「三方ヶ原軍記 内藤物見」一龍齋貞奈
「難波戦記 真田大助 駿府の使者」一龍齋貞弥
「秋色桜」神田春陽
前座のうちは芸としての出来についてあれこれ言うべきでないと思うが、出来以前に了見がなっていないのはいただけない。
貞奈さんの三方ヶ原は浚っていないのがありありと判る。
つっかえるのは仕方がないとして、酉を西と読み違えて言い直すと言う事は、まぁ覚える気なんざサラサラ無い、義務だから仕方なくやっていると言う事であろう。
読みながら演ってよい演目であるにしても、下読みすらしていない。 言い立て以外の会話などは情感を込めているので、そういうのを早く遣りたいのかもしれないが、その前にやることが有るのではないか。
貞弥さんは鼻濁音が綺麗。 一人芝居寄りではありつつ、お作法はきっちり押さえて演っているのと、出て来る男が男としてそこに居るので講釈として聴ける。
春陽先生は唐突に「現代」がギャグとして織り込まれるのだけれど、どんな脱線の仕方をしても戻って来られるのには毎度感心する。
なんだかんだ言っても、払った金額以上の対価は得られるのが朝練講談会。
「熊野の牛王」志ら玉
「樟脳玉」らく人
「将軍の賽」寸志
<中入り>
「探偵うどん」がじら
「藪医者」左平次
「珍品」であり、演る人が少ないのは、「物語」「言葉」「オチ」さまざまものが "わかりにくい" からであることが、演者のマクラでも語られ、聴いていても実感として解る。
その「解りにくいが故の面白さ」が、携帯の着信を鳴らしたり、電話に出ちゃったり、会場内に聞こえるところで大声で通話してしまう類の客にどれくらい伝わったかは分からないが、とりあへずは大入り。
似たような噺があれば受ける方の噺を採り、仕込みが大変な割に受けないクスグリは刈り込みたくなる、それは理解した上で捨てがたい、味わい深い部分。 それを愛でる会。
もどかしくも愛おしい五席。
江戸川橋の Gallery NIW へ。
ギャラリーサイトの説明はこうなっている。
展示名称
写真展「KOROBU」
展示概略
グループ写真展
展示詳細
映像作家がストーリーのないムービーを先に作り、5人のフォトグラファーが、写真でストーリーを完成させるという写真展
モデル/フォトグラファー:
まゆのん (志良繭乃役)×担当フォトグラファー:山本華漸
天音ことり (海月ことり役)×担当フォトグラファー:水上あかり
なつか (新木なつか役)×担当フォトグラファー:micchii
白波瀬ミキ (舞川ミキ役)×担当フォトグラファー:小澤トシカズ
佐野小波 (天野こなみ役)×担当フォトグラファー:ナカオ タイキ
江戸川橋から都バスで俎橋へ。 さくら通りを歩いているとモデル撮影会的なことをしている一団。
魚返一真のワークショップだった。 横に見つつ画廊へ。
性的な妄想を写真に現したものと、鉄道や風景を撮ったものとが、不可分に混在。
魚返一真のなかでそれらが等しく価値を持ち、同じ引き出しの中に納められている事が判る。
触れたり弄ったりするものでは無く、見せて貰うものとしての女体。 飾らない美化しない妄想が電車に乗って移動し、旅先に現れる。
臆面の無さが不気味ではありつつ、面白くもある。 不思議な写真展。
撮り方を教わりに行くようなワークショップには、今更行こうとは思わないのだけれど、
さまざまな時代、さまざまな国の絵画を見て、構図、光、表情等について、みんなで意見したり、真似したりしながらポートレートを撮ってみよう!
DSC_7596 posted by (C)2petri2
平手友梨奈
巻頭9ページ23カット、撮影は細居幸次郎。
修学旅行と言う設定での沖縄ロケ。 友達と撮り合ったスナップのような感じのものも含めて、制服、私服、体育着。
年相応のあどけない表情と、見る者の背筋を伸ばす凛とした表情が綯交ぜになったグラビア。
9ページに押し込めるのは勿体無い出来。
長濱ねる
巻末6ページ9カット、撮影は藤本和典。
ジェンガが崩れていく様を連射したカット以外、表情に諧調が無い。
口を半開きにした歯見せ笑顔。 ハンバーガーを顔の前で持たせて口を隠したり、それなりに工夫しているのは感じられるが、あまり成功はしていない。
撮る角度が限られていて、些か単調。 最後のカットの横顔のみ良い。