表紙と巻頭グラビアにAKB48からの派生ユニットであるところのフレンチ・キス。
裏表紙には広告が入らず、松井玲奈。 何故こうなっているのかと言うと、後半31ページがブチ抜きでSKE48の特集になっているから。
フレンチ・キス
AKB48からナベプロ所属の3人のユニットが表紙+巻頭グラビア(目次ページ含む)19ページ46カット。 撮影は桑島智輝。
柔らかく光の廻る洋館の中での撮影。 表紙・目次から見開きまで集合、柏木由紀→高城亜樹→倉持明日香の順で4ページずつ個別、更に集合で4ページ。
相変わらずの判型の大きさを活かせない稚拙な割付けはいただけないが、写真そのものの質は高い。
柏木由紀はここのところグラビア仕事が多い割に当たりは少なかったが、今回は良い。
窓辺のソファに横たわったカット。 ウエストから腰骨に掛けての線が美しい。
光源を背後もしくは側面に持ってきたカットは概ね自然な表情を引き出せている。
高城亜樹は安産型の体形の粗を隠して上手く撮ってもらっている。
顔もパーツが周辺にあって且つ正面を向いた平板に見える作りなのだけれど、斜め下から見上げるように撮ることによって通った鼻筋を活かして立体感を出したり、可愛らしく・美しく見える角度が精査されている。 惜しむらくはこのカットの扱いが小さいこと。 編集者の目が節穴。
倉持明日香は、グラビア映えする量感の有る体形と見事な臍を堪能。 臍の有るカットはもっと多くても良い。 こちらも編集者の目が節穴。
相変わらず歯見せ笑顔が一本調子なのだけれど、笑わないカットは様々な表情に。 但しこれはカメラマンに様々な角度から撮って貰っているから。
これを見てどんな角度からどう見えているのか研究していただきたい。
集合の写真では、高城・倉持を前後に配して柏木を中心に置き、斜めから撮ったカットが秀逸。
ピントを柏木に置いてあって、前後はアウトフォーカス気味なのだけれど、ボケがなだらかで且つ軽く絞ってあるので人物の形は崩れておらず、柏木を際立たせつつ画として成立させている。 この当たりは矢張り巧い。
SDN48 (小原春香、佐藤由加里、芹菜、福山咲良)
松田和弘の撮影で5ページ6カット。うち見開き1箇所。
紋切り型の顔見世グラビア。 大人の色気を強調という事なのか、メイクが妙に濃いのと表情が下卑ているのが鼻に付く。 グループとしてそう売らなければならないのは判るが、その型に填めることでメンバーの個性を少なからず殺しているように思える。 特に小原はもう少し清楚な感じにしたほうが映える。 実に勿体無い。
佐藤由加里のもっともらしい顔は板に付いてきたし、小原春香を持ってきた人選は評価出来る。
足立梨花
中山雅文の撮影で7ページ20カット。
水着とキャミソールワンピースが半々。
小道具でオリンパスペンEEを持たせているのだけれど、持ち方がコンパクトデジカメのそれ。 時代を感じる。
眩しいと目を細め、目を無理に開けると口元が緊張して表情が悪くなる足立梨花を、上手く影を作って撮っている。
はじける笑顔の水着、微笑むワンピース。 この辺りの恣意が出過ぎるベタな絵作りが中山雅文の写真のつまらなさだと思うのだけれど、撮影技術そのものは高い。
スマイレージ
6ページ6カット。 撮影は佐藤友昭。
集合で始まり、個別で1ページずつ、再び集合とインタビュー。
個別写真は実に良く撮れていて、和田彩花が特に良い。
小川沙季に嵌っている知己の嵌りっぷりが怖いくらいで、少々理解に苦しんでいたのだけれど、それもむべなる哉と思える出来。
福田花音のショートカットもしっくり。
