発売時間ちょっと前には窓口に列。 列と言ってもまだ数人だが、開場時間が迫ると加速度的に人は集まり、待合スペースには収まらずに階段あたりまで溢れていた。
少々遅延して開場。 影アナは別所佳恋。
要点は押さえつつ、ざっくりした上にもざっくりとした諸注意が笑いを誘う。
結局12分押しで開演。
杏斉ゆかの低めのポニーテールが似合っている。 道地文子は焦げ茶に近い落ち着いた髪色になり、濃紺の衣装に映える。
一人だけホットパンツに目の粗い網タイツの道地文子。 細い脚がより細く見える。
元から細い神咲くるみと絞ったまま安定している石川野乃花はウエストの出る形状の衣装。
ターンしたときの裾の広がり方、遠心力で振り回されたのが慣性でまとわりついてほぐれる動き。 細部まで考えられている。
肌の出ている面積がこれ迄のものより広いので寒いのではないかと思っていたが、逆に暑いらしく序盤から汗だく。
表情には出ないが杏斉ゆかの顔色が尋常ではなく、発汗が激しいのはいつものことながら流石におかしい・・・と思ったら、MCで裏に捌けたまま暫く戻って来ず、戻ってきたら戻ってきたでやはり上気したどころではない面相。 歌って踊る部分には一切出なかったので、わからない人には全くわからなかったと思う。
今日の杏斉ゆかには、目を惹く何かがあった。
例によってマイクの調子が悪く、音が途切れたりハウったり。
ハウリングが起きたときに先ず自分のマイクを疑うのが染み付いていて反応が早い。
マイクが死んでも動揺せず、自分のパートは歌い切る。
この辺の「叩き上げ」感。 私は好きだ。
前述の通り集客は目に見えて良くなったし、楽しめるライブも出来ているが残念なことも無くはなかった。
仲間内で盛り上がる余り延々と喋っている手合が増えた。
舞台上でメンバーが喋っていても、仲間内のじゃれ合いに興じている。
楽しめるライブを見られる、その場に居られるのは舞台の上に演者あったればこそなのだけれど、それが分からない憐れむべき無知蒙昧な人々、「高まり無罪」みたいな手合はどうしても一定数出てくる。
一定数出てくると自制心も薄れ、つられる向きも出てくるので、客の分母が大きくなったことで顕在化しただけとも言える。
悪意を持って妨害する場合と、単なる無知無定見からそうなってしまう場合と二た通りあるが、幸いにして現状では後者であるようだった。
この先はそういう人々を黙らせる、聴かせるのも仕事の一つになってくると思う。
喋りに緩急強弱を付けるだけ、数秒の静寂を作るだけでも鎮静効果はある。
意図してかそうでないのかは分からないが、道地文子は出来ていた。
全体を揃える刈り込みはきっちりしているが、それぞれの個性は矯めずに生かされており、振り付けの中でも得意な動きを伸ばすようなところが見られる。
神咲くるみは止められずに勢い余って流れることもありつつ、速く大きな動きが華やかさを出している。
別所佳恋は思い切りの良さと力強さ、蹴りや踏み込みの小気味よさ。
宮瀬 しおりはスーっと動いてピタリと止まり、止まった状態を保ちながらスーッと動き出す。 素人目にも玄人目にも解りにく過ぎるが、振り付けに関しては高いレベルで安定。
歌も巧さの方向性も、それぞれに合わせて。
役者としての仕事もしてきた石川野乃花は語るが如く歌い、鼻濁音が美しく抜ける。
地力が付いた杏斉ゆかは、どんな場面でも安定した歌い出しで、張らずに聴かせることが出来ているし、食ったり外したりすることで生歌感も出せている。
最後に杏斉ゆかからお知らせ一つ。 リーダーは神咲くるみに交代、副リーダーに道地文子とのこと。
杏斉の負担を軽減したり、神咲に「役割」を与える意図もあるかもしれないが、「6人での活動」を安定的に継続させる狙いであるのは確からしく思われる。
道地文子を補佐職にするのは適材適所。 上手く廻して欲しい。
終演後に先日のワンマンライブのダイジェストムービーを放映。
リハーサルからクライマックスまで、要点を上手く繋いだ編集の妙。
体調不良や機材トラブル、不測の事態によるセットリストの変更、客の不規則発言etc...
色々有ったが、収支は大幅にプラス。 良いライブだった。