愛乙女★DOLLの次のシングルの予約イベントを観る為に池袋サンシャインシティへ。
別件で居た表参道からバス移動にしたのが裏目に出て、開演5分前に現地着。 前のイベントが長引いたとかで物販は長蛇の列、尻尾に並んで漸く予約手続きを終えたのが18:20過ぎ。
私がこれまでに観た此処でのインストアイベントの中では一番の入りで、無料観覧の人々まで含めてだが店の入り口辺りまで埋まっていた。
そんな寿司詰めなので前から二列目辺りまで着席観覧のお願いが出され、、三列目で見えるか見えないか位の状態だったのが立ち見最前列になる幸甚。
曲間に自己紹介や告知を挟みながら「ビターチョコ・バレンタイン」「Paradise in the Summer」「キミはストーム」の3曲。
近かったと言うのもあるが、曲数以上の満足感。
六人乗ると擦れ違うだけでも一苦労の狭さなのだけれど、涼しい顔で歌って踊る。 大きく踊るので、上背の無いメンバーでも天井から吊り上げられたモニターをブン殴りそうになるのだけれど、見切ってかわしてぶつからない。
近く観て初めて判る事と言うのは矢張り有って、それは頑健そうに見える佐野友里子の足が意外に細い事であったり、芦崎麻耶の表情が振り付けの見せ場でギラつくことであったり、愛迫みゆの皮膚の薄さであったり、この距離で観た記憶の蓄積がイベントやライブ・コンサートの規模が大きくなってから「思い出補整」に効いて来るのだと思う。
愛迫みゆと岩崎夢生のリーダー交代は、双方に良い影響を齎していて、愛迫は負荷が軽くなったことで動きと表情がより凄艶になり、岩崎に移動した負荷は「遣り甲斐」となって生き生きとした表情を生み出していた。
終演後の握手会に「初めて来ました」設定で参加。 急いでいて握手券をそのへんに居た人にあげてしまったりなんだりで、ライブやイベントで観た事は有っても実際「握手会」と言うものは初めてなので、本当の本当ではないが真っ赤な嘘でもない。
印象に残ったのは岩崎の反応
「広いところではまた印象も変わるので、ライブにも来て下さい。」
こんな感じの、下町の商店街の八百屋の看板娘と言うか、保険屋の凄腕外交員と言うか、ざっかけない気安さや親しみやすさが愛乙女★DOLLのグループとしての魅力にもなっているのだと思う。
うっかり入れ込むと破産しかねないので、つかず離れず、適切な距離を保って行きたい。
東京タワー前の広場にて、ベイビーレイズと愛乙女★DOLLの出る公開収録を観覧。
吹き抜ける風は爽やかだが照りつける日差しは既に初夏のもので、暑くてどうなる事かと思ったら11時を廻った頃合にフットタウンの陰が出来て一気に涼しくなり、寺田寅彦の「涼味数題」を思い出したり。
この公開収録はラジオ日本の「J-POP1422」の為のもので、司会として番組を担当している声優の佐倉薫さんが登場。 紺のワンピースにヒールの有るストラップシューズ、腰までのおさげ髪と言う清楚な上にも清楚な出で立ち。
収録の趣旨が説明され、11時過ぎに愛乙女★DOLLがリハーサル。 4tトラックの仮設ステージなので、軽く踊っただけで盛大に揺れる。 ベイビーレイズもリハーサルをするが、同様に揺れてメンバーも動揺。
中継ではなく「収録」なのでタイムテーブルにはゆとりがあるらしく、予定時刻を少し過ぎて開演。 先ずはベイビーレイズ。
ベイビーレイズ
リハーサルから一人だけ明らかに顔色が悪く、目も虚ろだったのだけれど、そのまま始まった。
完全に生歌で、音程に少々怪しいところはありつつも、しっかり歌えてはいた。 音響がヘッポコだったので、オケの音がとれずにずれてしまったのかもしれない。
自己紹介曲の中程で「名乗り」が入るのだけれど、これが寺山風味なのが面白い。 そしてその曲が終わってから改めて自己紹介。
滑舌も発声もしっかりしており、きちんと育てられているのが見て取れる。 衣装にも金が掛かっていて、流石のメジャー感。
後半に入ると顔色の悪かったメンバーは他の連中が激しい動きの中で上気して行くなか、一と人だけますます青ざめて行き、振り付けもワンテンポ遅れ出したり蹴躓いたり実に危なっかしい。 それでも大過なく演り遂せたのには感心した。
曲は全く好みではないが、よく作り込まれている。
転換
舞台上にはモニタースピーカーが一台ずつ、スポットライトが3基ずつ。 モニタースピーカーは不安定ながらも何とか安定していたが、クランプで括りつけられたライトの留め螺子が経年劣化でバカになっており、揺れの激しさに負けてめげてしまい、転換中に螺子が生きているものに付け替えられていた。
交換したのは良いがコードの捌きが雑で、ライト本体のコードはぶる提がって伸びきってしまっていたり、通路部分にコードがぐちゃぐちゃに打っちゃらかしてあったり、機材の扱いが兎に角雑だったのには呆れた。
愛乙女★DOLL
