間に三曲終わって自己紹介。 成田の声の裏返るのを久し振りに見た。
さんざ泣いたあとの様な腫れぼったい目でいて、強気な姿勢を貫く峯岸。
自己紹介に限らず、「賢く見られたい」峯岸と「賢い」戸島の語り口の違いが面白い。 そんな峯岸は、ファンクラブサイトのブログの文章も生硬で面白い。 あまり書かないけれど。
「7時12分の初恋」は大江を見ていることが多かったが、今日は全体的に目配り。 最早お飾りではない前田の存在感。
増山の背が伸びたのを改めて感じたり、駒谷の灰汁の抜けた動きに、「クラスメイト」の頃の無駄なやる気に満ち溢れた動きからの確かな進歩を見て取ったりしつつも、ひとわたり観察をすると、矢張り大江に目が行き、大江のソロパートに耳を澄ませる事になる。
上ずった声ながら破綻しない大島に感心する「春が来るまで」。
星野は最初期には梃子摺っていた高低差の激しいメロディラインを上手く歌いこなしていた。
舞台中央から発せられる通称「殺人レーザー」の直撃を受けながら見る「純愛のクレッシェンド」。
ビブラートと言えなくも無い不規則振動を伴う峯岸の歌の脳髄に与える影響について考えつつ、歌とは反対に継ぎ目の無い滑らかな峯岸の動きに溜息をつく。
「Faint」は戸島。 ヨー・ヨーマのチェロのような、それ以上やると下品になってしまうぎりぎりまで溜めた動き。 強い意志をもった眼と気怠げな表情。
川崎が思ったよりきちんと踊れていて驚いたり。
「帰郷」は、「ああ ごめんね」あたりでクネクネと動く佐藤の動きに目が行ってしまう。
歌の後のMCでは、「わたしたち、隠し事はないよねぇ」と釘を刺しつつ、本を出した(共著というか、収録されたと言うか、そんな感じではあるが。)事を黙っていた篠田を問い詰める佐藤。 はぐらかす篠田。
「ダルイカンジ」では、眼鏡着用の峯岸が目を惹く。
峯岸にしろ、板野にしろ、ダンス大好きを公言し、言うだけの事は出来ているメンバーと、そうでないメンバーが並んで踊ってもバランスが崩れないのは、ダンスの素地が無かったメンバーがそれだけ進歩したと言うことなのだと思う。
隠し芸大会でパラパラをやっただけの事はある川崎の動きが美しい「Mr. Kissman」。
歌詞も曲調もべったべたな曲だが、そのべたべたぶりが楽しい。
秋元康の「軽さ」がよく出た曲の様に思うが、厭な軽さではない。
ライトノベルに救われる人生もある。
「君が教えてくれた」では、タンクトップ着用の小嶋の姿態に目が行ってしまうが、あからさまに其処ばかり見ている訳にも行かないので、あっちを見たり、こっちを見たり。
7月発売のシングルになる「BINGO!」。 プロモーションビデオは、人生の酸っぱさがあからさまに出た、映るメンバーとそうでないメンバーの扱いの差が物凄い代物だが、舞台上で歌って踊っているのを見ている分には楽しい曲。
歌の後の「大江先生のダンス講座」のところで、中西誕生日企画。 寄せ書きをした傘を贈っていたのだけれど、その意味を説明する大江の詩的な語り口が印象に残った。
19歳になっての抱負を訊かれた中西は「『淋しい』と言わない」
そう言えば昔は(・・・と言っても高々一年前だが)よくそんな事を口にしていた。 上京して最初の年越しを一緒にした折井は、これを聞いて何を感じただろうか。
メンバーが入れ替わって井戸端会議。 自由な上にも自由に喋る小嶋と、理知的な戸島と、理知的に見せようとする峯岸。
〆ようとする高橋の声が上擦って、表情も崩れかかるが、なんとか持ち直して「軽蔑していた愛情」。
