知己からお知らせがあり、二回目には間に合いそうだったのでソラマチへ。
業平橋側の入り口から延々エスカレーターを登っていくと、館内に入ってすぐのところがイベントスペースになっている。
青年期の懊悩を無軌道に騒ぎ散らかすことで解消しようとする傍迷惑な単細胞生物はおらず、青年期を通り過ぎつつある世代が中心の客層。
声を出してステロタイプな「アイドルファン的な振る舞い」をする向きは少なく、静かに激しく振りコピーをする人々が多数派。
callmeは振り付けの難易度が高く、早くて細かいので客も必死に喰らい付いていく。
振り付けの追従度は高いのだけれど、ハンドクラップは壊滅的にダメで、食ったり遅れたりするのが良く分からない。
アイドルの現場としては珍しく、非常に静かなのだけれど、静かなりの盛り上がりは感じられる。
昨今、煩く騒いでいるのが「盛り上がり」であるように捉えて客に強いるアイドルが多く、客もそれに馴れてしまっているが、愉しむことと騒ぐことは=ではない。
十人居れば気は十色、客の数だけ楽しみかたはあり、それが振りコピーをする方向に偏っているだけの話。
舞台上で起こっていることを味わいたい私のような者には、割と居心地の良い現場。
ユニット発足当初にあった「無理をして背伸びをするような息苦しさ」も無くなり、同い年で長い事同じ釜の飯を食って来た三人の風通しの良さから来る息の合った動き、難しい事をさも簡単であるかのように涼しい顔でやってのける技量と体力、激しい動きの中でもぶれなくなった歌唱力。
さまざまなものが上手く噛み合って来つつあり、安心して楽しく見ていられる。
「主役然とした主役、皮肉屋、よく食べる人」と言うゲッターロボ的なバランスの妙。
秋元瑠海がサモエドとかピレネー犬とかそういう感じの「大型犬の圧迫感のある愛嬌」を振りまいていて実に良い。
callmeは判り難い曲しかないので広く売れにくい、訳知り以外入り込みにくいのが難点ではあるのだけれど、判り難い曲だけで30分間を持たせているのは瞠目に値する。
これをどう商売にするのか、という点に於いての危惧は相変わらずあるが、見世物としては良く出来ている。
キラーチューン一曲あれば変わると思うのだが、今のところ変化球しか投げて来ていないのでそこは期待薄。
上手く商売にしてほしい。
土曜の夕方から四ツ谷のギャラリーニエプスへ。
入っては見たが、良否・好悪ではなく、苦手な写真。
見せたい、写真に残したい自分のある人のセルフポートレート。
見せたい何かが写真から押し寄せて来るような圧迫感に耐えられず、逃げ出してきた。
私が好きな写真は「引き込まれる」ようなものであるのだけれど、この写真展は一枚に盛り込まれたものが向こうから「押し寄せて」くる。
「見せたいものが有る」と「見て欲しいものがある」の、「刈り込む」と「盛り込む」の違い。
饒舌で、解釈する隙を与えず、受容させようとするような、そう言う写真が好きな人にはお勧めできる。