副題は「奇跡の全員参加なるか!? 久しぶりの定期公演で新カバーもやるぞ!いよいよPIPRO体制やPIP-KYOTOも明らかに!?」公演。
第10回になる訳なのだけれど、そのあたり特に言及無し。
70の予約枠は早々に埋まったが、台風が接近しており、またロハと言う気楽さもあってか入りは薄め。
予約が熾烈さを増している割に実際の動員は頭打ち。 公演の構成が「訳知り向き」に成りつつある事も要因の一つになっているように思う。
公演時間に対する意識を持たせる為か、会議室の掛け時計は舞台よりに移動。 マイクスタンドの出し入れや入り捌けへの意識は高まってきている。
出囃子代わりにボビー・ウーマックを丸々一曲掛けて、「タンポポの決心」のイントロで入場。 無理やり付けた物ではなく、濱野が矯めなかった結果極端化して個性が際立ちつつある空井と森崎だが、森崎は歌っているときの表情もなんと言うかヴェロニカ・ベネットの様なソウルフルな感じになり、目を惹く。
続けて「RUN RUN RUN」を演って自己紹介。 平安時代の合戦作法のような冗長で退屈極まる「名乗り」をやらなくなったのは良いが、自分の名前をはっきり言わなくなっている。 外部のライブに出演するようになれば訳知りの客だけを相手にしている訳には行かぬ訳で、些か客に狎れてしまっているように思う。 これはメンバーのみならず濱野の進行についても言える。 初見の客もいる前提でやれていない。
Google+のハングアウトで京都と繋いでPIP京都の新メンバーのお披露目をしてみたり、LINE通話で体調不良欠席メンバーに話を聞いたり、この辺りは濱野ならではの趣向。
台風が来るので短めにと前置きはありつつ、ユニットコーナー。
福田、橋田、小室、工藤の「夢見る 15歳」は初披露の時より練れて来ており、小室が突出しなくなった。 ハロプロ楽曲は地味に難しいので技倆の差が目に見える形で出やすいのであるが、なんとか見られるものにはなっていた。
歌って踊る部分が平均化すると、橋田の放つ「華」が際立つ。
澤村・瑞野の「高嶺の林檎」は見るたびに良くなっている。 外見はそうでもないが、気質の点で似ているのだと思う。 綺麗な相似形。
北川・柚木の組と濱野・羽月の組で続けて「てもでもの涙」
北川は柚木からしっかり盗めているようで、立ち居振る舞いが目に見えて美しくなっている。
北川が良くなると、それに比例して柚木も良くなる。 柚木が上手くなるのではなく、相方の技倆に合わせて無意識に自制している部分が解き放たれる。
見せる北川・柚木に対して、聴かせる濱野・羽月。 体調不良が長引いていた羽月はまだ声に張りが無いように感じられたが、歌唱そのものは安定。
永瀬・空井・牛島・森崎の「向日葵」
永瀬は何をやっても破綻しない。 器用貧乏のきらいはあるが、公演の下支えにはなっている。
こちらも体調不良が長引いている空井。 声は出ていなかったが、それ以外はいつもの空井。 森崎はここでも振り切れていて面白い。
4本立っていたマイクスタンドを1本だけ片付けて豊栄・石川・小林の「ハート型ウィルス」。
隙だらけの豊栄と隙の無い石川。 どのユニットに突っ込まれても自分の色は変えず、ユニットの色も変えずにユニットに溶け込む小林。
濱野智史が私財を叩いて購入した怪しげな機械を使用して、ウソ発見企画。
緊張のあまり余計な汗をかいて機械にウソ判定され、「違うの!違うの!!」と取り乱す橋田が可愛らしい。
プロデューサー候補生として入った森崎、濱野、石川、牛島、栗城、羽月でその辺りの話をしたあと、「孤独なランナー」
私はSDN48には良い思い出が欠片も無いので興醒めしつつ見ていたが、客の受けは悪くなかった。
羽月・濱野・小林の「初恋サイダー」、小林・橋田の「Hello, Again 〜昔からある場所〜」で〆。
短いと言っても何時もと比較しての話で、内容としてはテンコ盛り。
お行儀の悪い振る舞いの高齢ピンチケ層、転調に付いて行けずに表拍で手拍子をし始める壊れたゼンマイ仕掛けのチンパンジーみたいなの。 気が滅入るような事が無いでもないが、概ね平和裏に。