個別写真は一番映える角度を探りながら撮ったカメラマンの仕事振りが光る。 和田は心持ち上から、前田は心持ち下から、福田ははすかいに。
ももいろクローバー
6ページ34カット。 撮影は浅田直也。
制服衣装で屋内と屋外。
ももクロで若さを取り戻した知己がこのグループの特質として挙げていた「多幸感」が誌面からも伝わって来る。
動かして撮ったスタジオ撮影分からはステージの楽しさが伝わり、個別写真はそれぞれの個性が引き出されているし、背景の線を巧く使ってあって一枚の写真として見ても良い出来。 二人一組で撮ったカットも楽しい。
初期から見てきた客の中には複雑な感情もあろうとは思うが、ももいろクローバーの「今」を切り取ったグラビアとしては良い出来。 インタビューも上手く纏まっている。
アイドリング (朝日奈央、遠藤舞、大川藍、尾島知佳)
皆藤健治の撮影で6ページ。 1期から4期まで一人ずつ。
見開きの集合から1/4ページずつカキ氷を食べる個別写真、集合とインタビュー。
バラエティ路線を踏まえた構成で、楽しさを伝えることに特化しており、ある程度は成功している。
但し、テレビの番組を見ていない私のような人間には伝わりにくい。
この辺りがももいろクローバーのグラビアと似て異なる点だが、これはカメラマンの腕ではなく、グループの特質によるもの。
安倍麻美
諸井純二の撮影で4ページ7カット。 見開き1箇所。
「もしも、家にこんなかわいくてちょっとセクシーな彼女が待っていたら」と言うコンセプトのグラビア。
ピンクの花柄のビキニにピンクのパーカー、ピンクのキャミソールの2パターンの衣装で、見せ方としては上手く、編集者の意図したものが出来上がってはいる。 写真としての面白味は薄い。
茅原実里
細居幸次郎の撮影で5ページ6カット。 見開き1箇所。
最後のページの屋外撮影分は蛇足だが、それまでの屋内撮影分は良い出来。 2ページ目は若干ピントが薄いが、写真としては悪くない。
目次にはただ「茅原実里」とあるのだけれど、裏表紙のクレジットには「声優・茅原実里」とあり、このあたりが少々鼻に付く。
私の知っている声優稼業の連中は、少なくともこういう excuse は付けなかったように思う。
逢沢りな
日テレジェニック2010のお披露目イベントのページを挟んで逢沢りなが7ページ13カット。 撮影は長野博文。
似たような色調のグラビアは増えたが、矢張り originator の強みで一と味も二た味も違う。 全体の色調の統一感と安定性がまるで違う。
前半はセーラー服で屋外。 後半は屋内で青い三角ビキニとセパレート。
キャプションはフォントを小さく控えめに。 写真を活かそうとする意志が感じられる。
都電荒川線だと思われる電車の中や駅で撮ったカットはピントが薄めで色も淡く、場所の特定をしにくいが、それが却って想像力を掻き立てる。
松井珠理奈・向田茉夏
ここから31ページブチ抜きでSKE48絡みのグラビア。
先ずは同じ中学二年生で、それぞれのチームの中核を担う松井珠理奈と向田茉夏が松田和弘の撮影で6ページ14カット。
二人並んだ写真の合間に1ページずつ個別写真が挟まる構成。
松井珠理奈は早生まれなので、5月生まれの向田茉夏とは誕生日にして一年近く違うが、背格好も髪の長さもほぼ同じ。 ローファーの色が違うので、後姿でも辛うじて見分けが付く。
白昼の浜辺でのカットは少々眩しげでありつつも、靴と靴下を脱いで波打ち際で戯れたり、状況に必然性があるので気にならない。 はしゃぐ松井珠理奈は珍しく年相応のあどけなさが出ており、グラビア慣れしていない向田茉夏は撮られなれている松井珠理奈と一緒である安心感からか柔らかい表情。 相乗効果で良い写真になっている。
