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墨田ペトリ堂の身辺雜記 「二面楚歌」


ペトリあんてな
二面楚歌 断章
二面楚歌 グラビアレビュー備忘録
寒空文庫(仮)
写真日記二面楚歌 隠居所
petri's fotolife
酒田へ行きたい
ザ・インタビューズ

投票などするな!

投票行為は君たちの人間性の否定なのだ。
投票を依頼してくる連中など無視せよ。
連中は諸君の敵だ、連中は権力を握りたがっている。
すべての政治家はそれが共和派であれ、王党派であれ、
共産党であれ、われわれの敵だ、
投票用紙を破り捨てろ、
投票箱をぶち壊せ、
候補者だけでなく、選挙管理委員たちの頭もなぐり割れ。


1933年11月 CNT(Cofederacion Nacional del Trabajo)の声明より


2014-10-04 笑ってさえ居なければまあまあ良い [長年日記]

_ UTB 2014 10月号

宮脇咲良
表紙と巻頭グラビア15ページ14カット、撮影は佐藤裕之。
先に書いてしまうが、これまでの宮脇咲良の撮られる仕事の中では最高の出来。

髪のあしらいやポーズの一寸した変化。 例えば耳に挟むか否か、顎を上げるか下げるか程度の些細な事でもガラリ印象が変わる。
まじまじと見るのが憚られるような真っ直ぐな視線、可愛らしく・綺麗に見える角度の広さ。 表情の諧調も豊かなので、カメラマンに引き出しを開ける技倆さえあれば、宮脇咲良の良さは無限に引き出すことがで出来得るが、佐藤裕之は様々な角度から撮って映える表情を探りつつ、決め顔も押さえて要所で使っている。 屋内での光の廻し方も矢張り上手く、柔らかく当てていて表情に無駄な緊張が無い。

7ページ8ページ目の見開き。 このカットを見開きで使う編集者の審美眼も含めて良い。

渡辺美優紀
9ページ10カット、うち見開き1箇所。 撮影は佐藤裕之。
線香花火をするカットの照明の組み方が良い。 花火の光だけではなかなかどうしてこうは写らないのだけれど、補助光は最低限にして「花火をしている雰囲気」を上手く出している。
渡辺美優紀のように生娘感が希薄な場合、和室で撮るとどうしても淫靡になり過ぎるきらいがあるのだけれど、広い和室で襖を開け放つことによってその辺りを緩和。
カメラマンの人選もロケーションも、日の光が似合うタチではない渡辺美優紀の、色々ケチが付いてからの新規蒔き直しには適っている。

小嶋真子
10ページ9カット、見開き1箇所。 撮影はサトウ ノブタカ。
キャミソール的な部屋着、大き目のYシャツ、白い三角ビキニ、白セーラー。 スタジオを含めて白ずくめ。
下瞼が緊張気味で一寸眩しそうでは有るが凶相にはなっておらず、試みとしては面白いし、出来としても悪くない。

薮下柊
7ページ10カット、撮影は細居幸次郎。
笑顔は紋切り型で単調なのだけれど、作り笑いさえ封じれば味のある表情も見せる。
この先撮られ慣れていく過程で「世の中こんなもの」的なヒネかたをしないことを祈りたい。
2ページ目5ページ目はなかなか良いし、6ページ目は細居幸次郎が上手い。

大島涼花
7ページ10カット。 撮影は小池伸一郎。
構図の切り方が厳しく、前景背景の縦横線を画面に上手く嵌め込む小池伸一郎ならではの写真。 これが見たかった。
扱いは小さいが、2ページ目右下のカットなどは実に上手い。 人口構造物を使った画面構成の妙
大島涼花は表情が二種類しかないが、笑ってさえ居なければまあまあ良い。

深川麻衣
10ページ11カット、見開き1箇所。 撮影はサトウ ノブタカ。
水着グラビアはやらない乃木坂46であるが、その中でどう夏らしさを出すか(必然性のある薄着にするか・身体の線を出すか)についてはUTBのみならず各誌工夫しており、面白いものが見られるという点に於いては良い。
7ページ目8ページ目あたり、なんと言うか「人の悪い」撮り方。 カメラマンが常に善人である必要は無い。

小芝風花
5ページ8カット、撮影は長野博文。
白ずくめスタジオで部屋着、屋外で制服の二本立て。 高いレベルで均質。
4ページ目、斜め下から撮った横顔が良い。

小池里奈
4ページ7カット、撮影は桑島智輝。
9月に出る写真集からの先行掲載。 子役時代のイメージを保ちつつ成長した被写体を腰を据えて撮った経験が生きたと見えて、スルリ懐に入り間合いを詰めて撮ったカットが良い。

