副題は「PIPはメンバー数が多いのでまとめてやります!10月生誕メンバー(福田・小林・牛島)合同生誕祭!」公演。
台風は大きいだの強いだのさんざ脅かされたが、いつごろやって来やがるのだか判然としない。 開演時間を繰り上げて台風が来る前に終わらせると言うので足を運んでみた。
体調不良や交通機関の都合で濱野、御坂、高城、山下、瑞野、栗城がお休み。
出囃子から一曲目「夢見る 15歳」(福田、橋田、小室、工藤)。
津軽から米俵担いで出てきた工藤は背負っているものの重さが出ちゃっていてどうにも辛気臭いのだけれど、このあたりは私の好みに合わないだけで質としては悪くない。
橋田はフワリと柔らかい表情。 小室は緩急のつけ方に一日の長があり、上手く抜いているから重くならない。 福田は天然の妙と言うか、考えてやっている訳ではなさそうなところが上手く嵌っている。
「さくらんぼ」(羽月、小林)。 ガイドメロディ付きのオケをしれっと使ってしまう濱野の拘りの無さは、今は身軽さとして吉と出ているが、外部のライブやイベントに出る際には凶と出るのではないか。
歌える二人だけに破綻無く。 ただカラオケ大会然としていて面白みは薄い。
チョーカーやニーハイソックス(もしくはタイツ)など、小林のさり気無いお洒落に唸る。
「ハート型ウィルス」(澤村、石川、豊栄)は衣装も秋服に移行。
動きそのものは抑制されていて慎み深いのに妙な色気のある石川のハニートラップ感。 どこまでも健全な澤村との対比の妙。
華はあるが脇にも廻れる豊栄。
「向日葵」(永瀬・空井・牛島・森崎)、久し振りに生気のある空井。 歌も振りも上手いかと言えばそうでもないのだけれど、妙な味があり目を惹く。
森崎は例によってねっとりと。
「てもでもの涙」(北川、柚木)。 北川の衣装がカーテンから作ったようなサウンド・オブ・ミュージック感。
柚木は髪を下ろしていたが、良い手入れをしている。
全員出てきて「RUN RUN RUN」。 曲が終わって自己紹介、お題は「欠席しているメンバーの秘密」。
自己紹介では、自分の名前までははっきり言えていたが、お題の話に入ると当該メンバーを渾名でしか呼ばない。 「初見の客も居るかもしれない」と言う心配りは常に有って然るべきだと私は思う。
ここから福田、牛島、小林の生誕企画。 濱野が心境などを軽く聞きつつ、それぞれ一曲。
福田は「secret base 〜君がくれたもの〜」。 歌詞は飛んだが遣り切ったのは良かった。
牛島は「虫のバラード」、これが面白かった。 音符を細かくなぞるように歌う「つんく♂唱法」に似ているのだけれど母音が弱く子音で抜くところは坂本九に近い。 押し付けがましくなくて良い。
小林は「明日も」。 これは以前一度歌ったことがあったが、歌う予定だった曲が喉の調子が悪くで出来ないのでこちらにしたとのこと。 小林は音域に合わない曲でも歌いこなせるのだけれど、無理をしない曲の方が声の質に合っているように思う。
生誕の三人で「ハート型ウィルス」、全員で「竹内先輩」「タンポポの決心」で〆。
全体曲では後列の石川が良い。 前に出ていない時の方が凄みが増す。 騙されたい。
会議室で公演を打てるのも、あと半月余。 遅きに失した感は有るが、全体曲でのフォーメーションや振りはサマになって来た。
ディアスポラ(神学的ではなく今日的な意味に於ける)から暫くは出稽古と言うか巡業と言うか、オリジナル曲で他所のライブに出て、新規の客を掴んだ上で改めて定期公演をやるとの事。 暮れか、遅くとも年明けか。
ともあれ、この会議室とは「長いお別れ」。
濱野は会議室からの実質的追放を「エクソダス」と表現しているが、原因はPIPメンバーにあり、能動的ではなく受動的なものであるので(私の表現が正しいかはさておき)「エクソダス」と言うのは自らを美化しすぎなのではないかと思う。