神田神保町のすずらん通り東京堂の近くにある画廊での写真展。
なぎら健壱は路地やアーケードの薄暗がり。 立石仲見世あたりの猥雑な空気。
飯田鉄は70年代の浅草。 私が物心付くか付かないかくらいの時期。
桑原甲子雄や木村伊兵衛でお馴染みの建物などもありつつ。
石川栄二は薄く霞んだような、乾いた感じの色合い。
炎天下の散歩の陽炎のような、眩暈のような揺らぎ。
森田剛一はローキーで濃く。 同じ正方形フォーマット乍ら、石川栄二と好対照のみっしりとした、情報量の多いプリント。
中藤毅彦はコントラスト高めで粒感のあるカッチリしたプリント。
雪の残る上野駅不忍口ガード下から建て替え前の聚楽を撮った写真が懐かしかった。
鮮明であったりおぼろげであったり、晴れた夏の日のような眩しいような明るさから、路地裏の呑み屋の暗がりまで、様々な記憶を呼び起こし掘り起こすような写真展であった。