役者をやっているショートカット女子の鏡越しの、毎朝の寝癖の状態を記録したセルフポートレイトをコピー用紙にプリントしたものを、集積する感じで薄暗がりの部屋の隅に貼り付けてある。 これを遠巻きに眺める。
一枚一枚の写真ではなく、それを集めた寝ぐせの集合体に意味を持たせたような、現代美術寄りの展示手法。
部屋のもう一方の隅には、起き抜けのベッド、壁に寝姿が投影され、生活音が流されている。 寝室に忍び込んだかのような後ろ暗い気持ちと、覗き見のワクワク感。
寝起きのすっぴんの寝ぐせ写真でも成立するビジュアルレベルが有ってこその虚構と現実のはざま。
見世物としては上手く出来ていた。
1人のモデルを様々なカメラマン( Jelly、Koujiro KANAZAWA、ムーニーカネトシ、舞山 秀一)が撮った写真、イメージして作られたアクセサリー(saku×labo(サク))などを集めた写真展。
親しみやすい雰囲気と、侵すべからざる何かが同居したような勁さ。
撮る側が投影するもの、撮られる側が放つもの。 このバランスによって、撮る人ごとに、まるで違う人のようにすら見える。
小ぢんまりした会場に溢れるくらいの量。 売れるたびに作品差し替えだったようで、何度か来るべきだったが、後の祭り。
最上もが
表紙と巻頭7ページ24カット、撮影はいつもの桑島智輝。
染めた金髪とカラーコンタクト。 作り込みに作り込んであるのだけれど、手入れは行き届いていて破綻は無く、ここまでやられてしまうとこれはこれで良いような気もして来る。
モデルの撮られたい自分と媒介側の欲しい写真の折り合いを上手く付けて回を重ねたことによる信頼感の醸成が見て取れる。
桑島智輝の、仕事師としての側面。
鈴木友菜
巻末5ページ11カット、こちらも撮影は桑島智輝。
適度に凹凸が有って手足も長い。
役でも服でもなく自分を見せなければならない撮影には慣れていないと見えて表情が単調なのは瑕だが、桑島智輝が構図とポーズ指示で引き出した造形美で帳尻を合わせている。
足の長いのを長くきれいに見せると言うのもなかなかどうして難しいのだけれど、この辺りが巧い。