個別写真はさほど眩しくない場所で撮る配慮もあり、全体的に良い出来。
高柳明音
前半はあらかわ遊園で鳥と戯れ、後半は荒川土手でヒヨコの着ぐるみと格闘する6ページ16カット。 鳥をこよなく愛する高柳の個性を最大限に引き出している。 佐藤学の撮影。
炎天下の土手での着ぐるみは実に暑そうだが、暑そうなりに良い表情。 着ぐるみでのポーズも決まっているし、被りものを取ったあとの汗でべたついた髪も妙に色っぽく。
前半は笑った顔が単調なのだけれど、後半は暑さと疲れがプラスに働いて表情に変化が出ている。 怪我の功名ではあるが、味わい深いグラビア。
須田亜加里
3期生からの昇格組を代表して須田が3ページ4カット。 撮影は松田和弘。
単調な笑顔で、若干硬さもあるが、撮ってもらえる嬉しさのようなものは表情に滲み出ていて、一生懸命さは伝わる。 こなれて来れば表情の幅も拡がるだろう。
側頭部での二つ縛りなのだけれど、ゴムではなく髪で髪を縛っているのがプロの技。 面白い。
大矢真那
満を持して大矢真那のソログラビア。 こちらも松田和弘の撮影で5ページ4カット。
これまでの大矢のグラビアの中では(・・・と言ってもその絶対数が少ない訳だが)最高の出来。
切れ長で一重の目や染めない長い髪は、ぱっちり二重の目や明るい髪色が持て囃される現在に於いて百人が百人好むものではないと思うし、写真ではその良さが伝わりにくいのだけれど、長めのインタビューも含めて支持層の深さとその支持の強さの理由の幾許かは伝わるのではないだろうか。
二の腕の白さと細さ、軽く握った右手の拳から伝わる柔らかく強い意志。
松井玲奈
SKE48とは何か? とメンバー名鑑に1ページずつ使った後、松井玲奈が8ページ10カット、見開き2箇所。 撮影は佐藤学。
浴衣とキャミソールワンピース、日本家屋でしっとりと。
白地に紫と紺で柄の入った浴衣に桃色の帯。 耳の後ろ辺りでくるりと纏めた髪に横から簪。 目と口元で微妙な表情を出し、指先に感情を潜ませる。
味わい深いグラビアではあるが、矢張りここでも編集者の審美眼の無さで画竜点睛を欠く。
それでも写真の質そのものは高く、松井玲奈のグラビアの中では良いものの部類に入る。
総評
前号が惨憺たる出来だったので全く期待していなかったのだけれど、写真の取捨選択と割付のセンスの無さが露呈した部分はあったものの、予想以上の出来。 980円の価値は十二分に有る。
アップトゥ・ボーイの一人勝ち(部数ではなく質に於いて)だったA4判グラビア誌に、不定期刊とは言え質と価格で対抗し得るものがあるのは喜ばしい。
今秋発売予定と言う次号にも、大いに期待したい。
2190円と、最早雑誌とは呼べない法外とも言える価格なのだけれど、その分カメラマンもライターも腕っこきで写真もインタビューもコラムもハズレが無い。
こう言うのを見てしまうと、グラビアも読み物も粗製濫造を絵に描いた様な週刊プレイボーイを買うのが虚しくなってくる。
前田敦子
表紙と巻頭グラビア、付録の「ほぼ等身大ポスター」。 15ページ12カット、見開き1箇所、高倉文紀のコラムで1ページ使っている。 撮影はアライテツヤ。
デートグラビアながら、後半に手紙で振られると言う強引な構成。 前田の役者としての部分も引き出そうとしたこの試みは概ね成功。
前半は公園ではしゃぐ前田。 ノースリーブのティーシャツにデニムのホットパンツ。
