ツイッターで賛否あったようで、気になったのでとりあへず立ち読み確認したところ、予想以上に素晴らしい出来だったので購入。
広瀬アリス
表紙+巻頭グラビア8ページ7カット、見開き1箇所。 撮影は小林幹幸。
技術誌らしく撮影機材とデータが載っている。 全てペンタックス645Dでの撮影。 屋内は細かい花柄のワンピースを広角寄りのレンズで静的に、屋外はセーラー服を望遠寄りのレンズで動的に。
最後のページの、横を向いた身体からこちらへ振り向いたカットが素晴らしい。
小雨混じりの曇天であったようだが、その中で敢えて光を弱めにして撮ることによって、この夏特有の蒸し暑さ。 温度や湿度によるものだけではない、纏わり付くような重苦しく不快な暑さと、モデルの火照りや湿り気まで漂ってくるような写真。 そしてその中で見せる凛とした表情。
中判のピントの薄さは使い難さにも繋がるのだけれど、なだらかなボケと情報量の多さを生かせれば、それを写真としての魅力に転化出来る。 モデルとの遣り取りまで含めた小林幹幸の撮影技術の結実。
広瀬アリスはモデルとしても役者としても元気が取柄の一本調子な感じが好きではなかったのだけれど、このグラビアで印象が変わった。
笑顔こそ単調だが、それ以外の表情については諧調豊か。
この仕事でまた一と皮剥けたのではないかと思う。
有村架純
6ページ6カット、撮影は関純一。
大谷石の使い方や窓の形状から撮影場所は自由学園の明日館ではないかと思われるが、特徴的な調度品などは殆ど写し込まない、ロケ地に頼り過ぎない写真。 建て物や調度品より、仄暗く光の柔らかく廻る空間と醸し出す雰囲気を生かして撮っている。
アップと引きで半々。 顔と言うものが立体であることを解った上で映える角度を探りつつ撮っているので、アップでも引きでも有村架純の美点が違った切り口で現れている。
2ページ目の横顔が特に良い。
黒崎レイナ
6ページ7カット、撮影は長野博文。
長野らしい7カット。 2ページ目5ページ目の、画面内に何種類もの「緑」を配した色彩構成が上手い。
色彩遠近法を援用して奥行きを出した2ページ目が面白い。
フォトコンテスト雑感
選者の好みなのかもしれないが、余白が多く構図に厳密さが無い写真が多かった。
そうでないと商売として成り立たないのかも知れないが、ポートレート部門は特に月並み写真が多く、興醒め。
グラビアの質がここまで高いのに、投稿の質が低いと言うのがよく判らない。
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