浜田彩加(キュピトロン)
2ページ2カット、撮影は國方大。
悪くは無いのだけれど、どうも煮え切らない2カット。 構図は良い。

栗原紗英×指原莉乃
6ページ8カット、見開き一箇所にのみ指原。 撮影は桑島智輝。
浴衣と部屋着、指原と並んだカットのみ袖なしブラウスにスカート。 露出度の高い部屋着は1カットにとどめて浴衣で押す構成、ロケ地は根津辺りだろうか。 指原絡みだとやりやすいのか、桑島智輝も珍しく攻めた撮り方。
3ページ目右上左下、4ページ目などが秀逸。 寄って撮ってもピントが適切で構図も厳しい、それでいて写真としては優しい。

石橋杏奈
最新写真集からの5ページ7カット、撮影は舞山秀一。
上手く出来ていてハズレカットも無く、洒落乙。
しかし私の見たい写真では無いと言うジレンマ。

真野恵里菜
最新写真集からの9ページ11カット、撮影は西田幸樹と佐藤裕之。 東京撮影分と山口撮影分をそれぞれ担当。
光の扱いの巧みさについては定評のあるカメラマンに、それを判った上で撮らせているので曇天・夕刻・屋内etc...柔らかく光を廻して真野恵里菜の表情を引き出している。
7ページ目の濡れ髪が顔に掛かったまま破顔一笑するカットが実に良い。
財政は厳しいが手元に置きたい写真集。

_ 落語立川流真打トライアル(第1回)(26.10.2日暮里サニーホール)

家元談志亡き後集団指導体制と言うか親睦会というか、そう言う形に移行して真打昇進の仕組みも様変わり。 試験でもなく、年功序列でもなく、密室での会議でもないやり方として、真打トライアルを開催して客の投票に委ねることにしたのこと。

ちなみに私の考えはこちらに

「批評と審査 (私の規範について)」

平日開催で18時開場の18時半開演、開演後の入場者には投票資格無し。 見てもいないで投票する手合いを避けるのは判るとして、18時半開演に間に合う勤め人なんざ何処にどれ位居ると思っているのであろうか。 5人が演り終えて時計を見たら20時20分。 仮に21時完全撤収だったとしても、あと40分ある。
何が始まるのかと思ったら開票作業。 志らく師と談四楼師が出てきて繋いでる間に開票して上位二人を発表。
やりたい事は判らないでも無いし、チケット販売の仕組みなどで買収が行われないように頭を使っているのは判ったが、準備や後片付けが大変な催しをケツの決まった箱でやるこっちゃ無いと私は思う。

客に審査を投げてしまうと言うのが、そもそも判らない。 世渡りで審査する・されるのは仕方ないとして、素人に審査を投げっちまうってのは立川流としてどうなの?と言うこと。 出ている五人は他の協会ならとっくのとうに真打になっていてもおかしくないし、立川流に於いて真打にしても問題ないと思うのだけれど、その判断を客に投げる了見の問題。
談四楼師は客を信用しているのだと思うが、私はまったくとは言わないまでも信用していない。 一番後ろから見ていれば、誰の客がどれくらい来てるかまで分かり、誰の客か分かれば、どんな所で笑うか見ていれば質も分かる。
この日は何時もの日暮里より、些かものの分からない客であった。

「近日息子」らく里
「目黒のさんま」談奈
「合コン老人会」らく朝
<中入り>
「時そば」→「かっぽれ」錦魚
「五人廻し」志らら

定時で逃げ出したが、着いたのは七時前。 丁度一人目が終わった所で入れた。 前座さんが申し訳なさそうに投票は出来ない旨説明。 それはそれで私は構わない。

談奈さんの「目黒のさんま」はマクラで探ってから噺に入り、トチリもなく、客は重かったが悪くはない出来。
らく朝さんは自作の新作。 途中ダレ場はあったが、前の方の年寄りには実によく受けていた。
錦魚さんはマクラもそこそこにスッと噺に入り、軽い噺をテンポよく聴かせてからかっぽれ。 足元が悪く踊りにくそうではあったが、やった意味はあったと思う。
志ららさんの「五人廻し」は上手くはないのだけれど賑やかに楽しく。

志ららさんとらく朝さんは手銭で見ようとは思わない芸(好悪の点に於いて)なのだけれど、真打に相応しくないとは思わない。 客が付くのも受けるのも理解は出来た。 

帰りがけ「そばが食いたくなった」「さんまが食べたくなった」と語る客も複数人見かけた。 わたしも一由そばまで歩いてゲソとマイタケ乗っけたのを手繰って帰宅。
会としての後味は良くなかったので口直し。



「按ずるに筆は一本也、箸は二本也。 衆寡敵せずと知るべし」
斎藤緑雨


文責:墨田ペトリ堂
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