六本木ミッドタウン近くの雑居ビルの三階にあるフリースペースにて、カメラマン4人のグループ展。
小池伸一郎
都内の高速道路の分岐点で引いたり寄ったりして撮ったモノクロ作品4点。
広角で撮ったものはレンズの効果と道路のカーブで歪曲した線と、放射状に伸びる直線を組み合わせてある。
黒と灰色の間、白と灰色の間のトーンがしっかり出ており、じっくり楽しめる。
視点が中央に収斂して行く中央下の写真が良かった。
丁度ほかに客がいない時間帯だったので、部屋の端まで引いたり近くまで寄ったりして見たが、画面に吸い込まれていくような不思議な感じがした。
門嶋淳矢
蛙や錦鯉などの生き物を彩度を上げたクローズアップ。
思い切って寄っていたり、アウトフォーカス気味にしたり、箍と言うか羽目と言うかそのあたりを外し気味に撮っていつつ、質感を見せたいところにはピントが合っていたり篤実なところが出てしまっていて、そのあたりも面白い。
岡本尚也
鏡を挟んで撮ったような、ロールシャッハテストのような画。
ポートレートと言うかパーツのブツ撮りと言うか、水が介在するので見ていてなんとなく息が詰まるような圧迫感。
寺坂Johney!
等身大に近い大きさの場末ストリップ的ヌード2点。
美と醜のはざま(しかし美寄り)のモデルの生々しさ。
私の嗜好としては小池伸一郎のもの。
広い部屋に飾って寄ったり引いたりしたい。
渋谷と恵比寿の間、都営バス渋谷車庫にほど近い明治通り沿いにある写真専門のギャラリーにて、19人のカメラマンの作品を集めた写真展。
展示スペースが限られているので、一人あたりの出品数は少ないが、その代わりそれぞれの写真集も展示販売している。
写真そのものを買うとなるとそれなりにハードルが高いが、写真集なら気軽に手を出せる価格。 好きな写真を手元に置くと暮らしが華やぐので、まずは写真集から試してみて欲しい。
ネイチャーから現代アート的なものまで、作風に合わせてプリントサイズも展示方法も様々。
松田忠雄の職人写真(これは別項にて)以外で目に付いたものが幾つかあった。
名古根美津子の頭だけのポートレートと三浦咲恵の台形のアクリル板に貼ったプリント、そして幸本紗奈の小品。
幸本紗奈の小品「しるしの話」は同名の写真集からの一枚。
どこにもピントが合っていないようでいて、見ているとどこかに合っているような気がしてくる。
作者曰く「見る人にピントを合わせて欲しい」。
ざっくりと大掴みに切り取り方故に、見る側に様々な解釈が成り立つ。
こちら でいろいろ見られる。
写真集は小ぶりなものであったが、紙質もプリントも良く割付けも丁寧。
昔は女子っぽい女子の写真は嫌い(女子っぽい写真部員は大抵めんどくさいから)だったのだけれど、そういうしがらみを離れて漸く写真そのものを見られらるようになったのかもしれない。