厭な予感がする中、愛乙女★DOLLが登場。
のっけから「ビターチョコ・バレンタイン」で一見さんを掴みに行く戦略。 キラーチューンが有ると、こういう場では強い。
4tトラックの荷台なので1mからの高さがある割りに狭くて、しかも爪先下がりになっている上に揺れると言う碌でもない舞台。 やりにくいどころか恐怖すら感じたのではないかと思うが、いつも通りの手抜き・手加減なしで30分。
愛迫みゆと佐野友里子は床のグラグラするのにも或る程度は慣れているとは思うが、それにしても揺れすぎではあった。 さながら震度6を再現中の起震車。
左右にステップを踏む曲になると事態は更に悪化。 上下だけでなく、前後左右に大きな揺れ。 適当に噛ましてあるだけの車止めにタイヤが乗り上げて徐々に外れ始めて揺れは倍率ドン、さらに倍と言った趣。
揺れの激しさより、その状況にスタッフの誰一人として危機感を抱かないのが恐ろしかった。
音響も酷くて、モニタースピーカーの返りは弱いし、そもそも総じてスピーカーがヘッポコな上に高音を上げすぎていて音は割れ放題。 リハーサルをやっているときに音量チェックをしていないのでオケとマイクのバランスも悪く、これを録音して果たして放送に耐え得るのか心配になる程。
ハウリングも気付いてから収束までに掛かる時間は及第点なのだけれど、音が割れすぎていて気付くまでに時間が掛かる。
愛乙女★DOLLはこんな修羅場でも通常営業。 悪かったところは何一つ無いのだけれど、請け負ったイベント屋が粗悪に過ぎて全く集中できないまま時間だけが過ぎて行く。
司会の佐倉薫さんが入ってアトラクション的な間繋ぎをしてから後半2曲。 愛乙女★DOLLが提供するものは量的にも質的にも充実していたが、入る器が碌でもなかった。
ステージトラックと仮設ステージでは時間的にも資金的にもかなり違ってくるので、易きに流れたくなるのも判らないではないが、歌って踊る演者を呼ぶのであれば、それに合わせたお膳立てはして然るべき。 平坦な場所なら未だしも、傾斜地に水平を出せないステージトラックを停めると言う発想が私には理解できない。
イベントを仕切る業者が粗悪なのと、ラジオ日本がイベントを打ち慣れていないのと(そもそも無定見でもある)で、どちらも悪いのだと思うが、「複合汚染」と言わざるを得ない全く以てヒドいイベントであった。
町田発のアイドルグループであるミラクルマーチ主催。 近隣自治体を拠点に活動するアイドルを集めて、ゲストに lyrical school
新宿から小田急の快速急行に乗れば町田までは4駅。 気分的・感覚的距離は遠いが、時間的距離は意外に近い。
横浜線のほうの町田駅のビルの端にある吹き抜けのイベントスペースが会場。 音が篭りやすいと聞いていたが、さほど気にならず。 天井が奥に向けて高くなっていくので、篭って聞こえやすいのかもしれない。
会場に着いたら丁度 Pop Lip の出番が終わって、物販とアトラクションが始まったところ。
並行物販ではなく、それぞれの出番の合間に物販とアトラクションを挟むタイムテーブルらしい。
このあたりの精神的ゆとりが、物販で収益を上げられるか否かが切実な問題になってくる芸能事務所系アイドルとの違いで、のんびりして居心地の良いイベントになっていた。
暫く間があって lyrical school 。
lyrical school
ヒップホップは守備範囲外なので脇でボーっと見ていたら、PAブースに石田ショーキチ師がふらりと現れた。
思えば学校をよして住まいを引き払う際に売れるものは殆ど売り払って引越し資金にしたのだけれど、手元に残したCDのうちのいくつかの中に Spiral Life の 2nd と Scudelia Electro の1stがあった。
リリカルスクールの客層は、まだあまり売れていないアイドルの中では一寸毛色が違っている。 しかし変な荒れ方はせず、楽しく盛り上がっており、アトラクションも長蛇の列で理想的な状態。
T-Paletteの「功」の部分。
ミラクルマーチ
正月にイトーヨーカドー古淵店で見て以来なのだけれど、すくすく育っていて且つ擦れていない。 持ち歌も増え、自信を持って歌って踊れている。
あやね(ミラクルマーチ)
そのほかの写真はこのへんに。
写真を撮りながら、ミキサー卓を弄る石田ショーキチ師を観察。
メンバーの動きを見、音を聞きながらチョチョイ上げたり下げたり捻ったり。 シレッとやっているが、仕事が細かく的確で速い。 こっちを見ているだけでも愉しい。
そんな仕事ぶりをミラクルマーチのスタッフが真剣に見ながら時折写真も撮っていたのには感心した。
こう言う向上心のある人が居るところは信用できる。 盗める技術はどんどん盗んでいただきたい。
ストレスの溜まる現場の後だったので、気分的にも救われた、楽しいイベントだった。