歌い出せばいつもの高橋。
曲が終わって掃けて暗転。
アンコール一曲目「LOVE CHASE」。 蜘蛛の糸を投げる小嶋が素に戻った楽しそうな笑顔。
「制服が邪魔をする」は峯岸と中西を見比べて楽しむ。 中西の過剰なまでに思い切った動きの凄さ。
一旦掃けて暗転。
練習風景の映像に合わせて星野の「ガンバレ!」が流れると、客が歌い出す。
細かい節回しまで揃っていたのは、それだけ皆聴き込んでいるからなのだろう。
再び明転して「なんて素敵な世界に生まれたのだろう」。
そんなに好きな曲ではなかったのだけれど、今日は心に染みる。
この曲で一年有半にわたったのチームAの公演もお仕舞い
千秋楽の千秋楽と言う事で、一言づつ将来の目標など。
「なんだかんだで芸能界に生き続けるような芸能人になりたい」と語る佐藤。
何になりたいかは決まっていないが、毎日千疋屋のフルーツを食べられるようになりたい・・・と峯岸。 銀座千疋屋なのか、京橋千疋屋なのか、千疋屋総本店なのか、そこが問題だ。
「役者です」と強く言い切る戸島。 女優と言わない気概。
最後に星野が「ガンバレ!」を生で歌って、星野の送別企画へ移行。 既に増山に身長を越されたくらいで、突っ立っていると小さい星野だが、歌いだすと大きく見えてくる。
歌が終わって、一人づつ星野に餞の言葉を。
「二十歳になったら呑みに連れてってね。」と成田。
酒にまつわる話が禁止になって久しいが、星野の酒の話にはいつも夢があった。
「うん、わかった。」「庄屋ね。」と星野。
から揚げをポチャッと醤油に落として、撥ねた醤油がピチャッと耳に入った話の舞台も庄屋だったのだろうか。
星野との思い出に絡めつつも、小嶋はいつも通り自分の話を。
なにやら星野の耳元に囁く前田。 楽屋のトイレ掃除を請け負ってきた星野に、「トイレのことは任せて」か何か言っていたようだった。
それを受けて星野は例によってニヤニヤしながら「アイドルなんだから、そう言うことはしなくて良い。」「そう言うのは由加理ちゃんあたりにやらせれば良い。」
やさぐれる佐藤。
「私も卒業できるようにがんばる。」と川崎。
そう言えば、満を持して辞める様に感じるのは星野が初めてだ。
大島の番が廻ってくると、星野は「来た・・・」と言いながらニヤニヤ。 泣きそうになるたびに黙る大島。 泣き崩れずに言葉を繋いでいた。
他のメンバーの星野とのやり取りを遠くから眺めていた戸島は、自分の番が廻ってきても星野の傍に寄ろうとせず、頭脳の明晰さは保ったまま幼児退行して駄々を捏ねたり甘えたり泣いたり、揺れ動く気持ちを詳細に解説したり、「笑わせるつもりで喋ってるんじゃないのにお客さんが笑う」と更に泣いたり。
珍しくピーピー泣きじゃくる増山。 泣きじゃくりながらも上手の袖で見ている折井を横目で見つつ、折井の時はあまり泣かなかったので気まずいなんてのは、矢張り増山らしくあった。
星野は最期まで星野らしく、前歯を見せながらニヤニヤしていた。
普段は不得要領な事をボソボソしゃべって、言葉に詰まると「お願いします」で無理矢理纏めて誤魔化す星野が、最後だけあってしっかりした言葉でこれからに向けた抱負とこれまでの感謝の言葉を述べて〆。
「せーの!」で手繋ぎ挨拶。
いつものように手を振りながら左右に掃けて、いつも以上にいつものような終演。
最後の最後の星野の影アナを聞いて劇場を出た。
ニコニコ→前田、中西
ニヤニヤ→小嶋、星野
ニタニタ→川崎
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