中盤は押上の路地の奥のカフェでしっとりと。 白地に藍色で花が描かれた、鏑木清方が描くような涼しげな浴衣に藍色の帯を合わせ、帯締めの代わりに白いレースをあしらい、髪は前髪を残して頭頂部でお団子に。
終盤は勝鬨橋に佇み、佃島の高層マンション群を背にして大川端の遊歩道を彷徨う傷心の前田。 白地に黄色い花柄のマキシ丈ワンピース。
押上と佃では多少距離があるが、桜橋では興醒めだし、白髭橋より勝鬨橋の方が矢張り絵になる。
前半の機嫌の良い前田と、後半の傷心の前田の対比の妙。
川島海荷
アライテツヤの写真と高倉文紀のコラム。 14ページ12カット、見開き1箇所、コラムで1ページ。
淡い桃色に赤い花柄の浴衣、薄い空色の帯に梔子色の帯締、それにあわせた巾着と団扇。 アップにした髪には花飾りの付いた濃い桃色のリボンの簪。
若干後ろ重心で、立ち姿は子供っぽいが、横向きにしゃがんでこちらを向いたカットなどは大人びた感じ。
海辺での写真はネクタイの柄の入った白いティーシャツにデニムのミニ。 半そでのカーディガンを羽織って、足元は裸足。
最後は民宿の窓辺。 制服でくつろぐの図。
表情の種類が多く、撮る側も彫りの深さも活かしつつ立体的にさまざまな角度から。
真野恵里菜
アライテツヤの写真と高倉文紀のコラム。 12ページ11カット、見開き1箇所、コラムで1ページ。
濃い紫に蝶と花の柄が入った浴衣に薄紫の帯。 前髪を残して後頭部でゆるく纏めている。
マンションのベランダのような殺風景な場所だが、金魚鉢や水を張った大盥で涼感を出している。 椅子に腰掛けて膝下まで裾を軽く捲くり、盥に足をひたすカットにドキリ。
裸電球の提がる八百屋の店先で佇み、西瓜を持ち上げて微笑み、流しそうめんに興じ、静と動・笑顔と真顔をバランス良く配して見る者を飽きさせない構成。
肌の色は白いほうではないが、イメージとしての白さが良く出た良質のグラビア。
Pure girl (北原里英、大川藍、有村架純)
前半はアライテツヤの写真と高倉文紀のインタビューで3ページずつ。
白ホリのスタジオで制服を着せて撮っただけのように見えるが、良く見るとアップの写真は肩まで肌が写っている。 仕込が細かい。
単純な構成ながら、素材の持ち味は引き出されている。
Pure girl (菅谷梨沙子、未来穂香、和田彩花、重本ことり、望月リカ、川嶋小百合、土屋櫻子)
後半は様々なカメラマンが撮った写真に高倉文紀と青木孝司のインタビューが付いて1ページずつ。
スマイレージの和田の写真は昨日今日に撮ったものでは無さそうで、この辺りの悪戯も面白い。
力が入っていないようで居て、ハズレ写真が一枚も無いのに驚く。
Accident story Vol.6 (松井玲奈)
西條彰仁の連載グラビアに松井玲奈。 4ページ8カット。
文化1丁目あたりの北十間川北岸と都営住宅、旧曳舟中学校前の長谷尾花鳥店での撮影。 毎日の通勤路で撮られたグラビアを見るのは初めてなので、どうにも落ち着かない。
曇天と有って、光に弱い松井玲奈も柔らかい表情。 松井玲奈の意識の高さは、表情だけでなく物の持ち方や仕草にも出ている。 3ページ目が秀逸。
表情の種類は笑顔と真顔の2パターンしか無いが、この間のどちらともとれる表情を出せるようになれば、役者としての幅も拡がる。
とまれ、現時点では及第点以上の出来。
ほぼ在宅な松井玲奈ファンですが、いつもペトリさんの彼女のグラビアレポを読むと雑誌買いたくなります(笑)高城さんは確かに下半身ががっしりしてるんで、撮り方が難しいような気がします。
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