仔細有って直前に買った(直前まで買えなかった)チケットは140番台。
かなり遅れての入場となったが、幸い行きたい(見たい)場所はなんとなく空いていた。
自由度高めに盛り上がろうとするなら、やはり動きやすい広さは有ったほうが良いのか、満遍なく分散。
開演10分前くらいにお膝送りのお願いのアナウンスなど。
スモークは焚いていないが、熱気で靄が掛かる。
後ろの方の客も話していたが、ギッチギチに詰め込まれたライブより、多少ゆとりが有る方がやはり見やすい。
家族や関係者、メンバーの御友達などは二階で座っての観覧。
前歴が有るメンバーの元居たグループの客は数えるほどで、殆どの客はきゃわふるTORANADOとして掴んでいる。
上を見ればキリがないが、一年でゼロに近いところからここ迄「金を払って見に来てくれる客」を増やせたのは、メンバーも送り手も褒められて良いと思う。
下手側には高めに組んだ三脚の固定カメラで、上手の袖には手持ち一眼で動画を撮影。 きちんとコンテンツにしようとしているのが見て取れる。
17:00丁度に影アナ。
全員でざっくりと諸注意。
客電が落ちてステージのスクリーンに映像が映るとともにクラウンが登場。
身振り手振りで客を煽りつつオーバーチュアへ。
メンバーが出てきたと思ったら既に宮瀬 しおりが泣いている。
この人は「坑道のカナリア」であり、良きにつけ悪しきにつけ環境の変化にいち早く反応する。
吉か凶か気をもみつつ見ていると、泣きじゃくっているのにきちんと踊れてはいる。
吉の方であると判断。
一曲目「撮可のうた」。
この曲だけは例外的に撮影して良いのだけれど、まわりでは誰一人カメラを(携帯すら)出さず、判断に迷ったが2コーラス目から撮影。
つまみ出されたらそこまでと肚を括る。(幸い何事もなく)
「今泣いた烏がもう笑う」を地で行く宮瀬しおりは、相変わらず泣いたり笑ったりしつつ歌い踊っている。
“The show must go on.”
感情を抑えきれなくても、勝手に身体が動いている訳で、これも叩き上げならでは。
息継ぎタイム。 自己紹介やら「2190プロジェクト」の進捗の報告やら。
更に間繋ぎ映像のあと、ユニットとコーナー。
杏斉、別所、宮瀬で「にゃわふるとるにゃーど」
石川、道地、神咲で「SRC CREW」
どちらも衣装から誂えたオリジナル楽曲。 ここに来ての演目の幅の拡げ方が心憎い。
特に「にゃわふるとるにゃーど」はネコ属性の三人を依り代に、致死量に近い萌えを詰め見込んだ魔曲。
斯くも危険な楽曲を無造作に投下するきゃわふるTORANADO運営は何を考えているのか(※もっとやれ)
2曲終わって放心状態の客に、間繋ぎ映像で「重大発表」。
定期公演の継続や本公演の円盤化、次のワンマンは「ツアー」。
このあたりは「ナルホド」であったが、次のシングルはビクターの流通に乗せて全国発売(※レーベルそのものはおそらく自前)。
タワレコインストアライブでサバイバルツアー。
これでサッと血の気が引く。
好むと好まざるとに関わらず、量的に計られてしまう方向に舵を切った訳である。
救いなのは「そうである」ことを知っていてそうしたこと。
インストアライブで辛酸を舐めたことの有る面子が二人居ること。
東京以外に届けるための選択肢であると、前向きに受け取りたい。
お色直しをして、新衣装で登場。
これまでは全員揃いでの色違いであったが、意匠は揃えつつもメンバーそれぞれにアレンジされたもの。
黒・濃紺・群青。 あしらわれた黒のスパンコールが鈍い輝きを放ち、襟と袖は白く。
石川と神咲はウエストの出る形状、道地のみホットパンツと網タイツ。 髪飾りもそれぞれの髪型に合わせて誂えてあり、石川の帽子も黒のボーラーハットに変わった。
メンバーそれぞれの個性が生かされた衣装。 勝負に出ている。
この衣装で歌う新曲「Never ending story」(※表記不明)
余程体感を鍛えていないと踊れない、難度の高い振り付けに唸る。
相変わらず送り手の負荷の掛け方が絶妙。
アンコール。
一曲目で石川が居ないことに戸惑い、ざわつくも、残りの五人が動じておらず、笑みを絶やさないことからなんとなく収まり、盛り上がる。(アンコール2曲目で出てきた)。
一周年の所感をそれぞれが述べた中で、杏斉ゆかものが印象に残った。
仕事と学業の両立が厳しさを増し、母親に泣き言を言った際に帰ってきた言葉が
「幸せなことをしているのに、なぜ逃げ出そうとしているの?」
また
「『ありがとう』『ごめんね』この二つの言葉を大切にしなさい」
と言われたとも。
実際通っている学校以上に、良い人生勉強をしている。
きゃわふるTORANADOが杏斉ゆかにとっての"Мои университеты"なのだと思う。
考えながら言葉を紡ぐ石川、「泣かない、泣いてない」と言いつつ涙を溢す別所、喋りながら声を裏返させる道地、それぞれの積み重ねた一年が言葉になっている。
一年前のお披露目ライブは(主に送り手の不手際で)必ずしも褒められた出来ではなかったが、今日の一周年ライブは演者も送り手もきちんとした仕事ぶり。
二年目に向けて明るい兆しの感じられる素晴らしいライブであった。