魚住誠一の、魚住誠一による、魚住誠一写真展。
会場は、先日ポートレート専科を開催していたギャラリー・ルデコの一階スペース。
入り口のガラス以外の壁面に所狭しと写真が飾られている。
展示と言うより圧縮陳列。 見易さなどは顧慮されていない。
数で押すばかりで、それ故に照明も漫然と当てられており、見辛い。
ズラリ貼られている全体を眺める分には支障が無いが、その中の一枚を凝視しようとすると、雑に当てられた照明が邪魔になる。
画一的な構図と紋切り型の表情。 歯見せ笑顔とそれ以外しかない。 良く言えば判りやすく、悪く言えば単調で退屈。
作品と言うより作例と書いた方がしっくり来る、公園の似顔絵描きが並べている見本のような感じで、「こんなことしてます」「こんなふうに撮れます」を提示。
何と言うか「山の手のマルベル堂」。
差し当って見るに堪えないものは無いが、心惹かれるものも無い。
色々書いたが、質的な問題はさておき、身銭を切って定期的に写真展を開催する魚住の行動力は評価したい。
これは駄目だと思ったら、駄目である理由を考え、駄目ではない写真を撮れば良い。
反面教師としての存在意義は大いにある。
雨も上がりかけていたので、渋谷から新橋へ移動して日本テレビへ。
地方発のアイドルを集めたという名目の催しではあるが恣意的な選考であり、地域との繋がりが希薄なところも多く見られたが、そうしたところは予選でほぼ淘汰され、決勝に進んだのは下記の十組。
パツイチモンスター(栃木)、Menkoiガールズ(邑楽・館林地区)、SunRisa(京都・大阪)、アイくるガールズ(いわき)、水戸ご当地アイドル(仮)(水戸)、MlikShake(長崎)、川崎純情小町(川崎)、H&A.(浜松)、さくらんぼんBom(山形)、9-Bit報道部(東京)
致し方の無い事ではあるが、地域に根ざした活動をしようとすると公的資金に頼らざるを得ないところはあり、そうなると介入も招いて楽曲や演出が国体の開会式のような居た堪れない野暮ったいものになってしまう。
東京(都会)を意識しすぎて「幻想の東京」に負けまいとすると、やはり無理が出て、インチキ臭くなってしまう事もある。
残念ながら決勝に進出した中にも、そうしたものが複数見られた。
SunRisaは小学生二人組で歌って踊る部分は良く出来ているが、台本丸暗記感に満ち溢れている現代の角兵衛獅子。
さくらんぼんBomも同様に台本通りの進行であったが、こちらは台本より設定されたキャラクターに縛られている感じで、多少なりともアドリブが利いている分、見られるものにはなっていた。
川崎純情小町と水戸ご当地アイドル(仮)は、首都圏でのイベントやライブに出演することも多く、気負いがない分安心して観ていられるが、慣れ過ぎてしまっていて持ち時間にやるべき事を詰め込めていないところが惜しかった。 聊か冗長。
MlikShakeは先に決まっていた九州でのイベント出演と被ってしまい、8人中3人の出演。
予選の出来が素晴らしかった分、手薄なところが出てしまっていて、構成も盛り上げ方も良かったが今一つ波に乗り切れないまま終わったのは惜しかった。
アイくるガールズは楽曲も悪くないし、舞台の上での振舞いもしっかりしており、見世物としてはちゃんとしたものであったが、客の質は最低。
入場が終わったところに集団で割り込んで前方ブロックを占拠し、他のグループのライブ中も見るでもなく見ないでもなく、儀礼的な拍手すらしない。 兵馬俑が並んでいるような状態。 そこに陸続とアイくるガールズのティーシャツを着た連中が「すいません」でもなく割り込んでくる。
更には人波を掻き分け、荷物や三脚を蹴飛ばして出たり入ったり。
演者の替わり目で客もなんとなく入れ替わるのはこうしたごった煮ライブの常であるが、アイくるガールズの客はお目当ての出番前になると大挙して舞台正面前方へ移動し、圧縮が起きていた。
これは審査ポイントの一つに客の拍手の音量があり、音量計に近いところに陣取ったほうが有利であるという考えに基く合理的判断ではあるのだけれど、他のグループの時には儀礼的な拍手すらしない事も含めて振舞いとして浅ましい。
審査結果待ちの時間に、公式サポーターと言うことになっているLinQのライブ。
司会者との掛け合いで喋らなければならない部分では到らなさが目立ったが、歌って踊る部分は図抜けていた。
しかし盛り上がるのはメジャーデビュー以前の古い曲であり、図らずも浮き彫りになる「それ以降」の迷走振り。
例によってLinQのみ撮影禁止なので、連中が舞台上に居るが故に撮影禁止のお触れが出るなどの茶番もありつつ審査結果発表。
下馬評通りアイくるガールズが優勝。 これは予想通り(良くも悪くも)だったが、二位にさくらんぼんBomが入ったのには驚いた。
勝つたびに客の振舞いで敵を増やすアイくるガールズのあまり明るくない未来を感じつつ帰宅。