現地に着いてみると思ったより少な目の集客。 あまりの寒さに近隣店舗で開演までビバークしていたり、物販ブースに居たりしたらしく、開演が迫るにつれ増えては行った。
昨年のアイドルフェス in BOATRACE TAMAGAWA vol.4(2012/5/6)で見た時のような、小田原攻めの遅参の侘びに白装束で出て来るような過剰な気負いは薄れていて(無い訳ではない)、楽しく観る事が出来た。
相変わらずのダンスインフレで、聴かせる曲でも振り付け過剰で視界が煩いのには閉口したが、バレヱの動きを取り入れた振り付けなどの激しいだけでは無い新機軸は面白かった。
ただ全般的に "こともなげ" ではあるのだけれど "さりげなく" は無く、ともすれば "これみよがし" になりがちな息苦しさはダンススクール由来である宿命(素人である親の目にも解る進歩を見せなければならない)から逃れられていない事を示しているように思った。
前述の通り聴かせる曲でも常にバックダンサーが激しく動いていて鬱陶しい。 見せる事にばかり力点が置かれていて、聴かせる事については等閑にされている。
被せオケだが生歌感は有り、激しく動いた割りに息も上がらないし回復も早い。 調子の悪いマイクを曲間に換えに行ったりするくらいで歌うたいとしての矜持もある。 しかしそれを送り手側が活かしきれていない。
「間が取れない」と言うか何と言うか、隙間を作る事を恐れて過剰に詰め込みたがる、緩急強弱をつけられない単調な演出。
終演後に知己とした立ち話の中で出たのは
・「一品料理ばかりでコースを作った感じ」
・「そして一と品多い」
・「でも、だいぶ食べやすくはなった」
・「東京に来ると言う事に漸く慣れてきたのではないか。」
・「山邊未夢を5人集めた感じ」
地方発のアイドルの魁たるSHIPを見てきた者として、東京で評価されている事になっていないと地元では評価され難いのも判るし、それ故に肩に力が入りがち(※SHIPはそうで無かったので念の爲)なのは仕方が無いとも思うのだけれど、送り手が見せ方について考えてやらないと彼女らが積み重ねた努力が無駄なものに成りかねない。
アイスクリームが適度に空気を含ませないと素材そのものの味わいだけでは重ったるくて美味しくならないように、エンターテインメントと言うものにも素材を生かすための緩急強弱は有って然るべき。
楽しさと画竜点睛を欠くもどかしさの綯い交ぜになった複雑な気分で帰宅。